2019年幼児教育無償化、恩恵受けられないことも? デメリットも解説
目次
いよいよ2019年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートします。言葉だけしか知らないという人も、子どものいる家庭で待ち望んでいたという人もいるでしょう。この幼児教育無償化の大事なポイントについてデメリットも含め解説していきます。
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2019年10月から始まる幼児教育無償化とは?
簡単にいうと、幼稚園・保育所・認定子供園等を利用する3歳~5歳児クラスの子供たちや、住民税非課税世帯の0歳~2歳児クラスまでの子供たちの利用料が無料になる制度です。また、幼稚園での預かり保育(幼稚園での教育時間終了後も、仕事をはじめさまざまな事情がある保護者の子供を預かる仕組み)も一定の範囲内で無料になります。
ちなみに就学前の子供たちが通う施設には以下のような種類があります。
・幼稚園(私立・公立)
3歳になった春から小学校入学までの幼児の教育を行う教育機関です。標準的な保育時間は延長がなければ9時~14時頃まで(標準保育時間/4時間)。給食は施設により任意。保育料は私立幼稚園の場合は設置者が自由に設定できます。
・保育所/保育園
保護者が働いているなどの理由により、十分な保育が受けられない0歳から小学校入学前までの乳幼児を対象として、預かり保育をする施設。認可保育所の場合、給食の提供は義務となり、保育料は自治体が保護者の所得に応じて設定します。標準的な時間としては7時半~18時程度が多いようです。
・認定子供園
認定子供園は、幼稚園と保育園の機能や特長をあわせ持つ施設。幼稚園の「教育」機能と保育園の「保育」機能、両方の良さを得られるところに「子供園」の特徴がありますが、設置されている施設はまだ少ない状況です。
・地域型保育施設
自治体から認可を受けた保育事業で、保育ニーズの高い0~2歳児への対応を目的として設けられた小規模の保育事業です。保護者の就労や疾病、求職活動などにより保育が必要な満3歳未満の子供が対象です。3歳を超えると保育所・幼稚園・認定子供園などに通うことになります。
・企業主導型保育事業施設
大手企業を中心に開設されている事業所内保育所のことです。多様な就労形態に対応した保育サービスが゙可能で、施設によっては複数企業による共同設置・共同利用もできます。保育料などは国の助成金などを活用することで認可保育所等と同じ水準になっています。
幼児教育無償化の制度は施設別にどのように適応される?
それでは施設別に、幼児教育無償化制度がどのように適応されるか見ていきましょう。
・幼稚園、保育所、認定子供園等を利用する場合
●幼稚園、保育所、認定子供園等を利用する3歳~5歳までの全ての子供たちの利用料が無料になります。
●地域型保育(小規模の保育事業)も無料化され、企業主導型保育事業(企業が従業員の子息向けに準備した保育施設)はこれまでの利用料から年齢に応じた一定の金額が減額されます。また子供・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園は月額2.57万円まで無料となります。
・認可外保育施設等を利用する場合
認可外保育施設とは保育を行うことを目的とする施設であり、自治体が認可している認可保育所等以外のものを総称して「認可外保育施設」と呼びます。施設面積の狭さや屋外遊戯施設はなくても、よりアットホームな環境で保育を行っていたり、英語教育などカリキュラムに特徴があったりと、認可保育園に比べ保護者のニーズに合った保育施設であるケースも多いようです。
ただし保育料は一般的に認可保育所と比較すると高めになっています。今回の制度が導入されると3歳~5歳までの子供たちは月額3.7万円まで、0歳~2歳までの住民税非課税世帯の子供たちは月額4.2万円までの利用料が無料になります。
また対象となるためには、住まいの市町村から「保育の必要性の認定」を受けることが必要となります。また認可外保育施設に加え、一時預かり事業、病児保育事業も対象に含まれます。
・幼稚園の預かり保育
幼稚園の利用に加え、利用日数に応じて、最大月額1.13万円まで無償となります。「預かり保育」とは、保護者の希望に応じ4時間を標準とする幼稚園の教育時間の前後や土曜・日曜、長期休業期間中に、幼稚園において教育活動を行うものをいい、共働き世帯での利用が多い保育サービスです。類似した内容のサービスで認可保育所や認定子供園の延長保育がありますが、こちらは無償化の対象とはなりません。
・障害児の発達支援を行っている施設
満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間は無料です。また幼稚園、保育所、認定子供園等と併用する場合でも両方とも無料になります。
注意!幼児教育無償化の知っておくべきポイント
無償化といっても幼稚園や保育園に払うお金が0円になるわけではありません。バスなどの通園送迎費・給食などの食材料費・遠足などの行事費・制服代などは10月以降も必要です。ただし、年収360万円未満相当世帯や全世帯の第3子以降は、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除されます。
無償化の恩恵を受けられないこともある?
さて、いいことずくめのような幼児教育無償化制度ですが、場合によっては恩恵を受けにくくなる可能性も指摘されています。例えば「無料で通えるなら通わせたい」と希望者が増え、待機者が今よりも増えるのではないか?という声もあります。
また、施設が認可外保育施設として届け出を提出していない場合も対象外になりますので確認をしておいた方が良いでしょう。
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幼児教育無償化の対象範囲を知って上手に利用しよう
少しでも子育てしやすいように経済面での補助として導入される幼児教育無償化ですが、どれぐらいの効果があるかはスタート後の検証を待つ必要があるでしょう。また、筆者が小さなお子さんがいる家庭にヒアリングすると「無償化はありがたいけど、その費用で幼稚園・保育所の先生を増やして預けやすくしてくれる方がもっとうれしい」という声もありました。
そうはいっても幼稚園や認可外保育施設を利用すると大きな費用がかかるため、「2人目・3人目を産むことをためらってしまう」「給料の大部分が幼稚園の費用になってしまい、生活費に余裕がない」という家庭にとっては朗報となるでしょう。無償化で浮いた資金で家族旅行に行って思い出を増やすこともいいかもしれませんし、その分を将来への貯金や投資に回してもいいでしょう。
また、保護者が無理に働くことなく、子供との時間に余裕が持てるようになるかもしれません。いずれにしても、幼児教育無償化制度は消費税の使い道として挙げられている政策の目玉の一つです。対象の家庭の方は有効に活用してくださいね。