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離婚後の養育費、もらうべき相場は?年収別・子供の数別解説 (3ページ目)

そなえる 内山 貴博

4.  養育費の現状は?

裁判
【画像出典元】「iStock.com/AndreyPopov」

前出の厚生労働省の調査によると母子家庭のうち約56%が「養育費を受取ったことがない」と回答しています。その理由を探ると、そもそも「養育費の取り決めをしていない」という比率が同程度の約55%に及びます。つまり、細かい取り決めをしていないために養育費自体、元夫から受け取っていないという状況が浮かび上がってきます。

その理由として圧倒的に多いのが「相手に支払う意思がないと思った」や「相手に支払う能力がないと思った」というもので、最初から相手に期待していなかったために取り決めも行わず、養育費を受け取っていない人が多いようです。

ちなみに父親が親権を握った場合は7割以上が養育費を受け取っていません。同様の理由が該当しているのですが、父子家庭の場合は「経済的に問題ない」という回答が一定割合を占めています。

このような調査結果から「シングルマザー」が厳しい状況にあることは容易に想像できます。なんとか、離婚前に養育費の取り決めをするということを強く意識しましょう。なお、その場合父親は養育費を払う義務があるため、離婚後に「取り決めをしていなかったけど、やっぱり養育費を払って」という主張をすることは可能です。

ただし、この場合、離れて住んでいる元夫と弁護士などを通してやりとりをすることとなり、時間や費用がかかります。さらに、養育費はさかのぼって主張することはできません。養育費を少しでももらいたいという場合は一度、弁護士等に相談してみてください。

5.  その他に養育費をもらえないケース、または減額されるケースはあるか

調査結果から、養育費をもらっていないケースが多いという現状が分かりましたが、養育費をもらっていたけれど、途中からもらえなくなるといったケースはあるのでしょうか?

まずは、義務者(夫)が生活的に困窮した場合はもらえなくなることが想定されます。本人に養育費を払う意思があっても、失業や病気などで収入が減少した場合は支払うことが困難になります。

また、権利者(妻)が再婚し、子供が再婚相手と養子縁組をした場合も、原則、養育費はもらえなくなります。新しい夫が父親として扶養義務が生じるためです。

6.  養育費はいつまでもらえるのか

養育費をいつまでもらうことができるのか?という期限も原則、親として「成人するまで」払うことになりますが、「成人する」というのはいつまでを指すのでしょうか?

現在、選挙権は18歳からで、今後、民法改正で18歳成人、でもお酒やタバコは20歳からと、今以上に「成人」という概念が難しくなっていきます。「いつ成人するか?」ということも、話し合いで決めることになります。

生活レベル、教育への価値観などそれぞれの事情を鑑み、高校卒業を成人として夫と妻が取り決めを行うこともありますし、大学卒業とすることも考えられます。

支払う夫からすれば短い方が良く、受取る妻からすればできるだけ長くもらいたいでしょう。よって、話し合いでまとまらない可能性があります。そこで、裁判所などにおいては「養育費は20歳まで」という考え方が一般的のようです。

なお、養育費の金額を決める上でも学歴が1つの要因となりましたが、「子供が成人するまで」という目安も親の学歴が影響することもあるようです。夫婦それぞれが大学卒でありながら、「子供の教育は高校まで。18歳までしか養育費は払わない。」と主張するのはやや無理があるようです。

7.  離婚する前にしっかりと取り決めをすることが重要

両親それぞれの収入はじめ、さまざまな要因が養育費の額や期間を決める上で影響します。なかには月額の手取りが30万円の元夫に対して「27万円の養育費が欲しい」といった主張をするケースもあるようです。このような明らかに無理な主張は通りませんが、ただ、全く主張しないのも問題です。

上記で紹介しましたように、何の取り決めもせず、その結果、1円も養育費をもらっていないという人も多く存在します。離婚が子供の成長に与える影響を最小限にとどめるためにも、離婚前にきちんと取り決めを行うことは覚えておいてください。

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養育費に関するQ &A

Q 養育費をもらっていますが、やはり離婚後の生活が厳しいです。どのように家計を見直すべきでしょうか?

A 離婚後は経済面のみならず子供の面倒などを実家に頼っている人も多いようです。実家に相談する方法の他、各自治体が一人親に対してさまざまな支援をしているケースもあります。一度役場で相談してみるのも1つです。

Q 貯蓄を取り崩して現在借金をしています。借金返済と学費準備とどちらを優先すべきか分かりません。

A フリーローンなど高い金利でお金を借りている場合、早めに返済することを優先してください。どうしても厳しい場合、学費については奨学金制度などを活用する方法もあります。やや不本意ではありますが、子供のために加入している学資保険を解約し返済に充てるのも1つだと思います。
 

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