がんに罹る20~30代の8割は女性!負担を減らせる「高額療養費制度」とは? (2ページ目)
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高額療養費の申請の方法、時効に注意
高額療養費の申請は、まず自身が加入している公的医療保険(健康保険組合や協会けんぽの都道府県支部・市町村国保など)に、高額療養費の支給申請書を提出または郵送します。その際、病院などの領収書の添付を求められる場合もあります。
加入している公的医療保険によっては、支給申請を勧めてくれたり、さらに自動的に高額療養費を口座に振り込んでくれたりするところもあります。
また、69歳以下で入院治療される方は、限度額適用認定証を申請しておけば、窓口で支払う負担額が3割負担ではなく、高額療養費を差し引いた金額だけ支払えばよくなりますので、入院される予定の方は、事前に加入する医療保険から限度額適用認定証を発行してもらうことをおすすめします。
高額療養費の払い戻しを受ける権利は、診療を受けた月の翌月の初日から2年で消滅します。したがって、この2年間の消滅時効にかかっていない高額療養費であれば、過去にさかのぼって支給申請することもできます。
がんの治療や入院・通院以外にもかかるお金の問題
弊社のお客様で、実際のがん治療や通院に以下のような費用がかかった例を紹介しましょう。
乳がんに罹った女性のケースでは、手術のための入院費用が30万円、さらに抗がん剤の投与に1回6万円で1クール10回を2クール行い、放射線治療は1回2万円を10回受けて、2年の間に概算で170万円程という、高額の自己負担となりました。
仕事の問題もあります。治療を続けながら職場に復帰しても元の部署には戻されず、業務負担の軽い仕事に就き収入が毎月50万円から半分の25万円に下がった人がいました。また別の例では、がんに罹ったことをきっかけに、かねての夢であった山あいの静かな場所にセカンドハウスを購入し、そこで療養生活を送った方もおられました。
がんの闘病には、このように直接治療にかかる費用もあれば、直接治療には関係ない費用や収入減なども幅広く考えて備えておく必要があるでしょう。そのために有効な対策が民間保険会社のがん保険です。
がん保険は、がんに罹患した際、一時金が給付されたり入院や通院の日数で応じて給付されたりします。その他にも先進医療にも対応しているタイプもありますので、公的医療保険ではカバーしきれない部分もカバーしてくれるので、何かひとつ加入しておくと安心ですね。
高額療養費制度についてまとめ
がんの闘病は長期にわたり、また治療費などの経済的負担も大きくなります。そこでよく理解しておいてほしい制度が今回紹介した高額療養費制度です。あらかじめこの制度を理解していれば、経済的な不安も解消され治療に専念できるでしょう。
また他にも、窓口の負担が軽減される限度額認定や、所得税の還付を受けることができる医療費控除の制度なども正しく理解しておけば、いざという時焦ることはありません。
今回は紹介できませんでしたが、傷病手当金や治療費の支払いに困窮した場合の対処方法、仕事を失ってしまった場合の生活については、病院にソーシャルワーカーという専門職の人がいますので相談してみてください。皆様の生活をあらゆる面から支援してくれます。
備えあれば憂いなし、民間のがん保険も事前に要チェックですね。
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今さら聞けない医療保険~第1回~ 医療保険ってどんなもの?
高額療養費制度についてのQ&A
Q.がんに備えるために医療保険やがん保険など生命保険でカバーしようと思いますが、どのような保険がおすすめですか?
A.民間の医療保険は、一般的に入院日数に応じた給付があります。がんの入院は医療技術の進歩により入院日数が短期化しているため、医療保険よりは一時金が給付されるがん保険の方が色んな用途に保険金を使うことができ、FPとしてはおすすめです。一時金で100万円、200万円給付されるタイプのがん保険などを検討されるとよいでしょう。
Q.入院する場合、あらかじめ窓口での支払いを高額療養費の限度額内に抑える制度があると聞きましたが、どのような手続きが必要ですか?
A.入院する前に、加入している公的医療保険から「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口でこの認定証を提示すれば、窓口での支払いを健康保険の3割負担よりさらに抑えることができます。もしこの限度額適用認定証の交付を受けていなくても、後日、上限額を超えて支払った額を払い戻すことは可能なので、入院前にはご加入の公的医療保険に問い合わせておきましょう。