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休業手当の期間はいつまで?アルバイトでももらえる?休業補償との違いは

そなえる 権藤 知弘

休業手当の期間はいつまで?アルバイトでももらえる?休業補償との違いは

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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、休業を余儀なくされる会社も増えています。今回は「休業」に関するお金の話について見ていきましょう。

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【1】休業手当とは?

そもそも「休業手当」とは何でしょうか?
手当と言えば、残業手当や深夜手当など、基本の給与の他に諸費用として支払われる賃金のことを指します。休業手当とは従業員側の理由ではなく、雇っている会社側の都合により従業員を休ませた場合に支払う義務がある手当のことです。

休業手当は労働基準法で定められており、その条文には「労働者を『使用者の責に帰すべき事由』により休業させる場合は、使用者は平均賃金の6割以上を『休業手当』として支払う義務を負う」と書かれています。この条文を根拠に休業手当は支払われています。条件や内容を簡単にまとめると下記のようになります。

①会社都合であること
②支給される手当は平均賃金の6割以上
③平均賃金なので月給満額ではない
④課税対象であり、社会保険料も控除(天引き)される

【2】新型コロナウイルスでの休業手当について特例はある?

日本国内では2020年の1月に新型コロナウイルスの感染者が確認され、その後、各種の対策が行われました。なかでも最も大きなトピックスとしては、感染拡大を防止するために政府が緊急事態宣言を発表し、その発表に合わせて全国的に休業要請や外出の自粛を行ったことでしょう。

その要請に従い、4月~6月にかけてテレワークが実施されたりと、多くの方がこれまでの働き方とは全く異なる状況になったと思います。また販売業や飲食業、製造業など、テレワークではなく休業を選択した企業にお勤めの方の中には、休業手当を受給された方も多いと思います。

これは今回の新型コロナウイルスに関連し、政府として感染拡大を防止することと雇用を守ることの二つのテーマに関して重点的かつスピード感重視で取り組んだことによります。

ここで新型コロナウイルスに関連した雇用関係のお金について整理してみましょう。

1. 雇用調整助成金

「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。
もともと雇用調整助成金の制度はありましたが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響という前例のない事態の中で、助成率などが変更されたことで、多くの企業が活用しています。


 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

上記の表にあるように雇用を維持することを前提に助成率をアップさせており、まずは雇用を守るということを一番大きなテーマにしていることが分かります。

誤解のないようにしてほしいのは、上記の表は休業手当を支払うにあたり企業に補助する内容に関して表しているものです。そのため新型コロナウイルス感染症で会社が休業したけれど、助成金があるから通常の給与と同じ金額が手当として受け取れる、ということではありません。

2.緊急雇用安定助成金

上記の雇用調整助成金は雇用保険に加入している従業員が対象となりますが、学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。(詳しくは後述します)

【3】休業手当はいくらもらえる?期間はいつまでもらえる?

お金に困る男性
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休業手当は従業員の雇用を守るための制度ということはお分かりいただけたと思いますが、気になるのは実際いくらぐらいもらえるのか?という点です。簡単にシミュレーションをしてみましょう。

まず前提になるのは、労働基準法第26条に定められた休業手当に関する規定と労働基準法第12条の平均賃金に関する規定です。

休業手当(労働基準法第26条)とは?
使用者の都合により、労働者を休業させた場合には、休業させた所定労働日について、平均賃金の60%以上の賃金(休業手当)を支払う必要があると定めています。

平均賃金(労働基準法第12条)とは?
平均賃金は、原則として事由の発生した日以前3カ月間において、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額となります。

この場合の賃金の総額には、通勤手当、精皆勤手当、年次有給休暇の賃金、通勤定期券代及び昼食料補助等が含まれ、また現実に支払われた賃金だけでなく、賃金の支払いが遅れているような場合は、未払いの賃金も含めて計算します。ベースアップが確定している場合も算入し、6カ月通勤定期なども1カ月ごとに支払われたものと見なして算定します。ただし半年ごとに支給されるボーナスは除きます。また下記の項目に関しては対象外となります。

1. 臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)
2. 3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(四半期ごとに支払われる賞与など、賞与であっても3カ月ごとに支払われる場合は算入されます)
3. 労働協約で定められていない現物給与

上記の内容をもとにシミュレーションしてみます。


上の表を元に平均賃金を算出すると下記のような式になります。

(60万円+3万円+3万円)÷92日=1日当たりの平均賃金 7173円

休業手当は60%以上と定められているので、その定めに従って休業手当の金額を60%で試算すると下記の数字になります。

7173円×60%=1日当たりの休業手当 4303円

この手当の金額に休業指示が出た日数を掛けることで受給金額が決まります。
実際に受け取る金額は、この手当に対して源泉徴収された金額を受け取ることになります。

また雇用調整助成金を受け取ることができる休業期間は通常は最長で1年間ですが、新型コロナウイルス感染症に関する特例に関しては2020年12月末までの期間が予定されています。(2020年10月現在)

【4】派遣やパート・アルバイトにも休業手当は出るのか?

結論から言うと緊急雇用安定助成金の対象となり休業手当は支給されます。ここでの注意点は暦の日数ではなく労働日数で平均賃金を計算する点です。

賃金の一部または全部が日給制、時間給制または出来高給制の場合は、平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3カ月間に、その労働者に対し支払われた当該賃金の総額を、その期間の労働日数で除した金額の60%が最低保障となります。また雇用調整助成金での休業手当と同じように源泉徴収された金額を受け取ることになります。

【5】休業補償との違いは?

よく似ている言葉に休業補償というものがあります。休業手当と休業補償、似たような言葉ですが実は全く違うものになります。

休業補償は労働基準法76条に定められている労災に関係する制度です。業務中に生じた怪我や病気を原因とする労働災害により、やむを得ず働けなくなった従業員の賃金を補償することが目的です。

休業開始4日目以降に労災保険から平均賃金の80%が支払われます。会社が休業することで受け取るものが休業手当、業務上の災害で働くことができない場合に受け取るのが休業補償となります。また補償となるため休業補償で受け取った金額には課税はされません。ここは休業手当と大きく異なる点です。

【6】休業補償の計算方法

お金を手にする字余生
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休業補償は休業手当と同じように過去3カ月の平均賃金を算出し、その金額の80%を受け取ることができます。

(60万円+3万円+3万円)÷92日=1日当たりの平均賃金 7173円

休業補償は平均賃金の80%と定められているので、その定めに従って休業補償の金額を試算すると下記の数字になります。

7173円×80%=1日当たりの休業補償 5738円

受給できる期間は最長で1年6カ月までになっています。なお労災で支給されるのは4日目以降になるので事故発生日を含めて3日目までは会社より休業補償として支払われます。

二つの制度を比較してみましょう。

よく似ている言葉ですが内容が全く異なることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

【7】休業に関してFPが受けた相談事例は

新型コロナウイルス感染症の拡大という予想もしていなかった事態が発生し、筆者が対応する相談も少し変化があるように思います。例を挙げます。

①30代女性の相談
新型コロナウイルスの感染拡大で仕事が休みになり、今後給料が減るかもしれない
まずは現状分析を行いました。今のままの収入の場合と20%ほど収入が減少した場合というように比較し、余裕があるうちに固定費の見直しをスタートすることを勧めました。この方は携帯電話代・生命保険代・動画などのサブスクリプションサービスなどを解約・プランの変更等を行い、毎月の各種のランニングコストを減らしています。

②20代男性の相談
投資信託を購入しているが、このままで大丈夫でしょうか
まず投資に絶対はありません。また投資は自己責任で行うものであることを前提として回答しました。相談者はつみたてNISAを活用し、毎月5000円分の投資信託を購入していました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、2020年2月から4月にかけ株式市場は大幅に下落しました。

その後、早い段階で株式市場は持ち直しました。つみたてNISAは「高いときは少なく、安いときは多く」というような購入方式を採っているため結果として利益を得ることができています。株式や債券などの金融商品の値段を予測することはできません。そのため個人投資家にとっては積み立て方式で投資することが投資リスクを下げることになるでしょう。この相談者には長期投資の場合はマーケットの価格の上下にとらわれず、淡々と積み立てを継続することをアドバイスしました。

【8】まとめ

休業手当をおさらいします。

①会社都合であること(従業員都合ではない)
②支給される手当は平均賃金の6割以上(直近3カ月で得た総額の平均)
③基本給満額ではない
④課税対象であり、社会保険料も控除(天引き)される

これまでは労働上の災害による休業補償に関する話題はありましたが、休業手当がここまでクローズアップされることは記憶にありませんでした。今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大とその拡大防止にまつわる一連の対策で改めて制度が周知されたと思います。

ただし今回の一連の流れで再認識されたのは休業手当や休業補償の算出方法です。例えば休業手当であれば「給与の60%以上」ではなく、「平均賃金の60%以上」ということになります。そのため休日を含んだ日数で計算、そこから社会保険や所得税などが源泉徴収された状態で受け取りになるので手取り金額が大幅に少なくなってしまいます。

もちろん予算の問題があり、また休業手当は雇用先の企業が負担する金額も多いため難しい問題ではあります。今後はこのような点にもフォーカスされることがあれば良いのですが、あまり期待はできません。社会的な給付と合わせ、自己防衛として固定費などの見直しに取り掛かりましょう。

また、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止の措置の影響により休業させられた中小企業の労働者の中で、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対して、本人または勤務先からの申請により新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を支給するという制度も10月から導入されています。

新型コロナウイルス感染症に関連する各種の補助に関する情報は厚生労働省・地方自治体・社会福祉協議会・ハローワーク・商工会などが発信しています。お困りの際はお尋ねください。

休業手当についてのQ&A

Q 出産で休んでいる時に勤務先から補助をもらうことはできますか?

A 勤務先から保険証をもらっている方が出産される際は、出産日以前42日(双子以上の多胎である場合は出産日以前98日)から出産の翌日以後56日までの範囲に会社を休んだ日数に合わせて出産手当金を受け取ることができます。金額は標準報酬日額の3分の2相当です。

Q 失業保険は誰でももらえますか?

A 雇用先で雇用保険に加入している必要があります。また退職理由により給付を受けるまでの期間も大きく異なります。会社都合による退職であれば1週間程度で給付を受けることができますが、自己都合による退職では3か月以上の期間が必要です。