傷病手当金はパートやアルバイト、扶養内でももらえる?間違いやすいポイント5選
目次
病気やケガで働けなくなった時、皆さんが加入している健康保険(社会保険)から傷病手当金が出ることをご存知ですか?今回はこの「傷病手当金」について、受給の条件やいくらどのくらいの期間もらえるのか、パートやアルバイトでももらえるのかどうかを解説していきます。
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなど、不慮の感染で長期間会社を休まなければならない場合の適用可否などにも触れていきます。
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健康保険の「傷病手当金制度」とは
会社員は給与明細の中に「健康保険(社会保険)」という項目があるのを見たことがあると思います。これは簡単にいうと、病院で診療や治療を行った際に、自己の医療費負担を1割~3割にするために納めている保険料です。しかし実はこの健康保険、医療費の一部負担だけではなく、病気やケガをして働けないときに手当が支給される「傷病手当金制度」も含まれています。
傷病手当金が支給される期間や条件
いざというときに頼りになる傷病手当金ですが支給には一定の条件があります。
(1)連続して4日以上仕事を休んでいること
(2)療養のために仕事ができないこと
(3)業務外の病気やケガで療養中であること
(4)給与の支払いがないこと
上記の4つの項目を全て満たすと傷病手当金が支給されます。なお支給される期間は支給を開始した日から最長で1年6カ月までになっています。
傷病手当金の支給額はいくら?自分でできる簡単な計算方法
さて気になるのは「いくら手当がもらえるのか?」ということだと思います。計算式としては下記のようになります。
(1)直近の連続した12カ月の標準報酬月額の合計を月数で割り、月の平均額を計算する
(2)算出した平均額の額を30(日)で割り、日額を計算する
(3)日額の3分の2の額が、1日あたりの支給額
おおよそのイメージとしては月の給与の3分の2を30日で割り、支給対象日の日数を掛け算するといいでしょう。
傷病手当金の勘違いポイント1 「労災」と「傷病手当」は同時にもらえる?
業務上で起こったケガや病気が原因で仕事を休む場合には、「労災保険」という休業補償給付をもらえる制度があります。この休業手当と健康保険の傷病手当は、同時にもらうことはできません。業務上のケガや病気は労災保険で、業務外のものは傷病手当でそれぞれ補償が行われますので、この2つは別のものとして考えてください。
傷病手当金の勘違いポイント2 パートやアルバイト、扶養内で働く主婦、個人事業主ももらえるの?
パートやアルバイトでも、自分で社会保険料を支払っている場合は対象になります。配偶者の扶養範囲内で働いている人は対象外です。あくまでも社会保険料を支払っている人が対象の制度になります。
社会保険料を支払う人が対象ということは、社会保険の適用ではなく、国民健康保険に加入している自営業者や個人事業主、経営者は対象外となり、傷病手当は給付されません。そのため民間の保険等でカバーしておく必要があります。
傷病手当金の勘違いポイント3 インフルエンザやノロウイルスでももらえるの?
結論としては4日間連続で仕事を休んでいれば可能性はあります。ただし最終的には保険組合が許可をして手当金が支給されるので、まずは申請することから始めましょう。
現在感染が拡大している新型コロナウイルスも同様です。症状があって自宅療養している人はもちろんですが、自覚症状がなくとも「陽性」と判定され、自宅待機のため働くことができない場合でも支給対象となりえます。
新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給についてのQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/000604969.pdf
傷病手当金の勘違いポイント4 退職後はもらえない?
基本的には退職すれば傷病手当は受け取れません。ただし下記の2点をクリアしている場合は引き続き残りの期間について傷病手当金を受けることができます。
①退職時に傷病手当金を受けていること
②被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに、継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること
この2点を満たしていれば継続して受給できます。
傷病手当金の勘違いポイント5 ケガや病気の事実があればもらえる
働けない期間の生活を支えてくれる傷病手当金。とてもありがたい制度ですが、これは自動的に受給できるというものではなく、自分で申請を行う必要があります。
日本の社会保障制度はそれなりに手厚いのですが、原則として申請主義ですので、傷病手当金に限らず申請をしないともらえないというものがたくさんあります(代表的なものとして年金も申請主義です)。ちなみに傷病手当金は健保組合に申請をします。詳しくは会社の人事や総務などの担当部署にお尋ねください。
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まとめ
「傷病手当金」とは病気やケガによる休業中の生活を保障するために設けられた制度です。給料の3分の2を最大で1年6カ月の間、受け取ることができます。自分で申請をしなければ受け取ることのできないお金ですが、このような公的制度を知っていれば、万が一病気やケガで働けなくなっても、貯蓄を大きく減らさずに済みますし、民間の医療保険に入る際も、最低限自分に必要な保険を選ぶことができますね。