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結婚後仕事を辞めたら年金と保険料はいくら払わねばいけない?/40代女性相談

FPにききたいお金のこと 白浜 仁子

結婚後仕事を辞めたら年金と保険料はいくら払わねばいけない?/40代女性相談

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Wallet+ユーザー様からいただいた「FPに聞きたいお金のこと」に、白浜がお答えします。今回は40代女性会社員Gさんから、夫が自営業で退職したの社会保険料や、両親の扶養についての相談です。

40代女性 会社員Gさんの相談内容

2020年4月に自営業の男性と結婚しました。私は会社で働いていますが、もし会社を退職した場合、健康保険料と年金はどのくらい支払うものでしょうか?会社員収入がある場合と、収入無しの専業主婦の場合とではどのくらい違うのか知りたいです。現在の年収はおおよそ400万円です。

また、会社を辞めずに働き続けた場合、両親を自分の扶養に入れることは可能でしょうか?その際両親が払っている健康保険は払わなくて良いのでしょうか? 父親72歳、母親68歳で共に年金受給者です。(夫40歳自営業  私40歳会社員 )

自営業の妻の社会保険は2つの選択肢があります

ご結婚おめでとうございます。今後の働き方を模索されているのですね。
では最初に、退職された場合の健康保険や年金という社会保険料の負担から確認していきましょう。

Gさんが会社を辞めた場合の社会保険は、夫が自営業なので扶養に入るという概念はなく、Gさん自身が

➀ 国民年金 + 国民健康保険

に加入します。ただ、2年限定で今のお勤め先の健康保険に任意継続し、

② 国民年金 + 前職の健康保険の任意継続(2年間)

を選択することもできます。

国民年金の支払いは、令和2年度で月額1万6540円となっており、皆一律です。毎年、年度がわりに見直されます。
健康保険も国民年金のように分かりやすければ良いのですが、自治体ごと、かつ世帯の構成人数や所得などによって計算方法が違うので少し厄介です。

役所の窓口に尋ねるのが一番ですが、多くの自治体ではHPで計算方法を確認することができるようになっています。自動計算のシミュレーションが準備されている場合もあります。

ここではGさんが福岡市に住んでいるとして、令和2年度分の国民健康保険料を見ていきます。

健康保険料を計算してみます

健康保険
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健康保険料は世帯ごとに計算されます。「医療分」「(後期高齢者)支援分」「介護分」と3つで構成されており、それぞれ一つひとつに、世帯の所得を基に計算する「所得割」、世帯人数で計算する「均等割」、世帯で負担する「世帯割」という計算式や金額が与えられ、負担上限も決められています。

福岡市の計算方法はこちらです。

 https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/kokuho/hp/seido/06-02.html

仮に前年の所得が、
・夫の所得300万円(自営業のため年収は割愛します)
・妻の所得276万円(年収400万円)
として試算すると、

①     医療分
(所得割)(夫所得300万円-33万円)+(妻所得276万円-33万円)×7.82%=39万8820円
(均等割)2万1814円×2人=4万3628円
(世帯割)2万2020円
計 46万4400円(100円以下切捨て以下同様)

②     支援分
(所得割)(夫所得300万円-33万円)+(妻所得276万円-33万円)×3.05%=15万5550円
(均等割)8099円×2人=1万6198円
(世帯割)8175円
計 17万9900円

③    介護分
(所得割)(夫所得300万円-33万円)+(妻所得276万円-33万円)×3.06%=15万6060円
(均等割)9737円×2人=1万9474円
(世帯割)7448円
計 18万2900円→負担上限により17万円

①②➂を合計すると81万4300円が世帯での年間保険料ということになります。

計算過程は割愛しますが、これまでも夫の所得が同額だったとすると、夫だけの国民健康保険料は44万9100円となりますので、差額の約36万円(81万4300円―44万9100円)が新たな負担額(Gさん分)ということになります。

なお、世帯所得によっては軽減措置が適用されることがあります。

実際に退職後の健康保険を選択する場合は、上記のように国民健康保険料を調べたうえで、お勤め先での任意継続保険料と比較して負担が少ない方を選択すると良いでしょう。

なお、任意継続の加入期間は2年となっていますが、専業主婦になって所得がない場合は、一般に2年目は国民健康保険の方が負担は小さくなります。裏技になりますが、あえて任意継続を1年で脱退し国民健康保険にするという方法もあります。

専業主婦になり収入がゼロになった場合は、世帯での年間保険料は48万8800円(計算過程は割愛)となりますので、差額の約4万円分(48万8800円-44万9100円)が夫の健康保険からの負担増ということになります。

社会保険料から見た親の扶養

親との同居
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次に2つ目のご質問です。
Gさんがお仕事を続ける場合に、ご両親を扶養に入れられるかということですね。

扶養を考える時は、税金と社会保険の2つの観点から見ていく必要があります。
(同居している)ご両親を社会保険の扶養に入れたい場合は、両親の収入が年間180万円未満で、Gさんの年収の2分の1未満であればご両親を被扶養者にできます。また、別居されている場合、Gさんが仕送りをしていて生活を支えていれば扶養扱いにできます。

扶養に入れることができれば、ご両親は健康保険料の負担なく社会保障が受けられます。もちろんそれによって、Gさんの保険料が上がるということもないのでぜひ検討してみましょう。

(参考)被扶養者とは?
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/

ただし知っておきたいことは、健康保険の被扶養者となることができるのは75歳未満だということです。75歳を迎えた全ての人はこれまで加入していた健康保険から「後期高齢者医療制度」という健康保険制度へ移行されるので健康保険の扶養とすることはできなくなります。

税金から見た親の扶養

次に税金から見た扶養についてです。

主な要件は、
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得が48万円以下であること
です。

控除額は、同居なら58万円、別居なら48万円です。Gさんの所得から差し引くことができ、その分税金が安くなります。

ちなみに、三親等内の姻族でも対象になるので、上記要件を満たすのなら夫の扶養とすることも可能です。

参考になりましたでしょうか。
状況によって異なりますので、詳細は、自治体や税務署等の関係機関に確認してみましょう。

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