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アジアで一人負けし続ける日本。そろそろ本気出さないとヤバいよ

経済とお金のはなし 竹中英生

アジアで一人負けし続ける日本。そろそろ本気出さないとヤバいよ

【画像出典元】「alphaspirit.it/Shutterstock.com」

新型コロナウイルスの影響が世界中の経済を直撃している昨今、「悪いのは何も日本だけじゃないんだから」と妙に安心したりしていませんか?「GDPはちょっと前まで世界第2位!」と高を括っていませんか?

何となく、日本経済がずっと下向きなのは多くの方がご存じだと思いますが、平成の約30年間でいったいどれほど落ちていったのでしょうか?

そこで本日は、30年間を振り返り、日本経済の栄華と衰退を多くのデータから検証してみようと思います。

ビックマック指数から見えるもの

ビックマック
【画像出典元】「stock.adobe.com/Joshua Resnick」

各国の購買力平均を測る時にしばしば用いられるビックマック指数によると、最も高いのがスイスで1個あたり6.91ドル、日本は3.64ドルで25位となっています。これをアジア諸国で比較してみると、シンガポールが4.25ドルで14位、タイが15位、韓国が20位、中近東諸国が21位から23位までを占め、日本のひとつ上の24位にはスリランカがランキングされています。
 


【出典】世界経済のネタ帳 https://ecodb.net/ranking/bigmac_index.html

日本のGDPは、確かにアジアの中では中国に次ぐ第2位の地位を占めていますが、日本人の購買力は、ビックマック指数から分かるように決してアジアの中でも上位というわけではありません。

私(筆者)が以前旅行の折にシドニーで鯖の塩焼き定食を食べたら3,000円ほどしましたが、日本ではまずこんな値段になることはありません。また、パリの星付きレストランで食事をした時は2人で15万円くらい支払いましたが、内容を考えると都内の星付きレストランでしたらその半額もしないくらいでしょう。

日本は、実は先進国の中で外食費が飛び抜けて安いのです。これは外食費だけでなく、宿泊費も何もかも、信じられない程安いのです。つまり、GDPの決して高くないアジア諸国から見ても、日本への海外旅行はとてもお値打ちなのです。近年外国人観光客の数を伸ばしている理由の一つは、この安さからです。しかし、どうしてこんなにも諸外国と比べて安くなってしまったのでしょうか?

それは、この30年間日本経済がほぼ横ばいでかつデフレで苦しんでいたのに対し、日本以外の国は順調に経済力を伸ばしてインフレ基調だったからです。

ちなみに、訪日外国人観光客が日本国内で消費した金額は、2019年に4.8兆円と過去最高額を記録しましたが、2020年には8割以上落ち込むことが予想されています。これまで積み上げてきた外国人観光客誘致による外貨獲得も、新型コロナウイルスの影響で当面の間望めなくなってしまいました。

かつて世界最強だった日本企業の昔と今

冒頭から暗い話ばかりしてしまいましたが、今から30年ほど前を振り返ってみると、日本企業の時価総額は世界中の企業を席巻していました。

平成元年の世界企業の時価総額ランキングでは、世界1位のNTTを筆頭に5位までをすべて日本企業が占め、10位以内に7社、20位以内でも14社は日本企業が占めていました。

しかしその約30年後の平成31年4月の時価総額ランキングでは、10位以内どころか20位以内にも日本企業は1社も出てきません。アメリカ企業が大半ですが、アジアでも中国企業の躍進は目覚ましく、韓国のサムスン電子や台湾の電子部品メーカーも20位台にランキングされています。日本企業がやっと出てくるのは43位のトヨタ自動車のみで、あとは50位以内に1社たりとも日本企業は見当たりません。残念ながらこれが、今の日本企業の実力なのです。

伸び悩んだ日本、順調に伸びた世界

次は、この30年のGDPの伸び率を見てみましょう。まず1990年のG7各国の、一人あたりの名目GDPです。 


【出典】世界経済のネタ帳
https://ecodb.net/ranking/old/group/XB/imf_ngdpdpc_1990.html

ご覧のように、日本は1位です。そして次は、30年後のG7各国の比較です。
 

【出典】世界経済のネタ帳 https://ecodb.net/ranking/group/XB/imf_ngdpdpc.html

ご覧のとおり、日本はイタリアのすぐ上の6位です。

次にこの30年間での伸び率を比較してみると、首位のアメリカが2.73倍(65,253.52÷23,847.98)なのに対して日本は1.58倍(40,255.94÷25,379.60)しか伸びていません。

ちなみに同じ条件でアジア諸国と比較してみると、中国が30年間で30.41倍、シンガポールが5.11倍、1997年にアジア通貨危機の震源地となったタイですら4.99倍でした。

このことから、一人あたりの名目GDPの伸び率も、この30年間日本は世界から完全に取り残されていることが分かります。

日経平均対 S&P500

次は市場株価、30年間の推移を比較してみます。日経平均と米国のS&P500を比較し、それぞれの株価の動きを見てみましょう。

 
【出典】Google株価チャート

青いラインの日経平均株価の方は、1991年1月11日に23,241円であったのに対し最新の2020年12月15日では26,687円を付けています。

いっぽう赤いラインのS&P500は、同じく1991年1月11日に315.23ポイントであったものが2020年の12月15日には3,694.62ポイントまで上昇しています。

日本の株価はこの30年間一定の範囲内で上下動を繰り返しているだけなのに対し、米国は右肩上がりで推移し続けています。ちなみにこの株価の動きは米国だけでなく、日本を除く世界各国がほぼ同じ動きをしています。

このように、ビックマック指数や名目GDPを用いて個人レベルで比較しても、また指数を用いて株価の推移を比較しても、残念ながら日本はこの30年間世界経済の潮流から完全に取り残されていることが分かります。

起業家が育たない日本

次は、将来に目を向けてみます。起業して10年以内で企業価値が10億米ドル以上あり、非上場である企業(これを「ユニコーン企業」といいます)が世界中にどれくらいあるのかを見てみましょう。


米国が圧倒的に第1位で、2位以下の中国を大きく引き離しています。アジアでは、中国、インド、韓国、インドネシアの順に並び、日本は4位です。【データ参照】CBインサイツ https://www.cbinsights.com/research-unicorn-companies
(データは2020年6月時点)

ただし、日本の人口は1億人を超えており、米国の約3分の1、中国の約10分の1と考えると、この数はあまりにも少なすぎます。これでは将来的に世界企業が日本で育たないため、雇用の創出が困難になってしまいます。

ちなみに現在世界中を席巻しているGAFAは、Googleが1998年9月、Amazonが1994年7月、Facebookは2004年2月に創業しています。Appleの創業は1976年とやや古いのですが、スティーブ・ジョブズが復帰したのは1996年12月で、iPhoneを発表したのは2007年と比較的最近です。

このように、世界的な大企業ですら多くはここ20年前後に創業されたものばかりです。そして将来も、今はまだ生まれていない企業が、数十年後に世界的な大企業となっていることでしょう。しかし、そのような企業が日本から生まれる可能性は、今のところかなり低いと言わざるを得ません。

若手の起業家をサポートする仕組み作りが急務

スタートアップ
【画像出典元】「stock.adobe.com/Tierney」

日本でユニコーン企業が育ちにくい理由は、規制改革の遅れと成長後期に必要な資金調達のハードルの高さにあります。

旧態依然とした法律に守られた岩盤規制は、今でも各所でベンチャー企業のビジネスモデルの芽を摘んでいます。これでは、世界に先駆けた素晴らしいアイデアであっても、日本から商品化されることはありません。

また、スタートアップ企業がユニコーン企業になるためには、どこかで大規模な資金調達が欠かせません。しかし日本ではまだまだベンチャーキャピタルなどの資金調達手段が充分整備されておらず、一気にIPOまでジャンプしなければ有効な調達が望めません。

世界に通用する企業を日本で作るためには、このような企業を成長させるための仕組み作りが急務と言えます。

まとめ

「赤信号みんなで渡れば怖くない」。これは、映画監督でもある北野武さんが、日本人の特性を、皮肉をたっぷりと込めて言った言葉です。

みんな一緒に、ゆるやかに貧しくなっていくのならそれほど怖くないと思うのは日本人らしいと言えば日本人らしいかもしれませんが、少子高齢化が加速して労働人口が減少している日本にとって、笑っていられる時間はもうそれほど残されていません。

アジアの盟主であった時代はもうかなり過去のものとなりました。そろそろ本気を出さなければ本当にヤバい状況は、すぐそこまで来ています。

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