お金

給料がアマゾンポイントになったら…キャッシュレス管理の危険性と暗号通貨

そなえる マドレーヌ

給料がアマゾンポイントになったら…キャッシュレス管理の危険性と暗号通貨

【画像出典元】「shutterstock.com//Parilov」

こんにちは、金融メディアライターのマドレーヌです。

最近テレビなどのニュースで、日銀がCBDC(中央銀行のデジタル通貨)の準備を始めたことが報道されました。日銀以外にも、現在世界各国の中央銀行ではCBDCの研究が活発に行われており、中国ではすでに蘇州・深セン・成都・雄安新区の4都市でCBDCのテスト運用が行われています。日銀のCBDCの開発準備も、この流れのひとつと言えます。

しかし、このような各国中央銀行のデジタル通貨化への流れは、通貨の国際化をめぐる覇権争いとはまったく関係ありません。なぜならどの国が発行するデジタル通貨も、基本的には国内のリテール決済に使われる程度で、大口の貿易決済や外為取引には利用されないからです。

つまり、どの国のデジタル通貨も、国内向け・自国民向けのデジタル通貨なのです。

それでは、もし日本にデジタル通貨が導入された場合、どのような問題が起こる可能性があるのでしょうか?本日は、デジタル通貨とその危険性について勉強してみましょう。

そもそも「デジタル通貨」とは

デジタル数字
【画像出典元】「stock.adobe.com/kras99」

デジタル通貨とは、通貨や紙幣と同じように流動性が高くそれらに準じた価値のあるもののうち、デジタル化されたもののことをいいます。

具体的には、Suicaや楽天Edyなどの電子マネーやビットコインなどの仮想通貨、そして先程冒頭でお話しした中央銀行が発行するCBDCなどをデジタル通貨といいます。

デジタル通貨への流れ

そもそもこのデジタル通貨への流れは、今に始まったことではありません。実際みなさんは、銀行システムを利用しながらデジタル通貨に近いものをすでに利用しています。

例えば銀行間の送金がそうです。送金によって実際に紙幣が移動するわけではなく、通帳の数字がただ変わるだけです。

このように、私たちはすでに日々の生活の中で、疑似的な通貨による取引をすでに経験しているのです。

デジタル通貨のメリット

通貨のデジタル化のメリットは、デジタルならではの利便性の高さとそれを扱う業務の効率化と言われています。

デジタル通貨の利用者にとっては、通貨や紙幣と違って持ち運びが便利なため財布すら必要でなくなります。災害などに被災しても、カード1枚で何でもできます。

一方、デジタル通貨を取り扱う店側も、デジタル通貨で決済してもらえれば大助かりです。例えばスーパーの場合、レジでの精算時間が短くなるためレジの人員を減らすことができます。また現金の取り扱いがなくなるため、警備会社に移送を頼むコストをカットすることもできます。もちろんレジの現金を狙う泥棒もいなくなります。

キャッシュレス経済の危険性

!マーク
【画像出典元】「stock.adobe.com/vegefox.com」

このように、通貨のキャッシュレス化には多くのメリットがあるものの、もちろん危険性もあります。キャッシュレス化により個人情報が悪用される危険性やプライバシーが侵害される恐れがあることなどもありますが、それ以上に危険なのはキャッシュレス経済圏から強制的に排除される危険性です。

例えば、毎月いただく給料がアマゾンポイントになってしまった場合を想像してみましょう。もしアマゾンポイントが他の電子マネーとの互換性が高ければ、それですべての決済を行うことができます。

しかしこの便利なアマゾンのアカウントが、ある時何の前触れもなく凍結されてしまったらどうなるでしょうか?社会がもしアマゾンポイントによる決済を中心に成り立っていた場合、アカウントが凍結されてしまえばこの便利な決済システムの蚊帳の外へ追い出されてしまうことになります。

2018年7月4日の日経新聞の社説によると、中国では習近平国家主席に批判的な意見をSNSに書き込むと、即座にSNSのアカウントが凍結されてしまうそうです。凍結されるのがSNSのアカウント程度であればよいのですが、これがデジタル通貨だったらどうなるでしょうか?完全に一発アウトです。

もちろんこれは中国の話ですが、デジタル通貨にはこのように簡単に経済圏外へ排除してしまうだけの力があります。だからこそ、その導入には慎重にならなければならないのです。

暗号通貨の必要性

電子マネーやCBDCには一歩間違うととんでもない目に遭う危険性がありますが、この危険性をヘッジするために必要なのが、ビットコインやリブラなどの暗号通貨です。暗号通貨もデジタル通貨のひとつではありますが、他と根本的に違うのは、その秘匿性の高さです。

秘匿性が高すぎるがゆえにマネーロンダリングなどに利用される危険性もありますが、これは技術的な問題を解決していくことにより改善することができます。

デジタル通貨を利用する場合、CBDCや電子マネーだけでなく暗号通貨も併用すれば、GAFA(※)のような一企業や国家に生殺与奪権を握られてしまうリスクをヘッジすることができるのです。

※GAFA:Google・Amazon・Facebook・Appleの4社。現在のIT業界において巨大で独占的な企業群を指す

最後に

?マークを持った人
【画像出典元】「stock.adobe.com/beeboys」

「私は何も悪いことをしていないから、デジタル通貨なんて全然怖くない」と思う人もいるかもしれませんが、そんな人はもう一度、日本国憲法を思い出してみましょう。

日本国憲法は何のためにあるのでしょうか?

憲法は、国民の権利や自由を守るために、国がやってはいけないこと(またはやるべきこと)が書かれています。別の言い方をすれば、憲法とは国家権力の暴走を抑えるための装置です。

いつの時代も、権力は必ず暴走します。かつて、権力の暴走には暴力と血がともなっていましたが、デジタル通貨がすべてを支配してしまえば、暴力など使わなくとも簡単に、スマートに、社会から排除することができます。

デジタル通貨は利便性も高く、社会を効率化させていくためには必ず受け入れなければなりませんが、こういった危険性がともなうことを常に頭のどこかに留めておかなければなりません。