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妻の退職後、「失業手当」と「夫の扶養に入る」はどっちが得?

FPにききたいお金のこと 内山 貴博

妻の退職後、「失業手当」と「夫の扶養に入る」はどっちが得?

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今回の「FPに聞きたいお金のこと」は3月で会社を退職し、その後求職しながら失業保険の失業手当をもらうのと、夫の扶養に入るのではどちらが得なのか、今後の夫婦のお金のことについて迷っている30代女性Nさんの相談です。

失業保険か夫の扶養に入るか迷っている30代女性Nさんの相談

ソファでくつろぐ夫婦
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勤続12年11カ月の会社を3月末で退職しました。二人暮らしなのですが、夫(会社員)の手取りは20万、家賃6.5万でこれから貯蓄できるでしょうか。退職後、夫の扶養に入るべきか、失業保険をもらうべきか迷ってます。

失業手当の給付日数やルール

3月末で退職し、新年度より新しい生活を送られるようですね。まず、Nさんの状況を質問から分かる範囲で順を追って整理します。

相談内容から自己都合か会社都合か、また再就職を希望しているのか、専業主婦となるのか分かりかねますので、どちらも触れておきたいと思います。Nさんの場合、勤続年数が10年以上で30代ということなので、給付日数は原則以下となります。

<Nさんの失業手当の給付日数>

失業手当は原則、過去2年間に12カ月以上(会社都合の場合は過去1年間に6カ月以上)雇用保険に加入している人が受給できます。会社都合の場合、7日間の待期期間後から失業手当が給付されますが、自己都合の場合はさらに2カ月、給付が制限されるため、受給できるまでしばらく時間がかかります。また、失業保険は就業を希望している人が対象です。ハローワークに出向き、再就職先を探す人に向けての給付であるため、Nさんが今後しばらく働く予定が無いのであれば扶養に入るというのが賢明であると思われます。

失業保険をもらいながら扶養に入るための2つの要件

夫の扶養
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社会保険の扶養に入る(被扶養者になる)ためには、以下2点が主な要件となります。

・年収が130万円未満

・被保険者(夫)の年収の2分の1未満

ここで注意してほしいのが「年収130万円」についてです。誤解している人も多いのですが、1月~12月の1年間で130万円未満ではなく、あくまで現時点から今後の見込みが「年収130万円未満」という考え方が判断基準となります。

よって1月~3月まで会社員としての給与が多くても、あくまで退職後の状況で判断されます。もし退職後に失業手当をもらうことになれば、失業手当も収入とみなされるため、受給中は扶養に入れない可能性があります。

ただし、130万円÷360日で計算し、失業手当の日額が3,612円未満であれば「年収130万円未満」とみなされ、その他要件を満たせば扶養に入ることができます。Nさんは扶養に入るか失業手当をもらうかで検討されていますが、扶養に入りながら失業手当をもらうことができる可能性もあります。その点ご留意ください。

ただ、Nさんの相談内容からすると、どちらか迷っているということなので、失業手当受給中は扶養に入れない給付水準なのかもしれませんね。

夫の年収・手取りで生活可能か?

家賃を除いても13.5万円あるため、その範囲内で生活費等を賄うことは難しくないと思います。ただし、生活水準やお金の使い方次第では毎月の貯蓄となると難しいかもしれません。貯蓄額は手取りの1割~2割を1つの目安にしたいところです。手取りからすると2万円~4万円となります。これから逆算し、生活できるかどうか一度試算してみてください。
ただし、財形貯蓄など給与天引きで積極的に貯蓄をしているのであれば、その分も考慮してくださいね。

まとめ

相談内容は扶養に入るか、失業手当をもらうかというものでしたが、先にも触れましたように失業手当は再就職する意思がある場合が前提となります。よって、どちらが良いかではなく、退職後、また働きたいかどうかがポイントとなりそうです。

失業手当は離職後1年間が受給期間となりますので、すぐにもらわなくても、少し休んでから就職活動をはじめるという選択肢もあります。その場合、退職後すぐに扶養に入り、その後、失業手当を受給するという流れになります。貯蓄のことを考えると共働きの方が良いと思われますが、Nさん自身のこれからの過ごし方に大きく影響してきます。どのように過ごしたいのか?じっくり考えてください。

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