不妊治療で出費多く、資産運用まで踏み切れない/30代女性家計簿相談
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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】、今回は会社員37歳女性Yさんの家計簿です。共働きのご夫婦で、数年前から不妊治療中で年間130万円程度医療費がかかっています。
30代会社員Yさんの相談内容
現在不妊治療中です。医療費の負担が大きく、確定申告はしたのですがよく仕組みが分かっていないので概要が知りたいです。資産運用もしたいのですが、医療費の出費が多くなかなか踏み切れないでいます。
30代会社員Yさんの家計簿は・・・?
夫婦の手取り合計が45万6000円。毎月の貯蓄額は3万6000円ですので収入の7.8%が貯蓄できています。現在の貯蓄額は470万円です。不妊治療などの医療費が年間で130万円程度かかっています。
2022年4月より不妊治療が健康保険適用に
少子化対策の一環として、2022年4月より不妊治療が公的健康保険の対象となる予定です。
すべての治療が保険適用になるわけではなく、対象外の治療もあるとされていますが、現在全額自己負担となっている体外受精や顕微授精、男性の不妊治療などが保険適用になる予定ですので医療費の自己負担額は大きく軽減されると思います。
2021年の夏頃にガイドラインが発表される予定ですので、情報をチェックするようにしておきましょう。
2021年1月より国の不妊治療費用の助成が拡大
不妊治療費用が健康保険適用となるのは2022年からの予定ですが、できるだけ早く不妊治療の経済的負担を軽減するため、保険適用開始までの措置として2021年1月より体外受精などの「特定不妊治療」に対しての助成が拡充されました。
●特定不妊治療・・・体外受精および顕微授精
お住まいの自治体によって独自の助成制度がある場合があります。自治体の制度内容も確認し、資金計画をたてておくことが大切です。
「還付申告」医療費控除の申告の期限はいつまで?
Yさんのように会社員で、会社で年末調整が行われているため確定申告の必要がない方が控除を受けるために行う「還付申告」は、控除の対象が発生した翌年の1月1日から5年以内に申告書を税務署へ提出することが必要です。
申告漏れなどありましたら慌てずに5年以内に申告するようにしましょう。
医療費控除の対象となる金額はいくら?
その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超えるときは医療費控除を受けることができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
国税庁 医療費を支払ったとき
医療費控除額の計算式は以下のとおりです。
1年間の医療費の合計額-保険金などの補てん金額-10万円
※その年の所得金額等が200万未満の方は、総所得金額の5%の金額
Yさんの場合、1年間の控除の対象となる医療費の金額が130万円だとすると、130万円から受け取った助成金などを差し引いた金額から10万円を引いた金額が控除の対象となります。
医療費の領収書、受けた助成金の金額、保険の支払いがあった場合は内容を記録しておくようにしましょう。
注:2021年4月現在の税制に基づく一般的な取り扱い、概要について記載しています。税制改正等で変更となることがあります。個別の具体的な内容、詳細については税務署等へご相談ください。
資産運用は長期、分散、積立
資産運用のリスクを軽減するコツは「長期、分散、積立」です。
大きなお金を一度に預けるのではなく、少額でも長い期間、毎月コツコツ積み立てて投資信託などで資産運用を始めてみることを検討してみてはいかがでしょうか。
Yさんの貯蓄を除いた生活費は42万円です。半年分の生活費、250万円以上の貯蓄がありますので預金以外の資産運用を検討することは十分可能です。まずは今の貯金額以内で月々積み立てて運用することを検討してみましょう。
長期で運用するには、早く始めることも大切です。焦る必要はありませんが、どの金融機関で口座を開設するかなど具体的に検討することから始めてみましょう。
アドバイスを受けたYさんの感想
毎年バタバタと確定申告をしていたのですが、仕組みが分からないまま申告したので不安でした。一般の確定申告と医療費控除の申告は期限などが違うのですね。
来年から健康保険適用になれば医療費負担は軽くなると思うので、来年の1月から資産運用を始められるよう準備を進めたいと思います。
家計簿診断を終えて
「資産運用を始めようと思ったまま、数年経ってしまった・・・」という声は多く寄せられます。始めないと分からないこともありますので、まずは少額から始めてみるのも良いと思います。浮かんだ疑問は一つ一つ解決するようにし、行動することが大切です。
不妊治療が健康保険適用になるとYさんの家計の負担は大きく軽減されると思います。今年も助成金が手厚くなりましたのでぜひ利用してください。少しでも負担が減ると安心して治療することができると思います。本当に良かったです。