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知らない人も多い「復興特別所得税」、いつどこでいくら払っているの?税金の使い道もおさらい (2ページ目)

ためる 内山 貴博

所得税以外でも復興特別所得税を納めているケースは?

電卓とtax
【画像出典元】「stock.adobe.com/Nishihama」

会社員で主な収入が給与のみであっても、実はさまざまなシーンで復興特別所得税を負担しています。その代表例が銀行預金の利子に対する課税、「利子所得」です。

現在は超低金利のためそれほど大きな金利収入は期待できませんが、銀行に普通預金や定期預金で預けていると年に2回、利子が付きます。その際、20.315%の税金が源泉徴収されています。

銀行が徴収しているため皆さんは納税している感覚があまりないと思いますが、預金者それぞれが負担しているのです。この20.315%を細かく分けると、15%が所得税、5%が住民税、そして残りの0.315%が復興特別所得税となります。所得税15%の2.1%であるため、0.315%となります。

株式や投資信託などで資産運用をしている場合も同様です。定期的に配当金や分配金を受け取れる場合がありますが、これらは「配当所得」として課税対象となり、利子所得と同じく20.315%源泉徴収されます。

また株式や投資信託を売却した際の利益も「譲渡所得」として課税対象となり、この場合も同じく税率は20.315%です。こういった金融取引を通して、復興特別所得税を負担しているのです。
(利子所得、配当所得、譲渡所得の細かい課税の仕組みは異なりますが、ここでは省略します)

さらには老後年金を受け取った場合(雑所得)、退職金を受け取った場合(退職所得)、加入している生命保険を解約した場合(一時所得)など、受け取る金額や状況次第では課税対象となり、そしてこの場合も復興特別所得税を払うことになります。

実は住民税からも地方自治体の防災のためのお金が引かれている

一定の所得がある人は所得税と同様に住民税も払っています。所得税が国に納める国税であるのに対して住民税は地方税です。1月1日時点で居住している県や市町村に納めることになります。

この住民税は所得割と均等割に分かれています。所得割は所得に応じて10%納めます。一方、均等割は課税対象者に対して均等に割り当てられるものですが、この均等割が平成26年度から令和5年度まで10年間、1000円上乗せされており、現在年間5500円(原則)となっています。

この上乗せされた分は復興特別所得税と同じ位置づけであり、地方自治体の防災活動や施設の耐震化等が使い道とされています。

※住民税は自治体によって課税対象、計算方法等異なる場合があります。お住まいの自治体のホームページで確認してください。

税金の使い道、知っておこう

国の大きな収入源は2つあります。1つは国債を発行する方法です。そしてもう1つが税収です。令和元年度の歳入・歳出を確認しますと、101.5兆円の歳入(収入)があり、その約6割を税収が担っています。そして、その使い道である歳出を見てみますと、最も高い割合を占めているのが社会保障費(33.6%)です。
https://www.mof.go.jp/gallery/2019_01_D.pdf(財務省HP)

人口が減少し高齢化が加速している日本において、年金・医療・介護といった様々な社会保障制度を維持していくために税収の必要性はますます高まることでしょう。

今はそういった制度の必要性を感じていない現役世代の人達も、いずれ長生きをしていく中で、お世話になることになります。社会の一員として、国の仕組みを維持・改善するために必要な税金を負担しているという責任感を持つと、その使い道や税金の仕組みにも関心を抱くようになるかもしれませんね。

まとめ

税金の仕組みを確認しながら、復興特別所得税について解説しました。

東日本大震災から10年が経過しました。納税者が少しずつ負担している復興特別所得税を有意義に活用してもらいたいものです。そんな10年という節目を、私たちは新型コロナウイルス感染拡大という大きな見えない敵と戦いながら迎えることになりました。

社会・経済に与える影響は非常に大きく、将来的にはまた何らかの税制改正が行われるかもしれません。「アフターコロナ課税」なんて称される制度ができても不思議ではありませんね。納得して負担できるよう、日頃から税金に対する意識を高めておきたいですね。

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税金の使い道についてQ&A

Q.目的税とは何ですか?たばこ税やガソリン税は目的税に該当しますか?

A.目的税とは使う目的が明確な税金のことです。それ以外は「普通税」と言います。たばこ税やガソリン税はどちらも普通税で、目的税の1つとして温泉に入る際に払う入湯税があります。温泉施設の維持等に使うという目的が明確になっています。

Q.「消費税は10%ではない」と聞いたことがあります。どういうことですか?

A.現在、一部商品の消費税率は8%ですが、ほとんどが10%です。ただ、厳密に言うと、私たちが消費税と称しているものは消費税(国税)と地方消費税の2つに分かれます。消費税が7.8%で地方消費税が2.2%、合計10%となります。よって税務に従事する人など10%ではなく、この内訳を意識することがあるためです。なお8%の場合も同様に6.3%と1.7%に分かれます。
 

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