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毎日1億円使っても約28年かかる1兆円というお金を考察

「お金0.2から2.0まで」新しい経済のルールと生き方を考える 中村 修治

毎日1億円使っても約28年かかる1兆円というお金を考察

【画像出典元】「Roman Samborskyi_shutterstock.com」

「売上が増えているのに、どうしてお金が足りないのか!?」ワタシ(中村修治)の永遠の課題である。弱小ながらも会社を30年近く経営している。その間、ずっとだ・・・。原因は、分かっている。”どんぶり勘定”だからである。

東京五輪2020の”どんぶり勘定”っぷりに驚愕!!

東京オリンピック・パラリンピック2020は、コンパクトが売りのイベントだった。招致が決定した当初の開催経費は、総額7340億円とされていた。それが実際には、大会組織委員会の発表によると総額1兆6440億円に膨らんでいる。2倍以上じゃないか!?最初の予算のつけ方が甘すぎる。普通の会社だったら怒られるどころの話ではない。

最終的に2兆円を超えるとも言われている、国を挙げてのプロジェクト。国威発揚のためならいくらカネをかけてもいいじゃないか!?という古いタイプの政治家さんたちのリードで”どんぶり勘定”は進む。

東京オリンピック・パラリンピック2020の経済効果と経済損失 

上記の表は、野村総合研究所が作成した東京オリンピック・パラリンピック2020の経済効果と経済損失の資産である*。この表の単位は「億円」である。下一桁が億円なのである。

普通に暮らす個人の人間なら、持ったこともない。見たこともない数字である。切り捨てられている数千万円は、何処へ行ったのだ!?これが”どんぶり勘定”っていうやつの実態である。金額を発表する側の偉い人たちも、その発表をニュースにするメディアの人間も、切り捨てられた数千万円への想像力は働いていない。

*出典:野村総合研究所「東京オリンピック・パラリンピック中止の経済損失1兆8千億円、無観客開催では損失1,470億円」より

東京五輪2020には、お金を払う当事者がいない!!

ワタシは、クルマを乗り換える度に悔やむ。納車後に、あのオプションをつければ良かったとか、なんで無理をしなかったのだとか。後付けしたら数十万円かかるという・・・。不思議なもので、最初の購入金額に乗ってたら高いと思わなかったものが、後付けになると高いと感じて装備する気にならない。

そんなこたぁどうでもいい・・・要は、欲しかったオプションが装備されていないクルマのローンは、ワタシが払うということである。当事者とは、そういうことである。

東京オリンピック・パラリンピック2020の開催経費が膨らんでしまういちばん大きな問題は、当事者であるはずの人たちの誰もが、責任なんて取る気がないということである。1兆6440億円の投資対効果を、国民に向かって熱く話す人がどこにもいないということである。

1兆6440億円を払う当事者になんて誰もなれないのは明白である。オリンピックまで生きているかどうかさえ危うい優秀な先生方で議論されているなら、未来のために1兆6440億円は必要だったのだと嘘でもいいから言って欲しいものである。

優秀な人たちがあぐらをかいている場所には、当事者なんていない。他人事と不当な要求しか残らない。お金を払い続けながら、バックモニターの有無を乗るたび悔やむような先生は、東京オリンピック・パラリンピック2020の現場には、ひとりもいないということである。

ちなみに1兆円ってどういうお金か!?というと、毎日100万円使ったとしても約2800年暮らせるくらいのお金である。毎日1億円使ったとしても、全部使い切るのに約28年かかる。

ひとりの人間にとって国家で動かす予算とは “どんぶり勘定”にならざるをえない金額なのである。だからこそ、それを動かす先生方には、思想や哲学が必要なのである。派閥争いやら、利権やら、選挙やらで”どんぶり勘定”にしては欲しくない。ワタシたちは、数百円、数千円の単位で、毎日を生きているのだから。