お金

「医療費控除」確定申告すればどのくらい税金の節約になる? (2ページ目)

ためる 白浜 仁子

医療費控除を受けるとどれくらい税金の節約になるの?

それでは、医療費控除を受けると、どのくらい税負担が軽減されるのか見ていきましょう。

例)
Bさん
・1年間の医療費の自己負担額 30万円
・医療保険からの入院給付金 5万円

医療費控除の額は・・
((支払った医療費の合計額)30万円―(保険金などで補てんされる金額)5万円)―10万円=15万円

となり、医療費控除の額は15万円となります。

医療費控除は所得から差し引くものなので、15万円=節税額というわけではなく、所得が15万円分だけ小さくなるというものです。その小さくなった所得に税率を掛けて税金を計算します。計算の詳細は割愛しますが、Bさんが以下のような収入だった場合の節税効果をまとめました。

上記は、給与が支給される会社員を想定したものです。
所得税率は、年収400万円は5%、600万円は10%、800万円は20%で試算しています。
また、扶養控除、生命保険料控除など医療費控除以外の控除額によっても異なることがあります。住民税(所得割)は、一律10%です。

控除額に上限はあるの?

医療費控除には上限があり最高200万円となっています。
通常、病院で治療を受ける場合は健康保険があるため窓口で3割の支払いをすれば良く、更に1カ月の負担の目安が一定以上(一般的な所得の場合9万円~10万円程度)となった場合は、越えた分を高額療養費として健康保険が手当してくれます。余程のことがない限り医療費控除額が200万円を超えることはないと考えてよさそうです。

医療費控除の申請方法

確定申告
【画像出典元】「stock.adobe.com/photophonie」

ここからは、医療費控除の申請方法について見ていきましょう。

確定申告の時期を確認

会社員は職場の年末調整があるため、確定申告の習慣がない人が大半です。医療費控除も年末調整できれば良いのですが、これは確定申告でのみ受けられる控除のため忘れないように手続きをしましょう。

確定申告ができるのは、翌年の2月16日~3月15日までが原則です。なお還付申告(税金が還付される人)は、年明け直ぐから申告書を提出することができます。確定申告の時期は税務署への問い合わせも多く混雑しますので、慣れない人は早めに取りかかると安心です。また、過去5年までさかのぼれるため、申告を忘れていた、忙しくてできなかったというときも手続きできます。

準備する書類の種類

準備する書類は、

・対象となる医療費の領収書(または、「医療費のお知らせ(医療費通知)」)
・源泉徴収票(給与所得者の場合)
・マイナンバー
・免許証などの本人確認資料

です。
「医療費のお知らせ(医療費通知)」とは、健康保険等から届く医療機関を利用した場合の通知書です。
領収書の枚数が多くある方は集計が大変ですが、医療費のお知らせがあればそれで足りるため申告の手間が省けます。

申告書は、電子申告(e-tAx)か、郵送や税務署に直接出向いて提出する方法があります。申告書の作成は、国税庁のHPにある「確定申告作成コーナー」で入力したものを印刷すると良いでしょう。手順にそって該当箇所に入力していけば、自動計算で申告書ができるため計算ミスの心配もなく安心です。もちろん、同HPから印刷して手書きしたり、税務署に出向いて申告書類をもらったりすることもできます。

医療費控除の申告には、「医療費控除の明細書」を添付することが必要です。
これは、該当する医療費の明細をまとめた一覧表で、医療の対象となった人、医療機関、治療なのか薬の購入なのかなどを記します。

なお、医療費の領収書は提出する必要はありませんが、5年間の保管義務があり、税務署から提出を求められたときにいつでも提出できるようにしておかねばなりません。
申告が終わってうっかり処分しないように気を付けましょう。

まとめ

今回は、医療費控除について見てきました。簡単にまとめると

やり方が分からないという人もいると思いますが、意外と簡単にできるものです。医療費控除をすることで税金の計算の仕組みを知ることもできるので、該当する人はぜひ申告してみましょう。

医療費控除と確定申告についてのQ&A

Q1:昨年、大病をして高額な医療費がかかりました。申告期限が過ぎていますが医療費控除を受けるのは難しいでしょうか。

A1:医療費控除の申告は、5年間さかのぼって税務署に提出することができます。通常の確定申告と何ら変わりません。既に確定申告をしているという場合は、「更正の請求」という手続きになります。

Q2:加入している医療保険からの通院給付金は、医療費控除額から差し引かねばなりませんか?

A2:通院給付金の対象となった医療費から給付額を差し引く必要があります。

  • 2
2 / 2