高校家庭科で投資の授業がスタート、その背景や授業内容は?
2022年4月から、新しい学習指導要領に沿って、高等学校家庭科の授業で「資産形成」「の授業が始まりました。なぜ今投資の授業が始まることになったのか、その理由や授業内容について見ていきましょう。
なぜ高校で投資の授業が始まるの?
2022年度から、高校の家庭科に投資の内容が組み込まれることになりました。なぜ今、投資の授業が必要なのでしょう?
老後に必要な資金は2000万円といわれ、これは毎年5万円ずつ30年貯めても届かない金額です。しかも今の大手銀行の普通預金金利は0.001%、100万円を1年預けても、利息はわずか10円。超低金利の今、貯金だけで2000万円を貯めるのは難しいといわざるをえません。しかも超高齢化・少子化がさらに進むと、2000万円でも足りなくなるかもしれないのです。
そんなとき必要になってくるのが、資産形成・運用する力。自分でお金を増やす力が求められています。そこで国は「高等学校学習指導要領」で、資産形成の方法として「投資」を高校での授業内容に組み込むことを提言しました。これにより、投資の授業が始まることになったのです。
2022年度からの家庭科・新学習指導要領に「資産形成」が登場
2022年度から高校の新学習指導要領・家庭科編に、「資産形成」の内容が盛り込まれました。さっそく、該当の文部科学省のホームページから一部抜粋してみましょう。
ア.家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること。
イ.生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること。
ウ.将来にわたるリスクを想定して、不測の事態に備えた対応などについても触れること。
参照:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 家庭編」
少し難しい言い回しですが、自分の進学、結婚、老後といったライフステージを具体的に捉え、備えることができるようにしようということです。病気など人生のさまざまなリスクに備え、社会制度を学び、資産形成することが大事だということを授業で理解させることが目的といえます。
高校家庭科で行われる投資信託や株式投資の授業内容とは
学習指導要領では、高校の家庭科の授業で学ぶ金融商品についても明記されました。
「預貯金、民間保険」に加え、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット・デメリット)、資産形成の視点にも触れながら、生涯を見通した経済計画の重要性について理解できるようにする。
「株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴」について学ぶとありますね。さらにそれを資産形成に活かし、自分のライフプランやリスクマネジメントにも使おうという訳です。
その中でも力を入れて学ぶ金融商品として選ばれたのが、投資信託。投資信託を利用した制度であるつみたてNISA(つみたて型少額投資非課税制度)や、iDeCo(個人型確定拠出年金)などについて学習します。
これらの制度は「長期・分散・積み立て」型の投資で、投資の基礎ともいえるもの。投資を行うにあたり身につけておきたい3つの基礎を学びます。さらにインターネットなどで情報収拾し、比較したり運用したりする勉強も行われる予定です。
新しく始まる投資の授業、高校生が習う内容としては、難しく感じますね。でも、2022年からは18歳が成人年齢。一人前の大人として、これから生きていくのに必要な知識ともいえます。高校生のお子さんがいるご家庭は、お父さんやお母さんも一緒に投資について改めて勉強してみてはいかがでしょうか。