就業規則の「副業禁止」と法律、どっちが有効か? (2ページ目)
目次
本業に影響しない副業とは
会社にバレても怒られない、また本業に影響しない副業とはどのようなものがあるでしょうか。次のようなものであれば堂々と行っていても良いと著者は考えます。
株式投資・FX
個人の資産運用は一般的には副業に当たらないでしょう。しかし就業時間中も時間を割いて取引を行うようなデイトレードを行っていた場合は副業とみなされても仕方ありません。
不動産投資
相続などで譲り受けた不動産から得る家賃収入などはそこまで咎められないでしょうが、自分の資産を投じて行う不動産投資についてはその戸数によっては副業とみなされてしまいます。
区分所有のマンションを1室所有しているだけでは副業とはならず資産運用の一環とみなされるでしょうが、10部屋以上の区分所有や5棟以上のアパートを所有していると青色申告が認められ事業所得として申告が必要となります。
この場合、不動産投資も事業として営む事となり副業と会社から指摘される可能性があります。戸数が少なければ本業には影響しないでしょう。
ネットオークション、フリマアプリ
家の不要品を転売する程度であれば副業とはみなされません。資源の再利用、リサイクルという観点からもエコなことで良いと思うのでどんどん家の不要品は転売してください。
しかし利益を目的として商品を仕入れてきてそれを転売しているのであれば、これは事業とみなされるので会社から副業と指摘されても仕方ないでしょう。よって転売は家にある不要品を販売する程度にしておきましょう。
副業した場合は確定申告が必要?
会社員や公務員は、会社が年末調整で税金の計算を行ってくれるため、確定申告にはなかなか馴染みがありません。確定申告とはその年の1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し税務署に申告することをいいます。この1年間の所得に対して税金を納税する必要があるのです。
しかし以下のような場合は副業で収入を得たとしても確定申告は不要です。
・本業とは違う企業に勤め、そのパートやアルバイト収入が20万円以下
・副業が上記のような給与所得以外で、年間の所得が20万円以下
所得とは売上ではなく、売上から経費を引いた金額であり、売上が20万円以上でも経費がそれ以上かかっていれば所得はゼロということになります。
アルバイト収入とそれ以外の所得がそれぞれ20万円以下であっても、アルバイト収入が10万円以上、フリマアプリ等の所得が10万円以上あれば合計20万円以上となるため、この場合は確定申告が必要となります。
まとめ
今回は就業規則で副業が禁止されている場合どこまで法的拘束力があるのか、また違反した場合どのようになるのかについて解説しました。特に以下の点について理解を深めていただければと思います。
・就業規則には法的な拘束力はない
・就業規則に違反して副業をした場合でも即解雇になる可能性は低い
・企業が副業を禁止する理由として本業への悪影響や情報漏洩などがあり、副業を認めている企業はまだ3割程度である
・資産運用やネットオークションなどは副業に当たらない
コロナ禍で会社の業績が落ち込み、給料がダウンした人も少なくないでしょう。またテレワークや仕事が減ることにより時間ができて、スキルアップのために資格取得や自宅でできる副業を始めた人も増えてきたように思います。
副業は収入がアップするだけでなく、今後のキャリアアップにも繋がるので、企業や日本経済にとってプラスにしかならないと著者は考えています。
よって副業を始めたい人は積極的に始めてください。しかしまずは会社の就業規則を確認するようにしましょう。副業の制限がなければ堂々とダブルワークで働き、万一副業を禁止するような文言が入っている場合は本業に影響しないよう、もしくは本業にプラスになることをアピールして、副業を認めてもらえるよう上司に相談・申請することをおすすめします。
国も副業を後押ししています。経営者の理解も徐々に進み始めているのでご自身のスキルアップとキャリアプラン実現のため新しいことにどんどんチャレンジしてください。
副業禁止についてのQ&A
Q.社内規定で副業が禁止されていますが、趣味のハンドメイド作品をインターネットで販売し、臨時収入を得ました。この場合、会社に報告する義務はありますか。
A.ハンドメイド作品をネット販売するという副業もありますが、継続性がなければ副業とはいえません。よってこの臨時収入が一時的なものであれば報告する必要はないでしょう。さらにその臨時収入が20万円以内であれば確定申告も不要です。
Q.会社に内緒でアルバイトをして本業以外の仕事で収入を得ました。この場合、本業の会社にバレるでしょうか。
A.アルバイトの収入が年間20万円を超えてしまうと確定申告が必要です。その際、所得が増えた分の住民税を自分で納める「普通徴収」か、会社で天引きしてもらう「特別徴収」を選択しなければいけません。会社に内緒であれば「普通徴収」を選択しましょう。しかし住民税決定通知書の所得欄は副業分を上乗せした所得金額となっているので、勘のいい事務担当者であれば気づかれる可能性があります。