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就業規則の「副業禁止」と法律、どっちが有効か?

ふやす 中村 賢司

就業規則の「副業禁止」と法律、どっちが有効か?

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収入をアップさせたい、新しい人脈や知識を得てスキルアップを図りたいなど、さまざまな理由で副業を始める人が増えてきました。

政府も2018年を「副業元年」と位置づけ「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定しています。このガイドラインによると、人生100年時代を迎え、若いうちから自らの希望する働き方を選べる環境を作り、副業・兼業を通して労働者・企業双方に相乗効果をもたらすことが目的とされています。また、厚生労働省は「モデル就業規則」を作成し、原則NGだった副業を原則OKへと変更しています。

しかし、気になるのが勤務先の就業規則で副業が認められているのかどうかという点です。就業規則で副業が禁止されている場合、その拘束力はどこまであるのでしょうか。また、この就業規則に違反して副業をしたことで解雇や懲戒処分となった場合、従わなければいけない法律的な根拠があるのでしょうか。

そこで今回は企業の副業禁止はどこまで拘束力があるのか、企業が副業を禁止する理由や副業することによるリスクなどについて解説していきます。

副業の範囲をおさらい

副業に明確な定義はありません。しかし、一般的に本業以外で収入を得ている仕事は副業とみなされます。

例えば、就業時間外にアルバイトをしていた場合や、他の企業に勤務して給与を得た場合などは副業に当たります。日雇い労働や在宅ビジネスなども副業とみなされるでしょう。

では株式投資やFXなどの資産運用で利益を得る、配当を受け取るなどの場合は副業に当たるのでしょうか。これらについては個人の資産運用なので副業には当たりません。また、家の不要品をネットオークションやフリマアプリなどで販売する行為も副業には当たりません。

ただし、資産運用の方法が分単位で行うようなデイトレードであったり、ネット販売でも定期的に収入を得ていれば継続性がある事業所得となり、副業とみなされてしまいます。

個人事業という観点からは、一時的な「雑所得」か、継続性のある「事業所得」かによって、副業か否かの判断は異なります。

一時的なスポットでの講演や執筆などは副業には当たらない許容範囲でしょう。しかしWEBサイトを作り、継続的なアフィリエイト収入があれば副業とみなされるかもしれません。またネットオークションやフリマアプリも、わざわざ商品を仕入れて利益を上乗せして販売しているようであれば、これは雑所得ではなく事業所得に当たるため副業となるでしょう。

就業規則と法律、どっちが有効?

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副業をしたくても、会社の就業規則で禁止されていれば、なかなかその一歩を踏み出すことができません。しかし、日本国憲法第22条1項では「職業選択の自由」を定めています。また、労働関連の法律でも「副業の禁止」という文言はなく明確に定められていません。

よって、企業の就業規則に違反したからといって法律で罰せられることはありません。過去の判例によると、副業をしたことで解雇された事例は、副業をしていたからという理由ではなく、副業によって本業の勤務先に損害を与えたり、本業の業務に支障をきたしたようなケースです。

就業規則で定めている副業禁止に違反したから即解雇というような極端な事例は、法律で定められている「職業選択の自由」を侵害しているため、法的な効力は低いと著者は考えます。

また、先に述べたように政府も副業解禁を後押ししているため、今では副業を認める企業が増えてきました。みずほ銀行、新生銀行、SMBC日興証券のような金融機関も副業を認め始めており、三菱地所、ヤフー、ライオンなどは副業を解禁しているだけでなく副業・兼業で自社の業務を請け負ってくれる人材まで募集しています。

企業が副業を禁止する理由は

副業を認めている企業が増えてきたとはいえ、兼業・副業を認めている企業はまだ3割程度といわれています。企業が副業を禁止する理由としては次のような理由が挙げられます。

本業への悪影響

本業以外に就業時間外も労働することで長時間労働を助長してしまい、過重労働による本業への悪影響を及ぼすことがまず挙げられるでしょう。企業にしてみると本業に専念してほしいというのが本音ではないでしょうか。

利益の毀損や人材の流出

また、副業先で利益をもたらすことにより自社の利益を毀損してしまうことや、そのまま副業先の企業に雇用されるような転職による退職も、企業にとって懸念材料のひとつでしょう。

機密情報の漏洩

さらに、自社の機密事項や個人情報などの情報漏洩、副業先で起こしたトラブルによる自社ブランドの毀損も心配でしょう。さまざまな理由で企業は副業を禁止しているところが多いようです。

しかし、副業は労働者にとって大きなメリットもあります。収入がアップするだけでなく、新しい人脈を作り本業に活かしたり、新しい知識を得てスキルアップできます。労働者と会社の副業に対する考え方には、まだ隔たりがあるようです。

公務員は原則禁止

政府が副業を後押ししているとはいえ、公務員は原則副業が禁止されています。その内容は次のとおり国家公務員法第101条と第103条、地方公務員法第35条と第38条に定められています。

以上のように、これらの法律では具体的に副業を禁止するとは書かれておらず、勤務時間および職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならない、また職務にのみ従事しなければならないと書かれています。

また、営利企業を営むことやその事務に従事してはならないとも記載されています。一方で、非常勤職員についてはこの限りではないとも定められています。

このように法律で定められていますが、最近では一部の自治体で副業を容認するところも出始めました。地域貢献に関する活動においては報酬を得る副業を認める自治体や、民間企業に勤めている人を高度専門人材とし、兼業副業職員として採用する自治体もあります。

副業を行う側のリスク

企業にとっての副業のリスクは、前述したように従業員の過重労働や長時間労働による本業への悪影響や同業他社への転職や利益相反による自社売り上げの減少、また情報漏洩などがあります。

副業をする労働者にとってのリスクは、このコラムのテーマでもあるように就業規則で副業が禁止されているにもかかわらず副業をした場合、どのような処分が下るのか、ということではないでしょうか。言い換えれば、会社にバレるのかバレないのかという問題が会社員の懸念であり一番のリスクとも取れます。

後述していますが、副業した場合でもその所得が20万円以内であれば確定申告をする必要がないため会社にバレる事はないでしょう。会社に副業がバレる一番の理由としては副業しているところを見られたというのが多いようです。

また、副業する時間が増えてその分所得が上がった場合は確定申告をする必要があるため、その所得金額によっては会社にバレてしまうこともあるでしょう。確定申告をして所得税の申告をした場合、翌年の住民税通知書にもその所得が記載されてしまいます。所得欄で気づかれなくても、住民税額によって同僚と差があれば気づかれる可能性があります。

よって確定申告をする場合は、住民税を特別徴収ではなく普通徴収にしておき会社に気づかれないようにしておくと良いでしょう。

 

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