医薬品も医療費控除できる!セルフメディケーション税制とは?
目次
セルフメディケーション税制という制度をご存じでしょうか?病院には行かずに一定の条件を満たした医薬品を使っている人向けの医療費控除の制度です。どんな制度で、どんな医薬品が対象なのかなど詳しく解説していきます。
セルフメディケーション税制とは?
1年間に支払った医療費の合計金額が10万円を超えた場合、所得税や住民税が軽減される「医療費控除」を利用できることは、多くの方がご存じでしょう。しかし一方で「毎月健康保険料を支払っているけれど、病院は2~3年行っていない」「風邪を引いてもドラッグストアで購入した風邪薬を飲んで治す」という方も多いと思います。
このように、病院には行かずに一定の条件を満たした医薬品を使っている人にもメリットがあるようにと2017年にスタートしたのが「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」です。
セルフメディケーション税制の適用条件は?対象のOTCT医薬品って?
セルフメディケーション税制の適応を受けるためにはいくつかの条件があります。
・毎年健康診断を受けていること
・対象の市販薬(OTC医薬品)を年間1万2000円以上購入していること(控除上限8万8000円)
控除の対象は、申請する自分と生計を一にする配偶者やその他親族のために購入した医薬品です。なお、OTC医薬品とは医療用医薬品を同じ成分を含んだ市販薬のことで、2022年1月現在でおよそ3400の商品が対象になっています。対象市販薬には専用のマークがついています。
このマークがついている商品を購入した際のレシートを保管しておき、年末に集計して1万2000円を超えているようであれば確定申告で控除を受けられます。
国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-iryouhikoujo.htm
セルフメディケーション税制の改正、どのように変わったの?
令和3年度税制改正でセルフメディケーション税制は対象となる医薬品の範囲等が見直され、期間も令和8年12月31日まで延長されました。また対象の市販薬も約2500品から約3400品へと増えています。対象が増えることで、より使いやすい制度になったと言えます。
通常の医療費控除とは?
医療費控除についても少しおさらいしておきましょう。医療費控除とは、毎年1月1日~12月31日の1年間で自己負担10万円以上の医療費を支払った場合、その超過した金額を所得から控除して、所得税や住民税が軽減される制度です。医療費控除を申し込むには確定申告が必要です。
控除額は下記のように計算されます。
控除額=1年間の医療費の合計-生命保険などの給付金-10万円
医療費には病院などの自己負担分や医師の処方箋をもとに購入した医薬品、治療に必要な松葉杖などが含まれます。
セルフメディケーション税制と通常の医療費控除、どっちがお得?
この健康に関わる二つの控除は併用できません。そのため、対象の医薬品を購入したり、病院に行ったときの領収書などを保管しておき、年末の段階でどちらかが対象になれば確定申告する、というイメージです。セルフメディケーション税制と医療費控除、どちらがお得なのかは気になるところですね。
簡単な例ですが比較してみましょう。
(例)対象家庭:給与収入550万円・扶養配偶者あり・社会保険料70万円のAさん一家
① 対象の市販薬を一家で5万円分購入し、セルフメディケーション税制で申告した場合
5万円-1万2000円=3万8000円分の所得控除を受けることができます。結果、所得税と住民税を合わせて約7600円の節税効果があります。
② 医療費20万円を自己負担で支払い、加入している医療保険から5万円の給付金を受け取り、医療費控除で確定申告を行う場合
20万円-5万円-10万円=5万円分の所得控除を受けることができます。所得税と住民税を合わせて約1万円の節税効果があります。
基本的には医療費控除の方が節税効果は大きいと思われますが、対象医薬品をたくさん購入するような場合はセルフメディケーション税制の方が節税額が多いことも予想されます。
インターネット上にセルフメディケーション税制と医療費控除、どちらを利用するとお得かを比較する日本一般用医薬品連合会のようなサイトもあります。まずはレシートや領収書をきちんと保管し、年末になったら比較して有利な方で確定申告しましょう。
まとめ
セルフメディケーション税制・医療費控除、どちらも確定申告が必要です。確定申告と聞くとハードルが高そうなイメージがありますが、会社員で源泉徴収票があればインターネット上で簡単にできます。
セルフメディケーション税制は毎年健康診断を受け、市販の医薬品を使って日頃から健康管理ができている人には節税メリットがある制度です。身体のことを考えると医薬品を買う機会は少ない方が良いとは思いますが、もし該当するようであればぜひ活用してください。