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30代で貯金1000万到達は可能?FP推奨の効率よく貯めるコツ

ためる 内山 貴博

30代で貯金1000万到達は可能?FP推奨の効率よく貯めるコツ

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20代後半~30代は、仕事で重要なプロジェクトを任されたり、リーダーなど責任ある立場になったり、そしてプライベートでは結婚・出産など自分も周囲にも大きなライフイベントが多い時期です。その中で「みんなはどれくらい貯蓄があるの?自分は少ないのでは?」と気になることはありませんか?30代で一つの目安にもなる貯金1000万円を突破できるかどうか?その後の人生をゆとりあるものにする上で大きなポイントとなりそうです。

30代はどれだけ貯金ある?単身と2人以上世帯では明らかな差が

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(令和4年)によると30代で金融資産を持っていない人の割合は単身世帯、2人以上世帯で以下のようになっています。

<金融資産を有していないと回答した30代の割合> ※2人以上の世帯は世帯主が30代

貯蓄がないと答えた単身世帯は3割以上、一方2人以上の世帯は2割程度と1割近い差が生じています。これはさまざまな見方ができると思います。単身世帯は子供の教育費などの準備が必要ないため、貯金よりも消費を優先しているのかもしれません。違う見方をすると貯金をする余裕がないため、単身での生活を送っている可能性もあります。

一方、2人以上の世帯は将来への備えという意識が高いのでしょうか。または共働きでゆとりがあり、しっかり貯金ができているという側面もありそうです。

では、貯蓄があると回答した人は一体いくら持っているのでしょうか?こちらも単身世帯と2人以上の世帯に分けて以下まとめました。

 

まず単身世帯では約3割が100万円未満と回答しています。半数以上が300万円未満を占めている状況です。平均額は741万円、中央値が270万円となります。

今回のテーマでもある「1000万円」を達成しているのは約20%です。そもそも30代の単身世帯のうち3割が金融資産を有しておらず、有している人の中での20%であるため、「30代・単身世帯」にとって1000万円を達成することは非常に難しく、ごく一部の人達であることが分かります。

一方、2人以上の世帯は以下のようになっています。

 

2人以上の世帯の場合、平均値が697万、中央値が390万と平均額は単身世帯を下回っていますが、中央値で見ると100万円以上上回っています。1000万円を達成している割合は単身世帯同様約2割となっており、やはり1000万円というのは高いハードルであることが分かります。

人生のお金の貯め時は?

長い人生、少しずつ貯蓄し、そして最後は取り崩していくというシナリオが一般的です。その中でも「お金を貯めやすい時期」をしっかり意識することが大切です。支出がかさみ、「あの時もう少し貯金しておけばよかった」とならないように「貯め時」にしっかり貯めてください。では、その「貯め時」とはいつでしょうか?

○就職2~3年目から結婚までの独身期間

就職1年目は新しい生活が始まり、何かと物入りで、また月々の収支管理も手探り状態で余裕を持って貯金をするのは難しいかもしれません。ただ、2年目、3年目になると社会人としての生活にも慣れ、また昇給や賞与も期待でき「貯め時」といえます。余裕ができたからとすぐに生活水準をあげるのではなく、「いずれ結婚、出産、車や住宅の購入など支出がかさむ時期がくる」と気を引き締めて、まずはしっかりお金を貯めてください。

○共働き夫婦で子供がいない期間

今は共働き夫婦が増えていますが、子供がいない、または子供が生まれるまでの期間は絶好の「貯め時」です。いわゆる「Wインカム」で経済的にゆとりがあるため、マンションのグレードを上げたり、外食が多かったりと、結果、あまりお金が貯まっていないというケースもよく見受けられます。夫婦それぞれの暮らしの価値観は大切ですが、一方で、お金を貯める好機であることを意識しておいてください。

○子供が小学生の頃

子供がいる場合の「貯め時」は子供が小学生の時期です。小学生に入るまでは子供に手がかかり、夫婦それぞれがフルタイムで働くのが難しいかもしれません。保育園に預けて両方働いていても、世帯所得に伴って保育園料が決まるため、思うようにお金が貯まらないということもあるかもしれません。

一方で中学や高校に入学すると、多くの学生が部活や塾に通い始めたり、スマートフォンを持ち始めたりと、何かと出費がかさみます。そういう点で、ちょうどその谷間にあたる、小学生の頃は絶好の「貯め時」です。近々到来する学費のピークに備え、しっかりと貯めておきましょう。

貯金1000万円に到達するコツは

お札を持つ男性
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ではこの1000万円の貯金という「高いハードル」を超えるためにはどのようなことを意識すればよいでしょうか?貯金1000万円を達成するためのコツを5つ紹介します。

①強制貯金をする

これは絶対に重要な要素です。「収入-支出」で余った分を貯金に回そうと考えていてもなかなか計画的に貯まらないものです。「収入-強制貯金」をして余ったお金を支出にまわそうという発想が大切です。強制貯金は手取りの1~2割程度を目安に設定してください。

②つもり貯金をする

この方法もぜひ実践してください。「支出したつもり」、「支出するはずだったのにしなくてよかった」ということは日頃の生活でよくあると思います。

・食事に行ったら上司がご馳走してくれた
・定価で買う予定だった商品がたまたまタイムセールで安かった

こういった場合、浮いたお金を「支出したつもり」で貯金に回すのです。また、「もう1杯缶ビールを飲みたいけど我慢しよう」、「タクシーに乗りたいけどこれくらいの距離なら歩こう」など、自ら意識することで「飲んだつもり」、「タクシーを使ったつもり」でその分を貯金に回すこともできます。

③「浪費」ではなく「自己投資」にお金を使う

私たちは生きていく上でどうしても家賃や光熱費、食費など最低限の支出は伴います。そういった支出を抑えることには限界があります。節約は1に対して1の効果しかありません。つまり1,000円分節約したら1,000円貯金に回るという等価の関係です。

「自己投資」は、読書、資格取得、人脈作りの活動などそれなりにお金がかかる場合もありますが、自己投資の支出は等価ではなく、1に対して5や10、あるいはそれ以上の大きな効果につながる可能性があります。

高収入の人や一定の所得がある人は知識や経験が豊富であったり、身なりを整えていたり、自分を高めるための投資に積極的です。ただ、自分への投資は「浪費」と背中合わせでもあるため、お金を使う際には強い意志や明確な目標が必要です。

「この会合は人脈を広げる上で絶対に出席したい」と言いながら、ただ楽しむだけになってしまったり、購入した本を読み終えず、次から次に購入し、いわゆる「つんどく(読んでいない本をどんどん積んだままになっている状態)」になってしまわないように注意しましょう。

④1000万円を貯める「到達年齢」を定める

1000万円を貯めるために、コツコツ節約して貯めることと積極的な投資とのバランスはどう取ればよいでしょうか?それは1000万円という大きな目標に到達する時期、「到達年齢」を明確に定めることです。

今、30歳の人が33歳で貯金1000万円を達成したいのか、37歳までにするのか。到達年齢を定めることで、月々必要な貯金額、つまりは節約額や自己投資額を見積もることができます。

とはいえ貯金はなかなか計画通りには進まないものです。適宜プランを見直しながら、節約と自己投資のバランスを意識し、自己投資の成果を確認しながら一歩一歩大台に向けて進んでください。

⑤お金の勉強をする

1000万円を貯めるためには、「お金の知識」を身に付けることが大切です。まず税金や社会保険の制度を知ることは、お金を貯めるスピードを加速させることに繋がります。このようなマネー記事を読むこともお金の勉強のひとつです。

税金のことを知れば、自分が納めた税金が条件によって還付される制度があることに気付くでしょうし、社会保険制度を知ることで民間の生命保険や医療保険、がん保険の見直しができ、節約につながることもあります。

こういったお金の勉強が苦手な人も多いかもしれませんが、だからこそ見落としていることも多いと思います。40代、50代となったときに「あの時知っておけば・・・」とならないように、今のうちから積極的にお金の勉強、情報収集に励んでください。

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