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ETFと投資信託の違いは?どっちがいい?効果的な使い分け方も解説

ふやす 内山 貴博

ETFと投資信託の違いは?どっちがいい?効果的な使い分け方も解説

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投資に興味を持ってみると、さまざまな証券用語を目にする機会が増えてくるでしょう。インカムゲイン、インデックス、為替、株価・・・など、さまざまある証券用語の中でも最近よく目にする「ETF」という言葉。「ETFも投資信託の一部らしいけど、通常の投資信託とどう違うの?」「ETFと普通の投資信託はどっちがいい?どう使い分けすればいい?」と疑問を持つ方も多いと思います。そこで今回はETFと投資信託の違いやメリット・デメリット、ETFの効果的な使い方などを解説していきます。

投資信託とは

投資信託は「ファンド」とも呼ばれます。ファンドは基金を意味します。何か1つの目的を達成するために基金を設立してお金を募ることがありますが、投資信託も同様に投資家からお金を集め、ひとつの大きな資金として運用します。運用を担うのは運用会社やファンドマネージャーといった専門家たちです。

例えば日本株を対象にした投資信託では、数多くある日本株の中から専門家が投資対象としてふさわしい株を選び、運用します。もちろん日本株だけではなく、外国株や債券、不動産投資信託(REIT)など、投資信託によってその投資対象はさまざまです。

例えると投資信託は「詰め合わせ商品」です。お歳暮やお中元などで「新鮮な海の幸の詰め合わせギフト」などを見たことがあると思います。本来であれば1つ1つお店(市場)に買いに行く必要があるところを、あらかじめ厳選して1つのセットにしてくれているので大変便利ですよね。投資信託もこのような商品だと理解してください。

整理しますと以下のようになります。

・投資信託は直接、市場に注文を出さなくてよい(非上場)
・投資信託はさまざまな投資対象をプロが選び、1つの商品として運用してくれる

つまり、資産運用で重要な「長期分散投資」を実現しやすく、さらには少額から購入できるのが投資信託の大きな特徴です。

ETFとは?通常の投資信託との違いは

東京証券取引所の株価ボード
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ETFは「Exchange Traded Fund」の略で「上場投資信託」と呼ばれ、取引所で取引できる投資信託のことを指します。一般的な投資信託は取引所に上場していない「非上場」であるのに対してETFは「上場」しているという点が大きな違いとなります。「詰め合わせ商品」でありながら市場に出向き「せり」に参加するイメージです。個別株の取引と同様の注文を行うため、これらがメリットでもありデメリットにもなりえます。

ETFのメリットや手数料は?

ETFのメリットとデメリットを詳しく見てみましょう。

<メリット>

個別株と同じように注文するため、以下が大きなメリットとなります。

・タイムリーな注文ができる
・指値注文ができる
・信用取引ができる

通常の投資信託はブラインド方式と呼ばれ、1日1回夕方頃に基準価額が発表されます。その日の注文はすべてその基準価額で成立することとなります。日中はいくらになるか分からず、見えないため「ブラインド」なのです。よって「注文したものの、予想以上に高値で買うはめになった」ということもあり得ます。

一方、ETFであれば取引時間中の気配値(売り、買いの注文状況)を見ながら注文できますし、「〇円以下で買いたい」といった指値注文もできます。さらには個別株同様に保証金による取引、信用取引も可能です。機動的にまたバラエティに富んだ資産運用が可能となります。

<デメリット>

一般的に、投資信託は買付時に「販売手数料」がかかりますが、信託財産留保額がかかる一部の商品を除き、売却(解約)時の手数料はかかりません。一方、ETFは個別株と同じように売買するため、売り買いの都度、手数料が発生します。これがデメリットとなりえます。コスト面についてはインデックスファンドと比較しながら、もう少し細かく見ていきましょう。

ETFにかかる手数料をインデックスファンドと比較

ETFの多くが日経平均やTOPIXといった株価指数に連動する「インデックスファンド」です。そこで気になるのが、同じ投資対象であればETFを買うのと非上場のインデックスファンドを買うのでは、どちらが有利なのか?という点です。コスト面での違いを以下整理します。

※上記は原則です。また信託財産留保額については今回考慮していません

運用管理費用はマイインデックス(2022年2月末時点)の上位10ファンド(国内株)を対象に比較しています。

以前は、ETFのメリットの1つに、インデックスファンドよりも運用管理費用が低いということが挙げられていましたが、今はそれほど差がないことが分かります。

また売り買いをする度にかかる手数料をETFのデメリットとして紹介しましたが、手数料の低いネット証券を利用したり、または長期投資前提で頻繁に売買をしない人にとっては大きなデメリットには感じないでしょう。概して現状はETF対インデックスファンド、大きな違いはないと言えそうです。

ETFの効果的な使い方は?

リスクへ備える
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ETFは機動的な注文ができるため、例えば株価が急落し「買いの好機」と判断した際に購入するといった使い方が効果的な方法の1つと言えます。

2020年以降、パンデミック宣言にはじまり、北朝鮮やウクライナ情勢といった地政学リスクの影響で、度々取引時間中に株価が急落する局面がありました。「安い時に買う」のが投資の原則の1つですが、相場急落時にすぐに「どの銘柄が良いか」と判断できない場合もあります。その時は「日本株に連動するETFを購入しよう」といった具合に機動的に対応できます。

また、逆に株式や投資信託を保有して短期的な急落に備える際に、ベア型(インバース型)のETFを買うことで一定のリスク管理となります。「インバース」とは反比例という意味で市場の指数と逆連動します。つまり、日経平均株価が大きく下落すると、その分、そのETFの基準価額は上昇するわけです。

市場が不安定な際に「保有株式などを売却はしたくないけれど、相場下落の影響を限定的にしたい」という時に有効です。

まとめ

長期投資、分散投資は投資の基本であり、それを実践する上で投資信託・ETFは非常に有効な手段となります。ただし、長期で運用する中では、投資者それぞれの年齢、ライフスタイルや価値観は変化していきます。社会や国際情勢も変化します。投資信託も新たな商品が販売されるなど都度変わっていきます。

つみたてNISAやiDeCoなどでコツコツ投資信託を積み立てることで資産形成につながっていきますが、年に1回程度で構いませんので、「今の投資信託で良いのか?他の商品はどういった状況なの?」とチェックするようにしてください。プロに任せられるのがメリットの1つですが、任せっぱなしにしないことが上手に運用するための次の1歩となりますよ。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。