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「投資や運用、何から始めていいか分からない」FPの意外な回答は

FPにききたいお金のこと 内山 貴博

「投資や運用、何から始めていいか分からない」FPの意外な回答は

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30代女性Fさんの相談内容

正社員として働いていますが、年収は300万円ぐらいで多い方ではありません。古い考え方の会社で、今後給与が上がることも期待できません。結婚しておらず、老後が心配でつみたてNISAなど考えていますが、何から始めていいのか分かりません。ネットで調べてみるのですが、知識がないため正解が分からず、なかなか踏み出せません。まずは何から始めたら良いでしょうか。

はじめの一歩は10万円以下の株式投資

投資や運用について「何から始めていいのか分からない」という方の相談は非常に多いです。特にNISAやiDeCoが注目されるようになり、「自分も将来のために何かしなければ」という焦りを感じ、冷静に判断や行動に移せないという人もいます。おそらくFさんもそうではないでしょうか?

そんなFさんにまず始めてもらいたいことは、つみたてNISAでもiDeCoでもなく、「証券口座を開設して10万円以下で株式投資をする」ということです。

これまで、「初心者はコスト面でもメリットのあるつみたてNISAが良い」「老後資金が目的であれば所得控除もあり節税効果が大きいiDeCoが良い」といった情報に触れてきたのではないでしょうか?

もちろんこれらも適したアドバイスなので、否定するつもりはありません。ただし、Fさんのような初心者や、何から始めれば良いのか悩んでいる人にとっては、いざ実行に移すまでにいくつかの意思決定をしなければならない点が、少し高いハードルになっている可能性があります。

・つみたてNISAか一般NISAか?
・NISAとiDeCoはどう違うのか?
・いざ始める場合はどの金融機関が良いのか?
・数ある投資信託からどのように選べば良いのか?
・そもそも投資信託とは株式や債券とどう違うのか?

といった具合です。おそらく質問内容からFさんは会社や給与面、ご自身の状況から「投資の重要性」については感じているようなので、まずは「投資とはどういうものなのか?」ということを「株式投資」を通して知っていけば、自然と自分自身がどのように老後不安を解消するために何をすべきなのか見えてくると思います。

株式投資を始めることで視野が広がり、知識が増える

オンラインで投資の勉強をする男性
【画像出典元】「stock.adobe.com/ryanking999」

「株式」はリスクを取って運用するということに関して代表的なものです。また、「10万円以下」としたのは1つの目安です。「仮に半分、あるいはゼロに近くなっても良い経験、勉強ができたと割り切れる金額」で始めてください。

私も初めての株式投資は10万円以下で始めました。どの銘柄がいいのか?どのタイミングが良いのか?大切な自分のお金を投じるため真剣に勉強しました。実際に株式投資を行うことで、投資についてさまざまな知見を得ることができました。

初めての注文。ドキドキしたことを覚えています。翌日から「なぜ今日は株価が下がっているのか?」などといろんなことに敏感になりました。配当金や株主優待をもらうことで、株式投資の魅力を感じると同時に、悪いニュースが流れて株価が急落すると「投資したお金が紙クズになってしまうのでは」という不安を感じ、1つの銘柄(企業)ではなく複数に投資をする「分散投資」の重要性を身をもって感じました。

その頃には株式と債券の違いについても興味を持ち、気付けば、長期投資や分散投資に適している「投資信託」についても調べるようになりました。このように、株式投資を始めることで、ごく自然な流れで投資についての基礎知識を学ぶことができます。

NISAやiDeCoはメリットがある一方で注意点もあります。よって、このような各種制度自体は気にせず、シンプルに株式投資を始めてみることで、どんどん視野が広がっていくと思います。株を一度売却することで、どれくらい税金がかかるのか、非課税制度がどれだけ有利なのか、ということを感じることもできるでしょう。

Fさんはまだ30代です。1年程度、こういった時間の使い方をした後、本格的につみたてNISAやiDeCoなどを始めても決して遅くありません。むしろ、「急がば回れ」で、悩んで何も始めないよりも近道になるかもしれません。

証券会社の口座を開設し、余剰資金を入金する。Fさんの好きな商品やサービスを提供している会社や、今後期待できそうな企業の株価がいくらなのか?楽しみながら投資と向き合うところから始めてみてください。老後の不安を解消する最初の1歩になりますよ。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。