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「うまい儲け話」に騙されないために、注意するポイントとは?

お金をとことん増やしたい人のための「資産運用」超入門 泉 正人

「うまい儲け話」に騙されないために、注意するポイントとは?

そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。

この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。

資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるように。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!

うまい話の「裏」を見極める力をつけよう

さて、これまでにいろんな資産運用法について話してきたけれど、いよいよラスト。今日は、お金を増やす資産形成期、お金を減らさない資産保全期、いずれにおいても重要な、「だまされない」「詐欺にあわない」ことについて話していくよ。

わ、最後にそれが来ましたか。

「自分だけは大丈夫!」と思っている人ほど引っかかるという説もあるから、過信は禁物。

…僕ですね。

これからの時代、うまい話の裏には何があるのかを見極める力も必要。というわけで、ここでは、自分の認識違いや知識不足のせいで損をしてしまうパターンから、犯罪レベルの詐欺のパターンまで、さまざまなケースを解説していくよ。

だましのパターンを知っておけば、同じようなケースに遭遇したときに回避することができるようになる、ということですね?

そうだね。でも人間の記憶は忘れやすいもの。だからここに関しては、年に数回、思い出してもらうことをおすすめするよ。

お金持ちになりたいなら、誰に話を聞くべき?

まずは、お金についての話をするとき、「誰に相談するか」「どんな情報を信じるか」を知ることが大切なポイント。

水泳が上手になりたいと思ったら、水泳の先生に学びますよね。つまり、資産運用に関しても同じこと、ですよね?

その通り。お金持ちになりたいなら、自分よりお金持ちに聞く。これがベスト。

そのためには、相手は自分よりお金持ちなのか? を知ることも大事ですよね。

そうだね。特に運用について相談するときは、しっかり見極める習慣をつけよう。資産運用に関する情報を発信している、保険や家計のプロであるファイナンシャルプランナーや、マネー雑誌で、特定の銘柄や金融商品を推奨しているアナリストや経済評論家は、はたして資産運用によってお金持ちになっているのかどうか、とかね。そうした観点を持って、どのような人・情報を信じたらよいかを見極めよう。

これは本当に重要ですね。

では早速だけど、例えば金融機関などの担当者から、「この金融商品はおトクですよ! この銘柄は上がりますよ!」と言われたら、どうだろう?

やっぱり、「プロがすすめるのだから、信じて買ってみる」という人も多いんじゃないでしょうか。でも…。

ちょっと待って!だよね。さっき話したように、「何のプロなのか」を見極めてみよう。このケースでは、相手は金融商品でお金を増やしたプロではなく、あくまで金融商品のセールス、つまり営業のプロ。立場を逆にして考えてみて。もし、Kくんが証券会社のセールス担当者で、月間ノルマ1,000万円分の金融商品を売らなければならない立場だったら、お客様にとって手数料が低く、利幅が大きい商品、それとも、お客さまにとっておトクとは言えないが、会社にとって手数料収入が多い商品、どちらを売ると思う?

やっぱり、会社にとって手数料収入が多い商品を売ってしまいますね。

そうだよね。でも、売り手側にとって有利な商品を売られるということは、買い手が損をしてしまうおそれがある、ということ。

そうなりますね。

立場を変えて考えるこの方法は「両面思考」といって、「損しない」「だまされない」ために非常に有効な考え方だから覚えておこう。

両面思考。覚えておきます。

商品に付随する手数料などが適切な配分かどうか、僕たち買い手には判断が難しいもの。だから、自分自身でほかの金融商品と比較したり、中立的な立場の情報を知ることによって知識をためていく、判断力をアップさせていくことが大切だよ。

わかりました!

過信は禁物!「詐欺の仕組み」を知って身を守ろう

さて、古今東西、尽きることのない「投資詐欺」に関しては、結果的に相手に損を負わせたというものではなく、明らかに「最初から相手からお金をだましとる」ことを目的としているもの。だからこそ、用意周到に準備され、一見信頼性が高く見える点も厄介なんだ。

金融商品に関する詐欺の手口として多用されるものって、どんなものですか?

「ポンジ・スキーム」だね。

ポンジ? 初めて聞くワードです。

これは、「出資してもらった資金を運用して、その利益を出資者に配当金などとして還元する」などと謳っておきながら、実際には資金運用を行わず、あとで参加させる別の出資者から新たに集めたお金をやはり運用せずに、以前からの出資者に「配当金」などと偽って渡すこと。あたかも資金運用が行われて利益が生まれ、それが配当されているかのように装う詐欺のことだよ。日本では「出資金詐欺」ともいわれている。

あぁ…。ニュースなどでもよく取り上げられていますね。

これらは、はじめから破綻することを前提にしていて、出資者から得た資金を配当に回す自転車操業的なシステムだといえるんだ。

この「ポンジ・スキーム」を見極めるポイントって、あるんですか?

次の5つかな。覚えておこう。

冷静な状態では、「これで引っかかるわけがない」と思うものなんだけど、「利回りが高い」「少額からはじめられる」「毎月の配当金」など、出資者側の願望を巧妙に刺激する内容になっていることから、被害者が後を絶たないんだ。ほかにも投資詐欺は頻発しているので、詐欺の手口を知り、つねに警戒することが必要だよ。

ここでも「両面思考」が有効そうですね。

まさにそういうこと。発信者や商品の売り手側からの一方的な情報があふれる現代、その情報だけを盲信していると、発信者にとって都合のよい展開に利用されてしまう。「もし、自分が相手側だったらどうするか」「相手にとってのメリットと自分にとってのデメリットは何か」をつねに考える両面思考を習慣化すると、自分の身を守ることができるようになるよ。

詐欺の手口を知り、警戒を怠らない。「うまい話などない」を、肝に銘じます!

「顧客本位の業務運営」の裏にある現実とは?

2017年4月に、当時の金融庁長官だった森氏が、投資信託などの金融商品を販売する金融機関に対して発信したメッセージが話題になったけど、覚えているかな?

えーっと…。

要約すると以下のような内容。国策としてNISAやiDeCoを普及させていくうえで、とても重要なメッセージとなったので改めて挙げてみるね。

金融庁がこのようなメッセージを出した背景には、どんなことがあったんですか?

金融機関が投資家から多くの手数料を取ることで利益を得て、その金融機関の利益が投資家の負担となり、投資で利益が出づらい構図があった。その構図を改善したいという意向から、金融庁はこのような公式メッセージを発信したんだ。

なるほど。

なかでも印象的だったのが、日本で当時売られていた5,406本の公募株式投資(投資信託)のうち、「つみたてNISA」の対象となりうる投資信託は50本弱しかない、との調査結果を発表したことなんだ。

そんなに少なかったんですか!

つまり、世の中にある投資信託の99%は、手数料が高すぎて、投資家が損をしやすい構図になっていた。その手数料体系などを改善するために、このような具体的な調査結果を金融庁が発表し、警鐘を鳴らしたんだ。

販売業者が大きな利益を上げる一方で、個人投資家が損を被るというような事例って、たくさんあるんですね。

そう。立派な詐欺といえるものから、詐欺とはならないまでもリスクとリターンのバランスがかなり悪いものまで存在するんだ。実際にどのような事例があるのかは、たとえば投資信託なら「高利回りファンド」や「高齢者への投資信託の不適切販売」、不動産投資なら「不動産会社によるサブリース問題」など、さまざまな投資詐欺事件をインターネットで調べることができるので、それらを見ながら、しっかりと見極める力を持つようにしていこう。

わかりました!

資産運用を通じて、もっと豊かな人生を

いまの時代、資産運用はお金持ちのみが行う特別なことではなくなったよね。誰にとっても、仕事でお金を稼いで生活し、資産運用で資産を築いて「老後資金の不足リスク」を回避し、豊かな将来を迎えるために必要なことになった。

今回、講座を受けてみて、そのことを実感できるようになりました。それにしても、資産運用というのが「資産保全」と「資産形成」に分かれていることも知ることもないまま、さらに資産運用の仕組みを知る機会もないまま、僕は株式投資やNISA やiDeCoなどに触れようとしていたことが衝撃すぎて。

「貯蓄から投資へ」という国が発するスローガンの影響もあるし、これからはさらに資産運用が身近になっていくと思うよ。

そうですね。とりあえず僕は「知ること」に貪欲になることから始めます。

その調子。ところでKくん、僕が代表を務めるファイナンシャルアカデミーでは、創立から20年間、一貫して守り続けていることがあるんだ。

何ですか?

「中立性」だよ。この中立性というのは、なにか個別の金融商品を販売していると、なかなか難しいもの。たとえば、投資信託を売っている証券会社は、他社が販売している投資信託をおすすめすることはないよね。そして証券会社は、保険や不動産が良いとは言わないはずなんだ。

そうか。だから先生は、金融商品の販売や、不動産の販売をまったく行わず、知識を提供しながら「中立性を守り続けている」んですね。

僕たちが資産形成していくためには、株も不動産も、そして投資信託も貯金も必要。そして、証券会社や不動産会社ともつき合う必要がある。さらには、美術品や暗号資産、クラウドファンディングだって、身の回りに当たり前に存在しているよね。そのような時代、正しいお金の知識がますます必要になってきているんだ。それを僕たちは「お金の教養」と呼び、「お金の教養講座」というセミナーを10年以上前から無料で開催して、お金の知識の大切さを普及し続けているんだ。

義務教育で教わらないお金の教養を正しく学び育むことが、僕たちの人生にゆとりをもたらし、より良い人格形成の一助ともなるはずだと、僕たちは信じているよ。

最初の講座で先生が、「普通の人が日常に実践できる資産運用を通じて、経済的・社会的自立を手に入れて、誰もが安心して暮らせる社会を実現したい」と話してくれたことを思い出しました。この講座を通じて、僕も確実に、その一歩を踏み出せたと思っています。ありがとうございました!

まとめ

お金を増やす資産形成期、お金を減らさない資産保全期。そのいずれにおいても重要なことは、「だまされない」「詐欺にあわない」ことです。

そのために、立場を変えて考える「両面思考」を持って、自分の身を守るようにしましょう。

これからますます、資産運用は身近なものになるでしょう。豊かで不安のない生活を送るために、ぜひ、正しいお金の教養を身につけてください。その先にはきっと、社会の状況に振り回されることなく、自由に設計できる人生が待っていますよ!

「お金をとことん増やしたい人のための『資産運用』超入門」は、今回で最終回。ご愛読、ありがとうございました!