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出産祝いの150万円、ベストな使い方は?/30代女性FP相談

FPにききたいお金のこと 権藤 知弘

出産祝いの150万円、ベストな使い方は?/30代女性FP相談

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今回は、お子さんの教育資金をどうやって準備するかを悩んでいる30代女性からの相談です。現在、ご夫婦で検討されている内容について考えていきましょう。

30代女性からの相談内容

夫38歳、妻34歳、長男0歳の3人家族です。現在私が専業主婦で、夫の月収30万円でやりくりしています。子供の教育資金のために、出産祝いでいただいたお金(約150万)を運用したいのですが何が適切でしょうか。現在検討しているのはNISAと米ドル建終身保険です。

また積み立ては一度に多額を投入するより、少額をコツコツ積み立てた方が良いのでしょうか。ちなみに、子供は今後第二子・第三子を希望し、マイホームの購入も検討しています。私も落ち着いたら仕事復帰する予定です。

教育資金を準備する方法

教育資金
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まとまった資金があるので「増やさないと!」という気持ちはごもっともです。ただし必ず運用しないといけないわけでもありません。ここで代表的な教育資金の準備方法を紹介します。

いかがでしょうか?それぞれメリットとデメリットがありますね。

教育資金はリスクを取り過ぎないこと

教育費の特徴の一つは、使う時期と必要な金額がおおよそ見当つくということです。進路によって必要な金額は異なりますが、私立大学4年間で、文系は約400万円、理系は600万円程度の学費が必要です。相談者の例で考えるとお子さんの年齢が0歳とのことですから、大学資金が必要なのは18年後です。

もう一つのポイントは児童手当です。児童手当は子供が中学を卒業するまで支給され、その金額は約200万円程度です。相談者の方の手元にあるお祝いの150万円と、児童手当の200万円を合わせると約350万円になります。大学で必要な費用を準備すると考えるとかなりの割合の資金を準備することができます。そう考えるとあまり運用でリスクを取らなくても大丈夫そうです。

当初の見込みよりも運用がうまく行かないことや、為替が大幅に変動することもあるので、教育資金はリスクを取り過ぎないことが重要です。

FPが考える150万円の使い方

家族で貯金をする
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筆者の手元に150万円のお祝い金があれば投資信託での運用を選択します。投資信託で運用する場合、ジュニアNISAや親御さんのNISAの枠を活用することで非課税のメリットを享受できます。ただし、ジュニアNISAは2023年12月31日までで新規の投資が終了するので、ジュニアNISAを利用する・しないの2つのパターンを考えてみましょう。

【1】    ジュニアNISAと保護者の新NISAを使う

1.    ジュニアNISA口座を開設する
2.    投資金額は2023年中に80万円、2024年に70万円
3.    2023年は3回ぐらいに分けてジュニアNISAで80万円分、2024年は保護者の新NISAを使い7万円/月で10カ月を目安にして投資時期を分散する
4.    購入する投資信託は手数料が安いバランス型のインデックスファンド
5.    購入した投資信託は18歳までそのまま
6.    児童手当はそのまま貯金しておく

【2】    保護者の新NISAのみを使う

1.    使う非課税口座は2024年からスタートする新NISA口座
2.    投資金額は2024年中に150万円
3.    12万5000円/月で積立投資をする
4.    購入する投資信託は手数料が安いバランス型のインデックスファンド
5.    購入した投資信託は18歳までそのまま
6.    児童手当はそのまま貯金しておく

上記の2パターンを選んだ理由を解説します。

①    ジュニアNISAや新NISAは非課税で運用でき、必要に応じて現金化が可能です。学資保険のような保険商品の場合、早めに解約すると解約返戻金が支払保険料を下回ります。一方、投資信託もマーケットの状況次第では元本割れのリスクがありますが、10年以上の長期運用ならばそれほど大きなリスクとは言えません。また、「50万円だけ必要」という場合でも、投資信託なら一部を売却して現金化できます。

②    ジュニアNISAの非課税枠は年間80万円が上限です。また2023年末でジュニアNISAの新規受付が終了します。そのため2024年も投資信託を非課税で運用するには保護者の新NISA枠を使います。

③    一括で購入すると購入時の価格が損益分岐点になり、その価格を上回らなければ利益がでません。マーケットの価格を予想することはできないので購入のタイミングを分散し、リスクを下げる効果を狙います。

④    購入する銘柄は手数料が安く、値動きが比較的落ち着いているインデックスのバランス型ファンドを選びます。バランス型のファンドは一つの商品の中に株式・債券などが組み込まれ、投資先の地域も日本だけでなく海外も含まれています。そのため幅広く投資ができ、世界経済の成長の果実を得ることができます。

⑤    ジュニアNISAでの新規購入は2023年12月末で終了しますが、お子さんが18歳になるまでは非課税で運用できます。また2024年1月からスタートする新NISAは運用期間の縛りがなくなり、非課税期間は無期限です。そのため教育資金だけではなく、老後資金としても運用することが可能です。

⑥    上述したように教育資金の準備は、あまりリスクを取らない運用が良いでしょう。相談者さんのケースであれば、お祝い金を元にした資金は長期の運用期間が取れるので、リスク性のある投資信託で運用し、毎月の児童手当は預金で貯めていきましょう。この方法であれば、資産価値が変動するリスク性の資金と、資産価値が変動しないリスクのない資金を5:5ぐらいの割合で準備できます。

2023年にジュニアNISAを使って投資を行うというのもオススメですが、2024年以降はお子さん名義の非課税口座がなくなります。そのため2024年から新NISAのみでスタートしても良いでしょう。いずれにしても非課税のNISA口座で運用期間を長く取ることが理想的です。

まとめ

教育費は進路によって大きく変わります。また高校・大学は入試があるため希望通りに進まないことも多く、「公立高校のつもりが私立高校になった」というケースも多くあります。そのため想定よりも早い段階で教育資金の取り崩しが始まることもあり、教育資金を貯める方法はある程度の流動性がある方が良いでしょう。

ファイナンシャルプランニングの世界では「住居費・教育費・老後の資金」を人生の三大支出と呼びます。今後、第二子・第三子とマイホームをお考えとのことですので、教育資金に限定せず家族のライフプランを作ることをオススメします。

今後の収入の見込みと、いつごろ・どれくらいのお金が必要なのかを時系列で並べて見える化することで、準備がスムーズに進みます。この機会に家族のお金についてシミュレーションしてみると良いでしょう。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。