子供の教育費準備と住宅ローンの繰り上げ返済、どっちが優先?
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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は教育費と住宅ローン繰り上げ返済について悩む会社員49歳女性、夫と子供2人、4人家族Aさんの家計簿です。
40代女性Aさんの相談内容
来年、長男が大学を卒業予定で、長女が大学進学予定です。私自身、奨学金の返済が大変だった経験から、子供たちの教育費はできるだけ出してあげたいと思っていますが、住宅ローンの繰り上げ返済を先にしたほうがいいのか悩んでいます。年収は夫が450万円、私が250万円程度です。
Aさんの家計簿は・・・?
夫婦の手取り収入の合計は44万2700円、月々の貯金はできていません。手取りの22%を住宅ローンに、20%を教育費の支払いにあてています。
住宅ローンの繰り上げ返済より先にやるべきこと
住宅ローンは借金なので「できるだけ早く返済したい!」と、少額でも繰り上げ返済しようとする方もいらっしゃいます。ですが、住宅ローンの借入金利や、繰り上げ返済の効果を具体的に確認しないまま、「繰り上げ返済を最優先」に考えると、返って家計にマイナスの影響を与えることもあります。
Aさんは長女の大学進学を控え、教育費のピークを迎えようとしていますので、まずは志望校ごとに教育費がどのくらいかかるか具体的に確認し、支払い方法を計画しておくことが先決です。
住宅ローン金利と教育ローン金利
長男の教育費は今年度で終了予定、長女は来年大学進学予定で、まだ具体的な進学先が決まっておらずこれから教育費がどのくらいかかるか分かっていません。今、住宅ローンを繰り上げて貯金を切り崩してしまうと、教育費が足りずに教育ローンでお金を借りることにもなりかねません。
通常教育ローンは住宅ローンよりも、ずっと高い金利が設定されています。金利から考えると、手元の現金を住宅ローンの繰り上げ返済に使うよりは、教育費に使う方が有効と言えます。
団体信用生命保険の保障を確認
住宅ローンを組むときに、住宅ローン専用の生命保険に加入されている人も多いと思います。借りた人が亡くなったときや、高度障害状態になったとき、悪性ガンと診断されたときなどに、ローンの借入残高の保険金額が支払われる仕組みです。
Aさんの現在の住宅ローン金利は、1%以下で低い金利です。ご主人が68歳時点でローン返済も終わります。68歳までの死亡保障とがん罹患時の保障も兼ねていますので、再度団体信用生命保険の内容を確認することをおすすめします。繰り上げ返済をすればその分保障額も減額されることを理解しておきましょう。
子育て費用のうち「教育費」をどこまで支払うか
子育てに必要な費用は、子供の食費、衣服費、雑費などの「養育費」と、学校や塾、受験費用などの「教育費」の2種類があります。
Aさんはご自身が大学の奨学金を利用し、返済が長期に続いたため、子供には奨学金の利用をしなくて済むようにしたいとの希望をお持ちです。自宅から大学に通われた長男の教育費は全額、家計から捻出したとのこと。長女も同様に計画していると思いますが、自宅外から大学に通う場合、家賃も含めた食費等の養育費はアルバイトなどで子供本人にも支払ってもらうなど親子で話し合うことをおすすめします。
親子でお金に関する情報や価値観を共有しておくこともとても大切です。最初は十分に仕送りできていたとしても、親の収入減などで仕送りを減額、断念せざるを得ない場合も出てきます。
進学する大学や学部によっても必要な費用は大きく変わってきますので、家族でじっくり時間をかけて費用のことについても話しておきましょう。
必要事項を入力することで、進学のための資金計画をシミュレーションできるWebサイトもあります。養育費、教育費それぞれの費用の目安や利用できる制度なども確認できますので、親子で一緒にシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
通信費、新聞代の見直しを
携帯料金、Wi‐Fi料金については、3年以上見直していないようですので、早めに見直しをしましょう。特に携帯料金は4名分なので、キャリアの変更やプラン見直しで大きな費用削減も可能です。
新聞についても電子版を利用することで、スマホやタブレットから読むことができるだけでなく、料金が安くなる場合もあり、新聞を廃棄する手間もなくなります。どんな情報を新聞で得たいのか、料金、利用方法も含めて選択するようにしましょう。
アドバイスを受けたAさんの感想
とにかく「借金を早く返済したい」という気持ちで、繰り上げ返済をしなくてはと考えていました。大学進学のために加入していた保険が200万円あり、今年の秋に使えるようになりますが、どの大学に行くかで、教育費があといくら必要かが変わってくるので、その金額をまず見極めるようにします。子供にかかるお金も確かに「養育費」と「教育費」がありますね。「養育費」の方はいくら使っているか把握していないので、まず把握してみます。
家計簿診断を終えて
「子供にはできるだけのことをしてあげたい」とお話しされる方は多く、お気持ちもよく分かるのですが、収入には限りがあります。お子さんの進路の希望内容などをよく聞いていただき、お金の準備についても親子で早めに話し合うことをおすすめします。
来年の春が、よい春になることを願っています。