話題のNFT、どうやって始めるの?利益が出たら税金はどうなる?
最近、NFT(エヌエフティー)という言葉をよく耳にするようになりました。NFTとは「Non-Fungible Token」の略で、日本語に直訳すると「非代替性トークン」という意味です。
今までデジタルデータは複製が可能で価値が上がりにくいものとされてきました。しかしNFTのデジタルデータは、複製やコピーができず、唯一無二の存在で自分が所有しているという証明ができます。
具体的には、デジタルアートやゲームなどに使うアイテム、仮想空間での不動産や自分のアバターに着せる洋服や靴などがあります。
今回はNFT初心者に向けて、仕組みや取引の始め方、収益が出た時の税金について解説します。
NFTの現状
NFTを分かりやすく表現すると「複製できないデジタル資産」ということになります。暗号資産でも使われているブロックチェーンの技術を用いて、誰が所有しているものかという証明書が付いているデジタルデータなので、コピーやデータの改ざんができません。
このように唯一無二の存在であることを証明できるデジタルデータのことをNFTと呼び、その市場規模は今後5年間で現在の4倍まで成長するといわれています。
昨年、Twitterの創業者ジャック・ドーシー氏の初ツイートがNFTとしてオークションにかけられ、落札価格はなんと約3億円でした。
その他にもアメリカ人アーティストのビーブル氏が制作したデジタルアートは約75億円で落札されました。
メタバースなどの仮想空間では土地も取引されています。The Sandboxというゲーム内の仮想空間で取引されている土地は安い区画で40万円ほどですが、高い区画になると300億円を超す価格が付いている土地もあります。
※コインチェックHPより
NFTの買い方・始め方
NFTの取引を始めたい方は、まず暗号資産(仮想通貨)の取引所口座やウォレットなどのアカウントが必要です。
例えば、暗号資産取引所として有名な「Coincheck」や「LINE NFT」で始めることができます。
口座開設やアカウント登録が完了すれば、NFTを売買することができます。購入後のNFTはこのアカウント内のウォレットで保管できます。
NFTの取引には暗号資産を用いるケースが多いのですが、LINE NFTではLINE Payを使い日本円決済もできます。色々なデジタルアートが出品されており、中には数百円で購入できるものもあるようです。
NFT取引で利益が出る時とは
購入したNFTはマーケットへ出品することができます。人気のクリエイターや希少性の高い写真などはその価値が認められて価格が上がることもあります。もちろん人気がなければ価格が下がる可能性も否定できません。
この取引の際、購入した時の価格より落札された価格の方が高くなれば利益が出ます。NFT取引はデジタル資産の売買ですが、株式取引や不動産取引などの売買で利益が出る仕組みと似ていますね。
NFT取引も需要と供給のバランスにより利益が出ます。前述したThe Sandboxというゲームの仮想空間で取引されている土地売買も同じ仕組みです。
NFT取引で税金はかかるの?いくらから?
NFT取引で利益が発生すればもちろん税金がかかります。この場合、事業所得、譲渡所得、雑所得などの所得に区分されることが考えられます。今回は個人間取引という前提で、お話を進めていきます。
NFT取引で利益が出るケースには次の3つのケースが考えられます。
① 暗号資産でNFTを購入した場合
NFT取引ではイーサリアム(Ethereum、略してETH)という暗号資産を用いるケースが多くあります。そのイーサリアムをいくらで購入したかが課税のポイントです。
例えば、1ETHを1年前に15万円で購入してその価格が現在25万円になっているとします。そして今回お気に入りのデジタルアートのNFTを見つけ1ETHで購入した場合、購入時にイーサリアムを換金したとみなされます。
25万円(換金時の価格)-15万円(購入時の価格)=利益10万円
この利益は雑所得とみなされ、雑所得が20万円を超えれば確定申告が必要となり、税金がかかります。
② 保有しているNFTを売却した場合
上記のように25万円で購入したNFTをマーケットに出品して、35万円で売却できた場合、購入時の価格より値上がりしているのでこの利益の10万円に対して課税されます。
しかしこの所得の扱いは、事業性があれば事業所得、頻繁に取引を行っている場合は雑所得、たまたま一度の取引で出た利益であれば譲渡所得とみなされる可能性があります。
譲渡所得とみなされた場合は、特別控除を適用できるので50万円まで所得税はかかりません。
実際に取引をされた場合は、国税庁のホームページで確認するか、税理士に問い合わせてください。
国税庁「NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係」
③ 自分で制作したNFTを販売した場合
クリエイターとして制作したコンテンツをNFTとして販売した場合も課税対象です。個人事業主として開業届を提出していれば事業所得、会社員などが副業として得た収入であれば雑所得に区分されることが考えられます。この場合、販売した価格から必要経費を差し引いた金額が利益とみなされ課税対象になります。
NFT取引・投資に関心がある人へFPからのアドバイス
本格的にNFT取引を行っている人は、Axie InfinityやThe Sandboxというゲームを楽しみながら稼いでいる人が多いようです。
しかしこれから始める初心者がいきなり飛び込むのは危険です。良く勉強してから投資するようにしてください。
NFT取引や投資に関心がある初心者は、まず前述したCoincheckやLINE NFTで始めるとよいでしょう。身近なサービスであり、フォロー体制も整っています。何より少額から始めることができるので初心者がNFT取引を体験するには向いています。
まとめ
今回はNFT取引について、初心者向けに解説しました。著者も実際LINE NFTでLINEPayを利用して500円のNFTを購入してみました。日頃使っているLINEサービスの延長線にあるので、とても簡単に始めることができます。
Facebookが社名をMeta(メタ)に変更するなど、近い将来メタバースという仮想空間を今より多くの人達が楽しむ時代が来るでしょう。その仮想空間でも今回紹介したNFT取引が活発に行われると予想されるので、皆さんも乗り遅れないようまずはNFT取引を体験してみてはいかがでしょうか。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。