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来たるWeb3.0時代に向けて、最新の動きはどうなってるの?

経済とお金のはなし 中新 大地

来たるWeb3.0時代に向けて、最新の動きはどうなってるの?

【画像出典元】「Mininyx Doodle/Shutterstock.com」

こんにちは、ライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。

情報社会と言われるようになって久しいですが、これから私たちの生活はどこまで進化するのか考えたことはあるでしょうか?
とりわけWebの進化は著しく、最近では“Web3.0”が叫ばれるようになりました。Web3.0は、情報と私たちの関わり方をまたひとつ新しい次元へ導こうとしています。

今回は、「いつの間に3.0まで進んだのだろう?」という気もするこの話題を、分かりやすく解説します。

ネットワークは新時代へ、Web3.0とは?

「Web3.0」とは一言で言えば、「新時代のネットワーク」です。
いつの間にか完了していた「Web1.0」はインターネット創成期を指すもので、あくまでもそれは情報が送信・受信されるという一方的な流れであり、限られたサービス・概念でしかありませんでした。

「Web2.0」は、インターネットがより多くの人々に普及したことにより、検索エンジンやブログ、SNSなどを通じて、誰もが情報を調べたり、発信したりできる時代へと移行した世界を指しています。1.0時代よりも情報へのアクセスが容易になり、ネットワークの利用者が増えたことで、情報そのものが成熟しつつある時代ともいえます。

そして今回の「Web3.0」は、そうした成熟した情報をより安全かつ自由にコントロールできるネットワークを指しています。専門用語で言うと、「ブロックチェーン技術による分散型ネットワーク」の時代ともいわれています。

これまでは情報が国家や企業に集まっており、そこに同意はあれども一方的に管理される時代でした。こうしたネットワークを「中央集権型ネットワーク」といい、分散型ネットワークの対をなしています。中央集権型ネットワークは、サイバー攻撃による脆弱性や情報の利用を検閲されたり制限されたりするといった問題をはらんでいました。

しかし、分散型ネットワークは、中央集権型ネットワークの脆弱性の原因にもなっている、「情報を奪うために1台のコンピュータ(サーバー)を攻撃すればいい」という点とは無縁です。

分散と名前がついているように、それぞれのコンピュータが双方向に情報を共有しているので、たとえ1台のコンピュータが壊れたとしても問題はないのです。すると、情報の改ざんも難しくなり、結果として情報の所有権がどこにあるのかもはっきりすることになります。

Web3.0時代のテクノロジーとは?

テクノロジー
【画像出典元】「stock.adobe.com/Gorodenkoff」

Web3.0時代には個人がもっと輝ける、個人がもっと自由に使えるネットワークのあり方が求められており、それを支えるテクノロジーやサービスが誕生していくことが期待されています。

代表的なものだと、Web3.0の根幹を担うブロックチェーン技術、そこに紐づく仮想通貨(正式には暗号資産)やNFTなどがそうでしょう。これらはお金のやり取りの方法を変えるだけでなく、情報や資産の価値を変え、それらがどこから生じたものなのか、誰に所有権があるのかなどを確固たるものとしてくれます。

ブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティシステムや、仮想空間で第二の人生を送ることもできるメタバースなども、Web3.0時代において進化が期待されているテクノロジーでしょう。

また、ウェブブラウザ「Brave」が、次世代のブラウザとして注目を集めていることをご存知でしょうか?

現在、デスクトップブラウザにおける世界市場のシェアは「GoogleChrome」が77.03%と群を抜いています。その後に「Safari」が8.87%、「Mozilla Firefox」が7.69%と続きます。これらに対しBraveのシェアは、わずか0.05%しかありません。 

にもかかわらず、Braveが注目されているのは、広告やトラッカーをデフォルトでブロックすることでGoogleChromeの3倍高速で表示できること(Brave公式サイト情報)、任意の広告を表示させることで仮想通貨BATが付与されるなどの魅力があるからです。
Braveによって、広告は一方的に見せられるものではなくなろうとしているのです。

まだまだこれから?日本政府とWeb3.0の関わり

すでに述べた通り、Web3.0を推進する上でブロックチェーン技術や仮想通貨は必要不可欠となっています。それを取引するための取引所やプラットフォームなどの健全性も欠かすことはできません。

金融庁は2017年4月1日に改正資金決済法を施行。仮想通貨取引業者をライセンス制とし、その法整備を進めています。 ユーザーに対しても利用に際しての注意喚起を行ってきました。

最近では衆議院議員の平将明氏が、2022年1月に自民党デジタル社会推進本部のNFT特別担当に就任。2月の内閣委員会においては、岸田首相の掲げる「新しい資本主義」において、Web3.0を柱としていくべきであること、そのために仮想通貨の税制を改革すべきであることを述べています。 

つまり、議論は以前からされていても、Web3.0を担う企業への投資であったり、税制の優遇措置だったりといった、実践的な領域にはまだ至っていません。Web3.0は情報だけでなく、金融のあり方が根本的に覆る可能性を秘めているだけに、急ピッチで取り組む必要がありそうです。

NFT事業を展開するmicroversが、サイバーエージェントなどから5000万円の資金調達を行ったように、 現段階では各企業が自前でWeb3.0に取り組んでいる様子を注視しておきたいところです。

Web3.0が再定義する私たちの暮らし

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【画像出典元】「stock.adobe.com/metamorworks」

Web1.0でネットワークに触れられるようになり、Web2.0で情報があふれてきた今、私たちの暮らしはWeb3.0によって再度問われることになるでしょう。それは「あふれた情報とどう向き合い、どう扱うべきかというリテラシー」であり、「お金の使い方や貯め方、投資の仕方」でもあります。

Web3.0を担うテクノロジーによって、そうした情報やお金との付き合い方はより自由かつ安全にコントロールできるようになるのかもしれませんが、そこにどのような価値を見出すのかは結局私たちに委ねられています。そういった意味でいえば、やはりメタバースは私たちの価値観を大きく変えるものとなりそうです。

たとえば、メタバースでは仮想の不動産や洋服を買うことができます。しかし、それはメタバースの世界においては私たちの見栄えを良くするのかもしれませんが、現実世界に大きな影響は与えないかもしれません。なぜならメタバースの世界における所有物は、極論を言えば「実体を持たないデータ(情報)に過ぎない」からです。

ただ、「現実世界での暮らしよりも、メタバースでの暮らしを重視したい」「メタバースにおけるビジネスに可能性を見出したい」となると、話は別になってきます。メタバースの世界を豊かにするために、情報を調べたり管理したり、そのためにたくさんのお金を注ぎ込んだりする必要も出てくるでしょう。現に多くの個人・企業がメタバースに進出しています。

選択肢が増えることに戸惑いが生じるかもしれませんが、不安に思う必要はないでしょう。
世の中が変わっていくのは当然のことです。

情報・金融のあり方は大きく変わろうとしていますが、その根底にあるのは「私たちの生活をより豊かにしたい」という思いです。その結果として分散型ネットワークやメタバースといったテクノロジーが生まれたに過ぎず、Web3.0はそれを呼称するための言葉に過ぎません。

大切なのは自分がそうした変化をどう受け止め、どう感じるかでしょう。これらのテクノロジーを使うか使わないかも自由です。ただ、後から「自分だけ乗り遅れた」「使った方が便利だった」と後悔するのはもったいないですよね。

そういった後悔をしないためにも、まずは情報収集から始めてみましょう。そうすれば、Web3.0に対する知見が蓄積され、向き合うための感覚も養えるはず。やがてWeb3.0は警戒するものではなく、期待するものに変わってくるのではないでしょうか。