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ビットコインが法定通貨に!再び爆上げはあるのか?

経済とお金のはなし マドレーヌ

ビットコインが法定通貨に!再び爆上げはあるのか?

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2021年6月8日、世界中に衝撃が走りました。中南米のエルサルバドルにおいて、仮想通貨のビットコインを法定通貨にすることが何と議会で決定されたというのです。ビットコインといえば乱高下が激しい仮想通貨の代表格で、国家が発行する法定通貨と比べると圧倒的に信頼性が低く、ギャンブル性が極めて高いのは皆さんご存じの通りです。

そのビットコインを国家が通貨として認めてしまうというのですから、もうビックリを通り越えて滅茶苦茶な話に思えますが、よく調べてみると実はそうでもなさそうなことが分かってきました。

そこで本日は、ビットコインが一国の法定通貨にまで成り上がったその背景と、将来起こるかもしれない私たちへの影響について考えてみたいと思います。

エルサルバドルでいま起きていること

エルサルバドル
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冒頭でお話ししたように、2021年6月8日、エルサルバドルの議会はビットコインを法定通貨にする法案を賛成多数で可決しました。

可決された法案の第7条には「Every economic agent must accept Bitcoin as payment when offered to him by whoever acquires a good or service(すべての経済主体は、商品やサービスを販売するにあたってビットコインでの支払いを求められた場合には誰もがそれに応じなければならない)」と書かれており、好むと好まざるとにかかわらず、エルサルバドル国内では決済手段としてビットコインを用いることが決まりました。

ではその背景には、いったい何があったのでしょうか?

エルサルバドルの内情

エルサルバドルは中南米にある人口640万人程度の小国で、1990年代初頭までは内戦状態が続いていました。当時のエルサルバドルは自国通貨として「コロン」があったのですが、経済基盤が脆弱だったためその信用力は極めて低く、その結果コロンよりも米ドルが流通していたため、2001年にはコロンに代わり米ドルを自国通貨として用いることになりました。

また、エルサルバドルには産業らしい産業がほとんどないため、国民の大多数は米国などへの出稼ぎで生計を立てており、出稼ぎによる送金額はエルサルバドルのGDPの約20%を占めるほどでした。

出稼ぎで稼いだお金の大部分は海外送金出来ない

しかし、ここで問題が生じます。エルサルバドル国民の約7割は銀行口座を持っていないため、せっかく出稼ぎで稼いでも、稼ぎ先から家族への送金が出来ないのです。一度出稼ぎに行くと、短くとも1年間、長ければ数年間は出稼ぎ先の国に滞在することになりますが、送金が出来なければその間にエルサルバドルに残した家族が路頭に迷ってしまいます。

銀行口座を持っているのが当たり前の国に住んでいる私たちから見れば信じられない話かもしれませんが、実際に世界の貧困層のうち4人に3人は銀行口座を持っていません。これでは、エルサルバドルに家族を残し、安心して働くことが出来なくなってしまいます。

スマホさえあれば簡単に送金できるビットコイン

そこで、エルサルバドルのブケレ大統領が目を付けたのがビットコインです。ビットコインなら、スマホひとつで24時間365日いつでもどこへでも簡単に送金することが出来ます。

また、こういったビットコインの利便性に加え、新型コロナウイルスによる経済危機を乗り切るために空前の量的緩和を行う米ドルに対する信頼性の低下も、ビットコインを法定通貨に加えた要因の一つだと言われています。

いずれにしても、こうして歴史上初の、仮想通貨を法定通貨と定めた国家が誕生したわけです。

ビットコインの法定通貨化による混乱と私たちの生活への影響

途中で止まる木のドミノ
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次に、ビットコインが法定通貨になったことによりどのような混乱が起こり、また私たちの生活にどのような影響が及ぶのかを考えてみます。

ビットコインが巻き起こす混乱

エルサルバドルの経済規模は確かに小さくはありますが、それでも中南米の独立国家です。その国がビットコインを法定通貨として認めたわけですから、ビットコインに対する信頼性が上がることは間違いありません。

通貨の信用能力が上がれば通貨の価値が上がることは仮想通貨も同じですから、ビットコインの価格が今後ある程度上昇する可能性は十分にあります。それにともない大量の投機マネーがビットコインに流入すれば、瞬間的には文字通り「爆上げ」するかもしれません。

ただし、そのようなトレンドはビットコインそのものが持つ価値とは何の関係もない所で起こるため、今まで以上に乱高下が起きる可能性は高いでしょう。

私たちの生活への影響

日本の法定通貨は「円」であり、今のところ、円は市場においてドルやユーロと肩を並べるだけの力があります。したがって、エルサルバドルの法定通貨がビットコインになったところで、ただちに私たちの生活に影響が及ぶわけではありません。

ただし、将来的にビットコインを法定通貨とする国が増え、相対的に市場における円の影響力が低下した場合は、円安により石油をはじめとするエネルギーや食料品などの輸入物資のすべてが値上がりするため、給料は上がらず物価だけが上がり国内消費が冷え込む状態を迎えることになるでしょう。

第二、第三のエルサルバドルはすぐそこに

日の出
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世界の圧倒的大多数は貧困国です。特に「地球上最後の巨大市場」と言われているアフリカも、その大半は貧困国です。したがって、現状では、これらの国々が発行している法定通貨の信用能力は低いため、代わりに米ドルなどが決済手段として用いられています。

しかし、上述のように貧困国の多くの人々は預金口座を持っていないため、もしエルサルバドルでビットコインを法定通貨とする取り組みが成功すれば、第二、第三のエルサルバドルがアフリカに登場することは容易に予測出来ます。

その場合、仮にアフリカという巨大市場における基軸通貨がビットコインになってしまったら、近代国家の在り方そのものが急激に変わってしまうことにもなりかねません。

世界一の大企業であるGoogleは、創業してからまだほんの20年程度です。Googleは、たった20年で世界の在り方や人々の働き方や生き方までも変えてしまいました。

時代の変化は、起こり始めたらあっという間に世界を変えてしまうことを私たちは忘れてはいけません。ひょっとしたら、私たちにも、円ではなくビットコインを使う日が訪れるかもしれません。