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あなたはどっち?12月の手取りが減る人・増える人の特徴とは

ふやす 権藤 知弘

あなたはどっち?12月の手取りが減る人・増える人の特徴とは

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会社員が毎月受け取る給与明細。12月の給与明細はいつもと金額や手取り額が違うという方が多いと思います。今回は12月の給与明細がいつもと違うのは何故なのか?その理由について解説します。

12月には年末調整がある

12月の給与がいつもと違うのは、年に一度の年末調整を行い、正確な所得税の金額を精算しているからです。本来であれば所得税は1月1日から12月31日までの所得に対して課され、確定申告が必要です。しかし、会社員や公務員に代表される給与所得者は、毎月の給与や賞与から概算の所得税を納め(源泉徴収)、給与から天引きされています。これを1年に一度、各種の控除を反映させて、正しい税額に調整します。これを年末調整といいます。

年末調整は「納め過ぎていた所得税」「不足している所得税」を正しい金額にすることが目的です。年末調整の結果、納め過ぎていた所得税が還付(払い戻し)されたり、追徴されたりするため、いつもより手取金額が多い・少ないというケースが発生します。

12月に手取りが減る人がいるのはなぜ?

手取りが減る
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一般に年末調整をすると手取りが増える人の方が多いのですが、中には手取りが減る人もいます。手取りが減る人にはいくつか理由があります。

①    配偶者の収入が増えた

配偶者を扶養している人には配偶者控除・配偶者特別控除と呼ばれる制度があります。この制度は配偶者を扶養している人の所得から一定の額を控除(天引き)し、所得税を少なくする制度です。

この配偶者控除・配偶者特別控除は、配偶者の収入が増えると、控除される金額が少なくなり、最終的には控除が無くなります。控除額が少なくなると所得税の算出基準になる金額が高くなり、結果として納める税金が増えます。年末調整時に配偶者の収入を申告しますが、その結果、控除額が少なくなったり控除そのものが適応されなくなったりすると、年末調整時にいつもより多い所得税を納めることになってしまうのです。

②    子どもが扶養家族から外れた

16才以上の家族を扶養していると、扶養控除という所得税を安くする仕組みがあります。お子さんが就職等で扶養から外れると、扶養控除という制度が使えなくなり、結果として扶養していた親の所得税が高くなるというケースがあります。

③    本人の収入が大きく増えた

通常は毎月一定額の所得税を源泉徴収によって支払っています。そのため大きな変更になることは少ないのですが、会社の業績が好調で想定以上のボーナスを受け取った場合などは、年末調整で不足している所得税を追加で納めることがあります。また、転職や昇進など、年の途中で大きく給与が増えた場合も同様です。

12月の手取りが増える人の条件は?

手取りが増える
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手取りが減る人の条件を先に見ましたが、ここからは手取りが増える人の条件を見ていきましょう。まず12月に手取り額が増える人の条件は各種の控除がある人です。

①    生命保険・地震保険の保険料を払っている

生命保険や地震保険の保険料を払っている人には、保険料の額に応じた保険料控除があります。毎年10月頃に保険会社から保険料の控除証明書が郵送されてきます。この証明書を元に年末調整を行うと所得税の一部が還付されます。還付されることで手取り額が増えます。

②    iDeCoの掛金を払っている

個人型確定拠出年金=iDeCoに加入し、掛金を支払っている人は「小規模企業共済等掛金控除」という控除の対象です。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になり、所得税を大きく減らす効果があります。生命保険などと同じように10月頃に金融機関から証明書が送付され、その証明書を使って年末調整を行います。

③    配偶者を扶養することになった

配偶者を年の途中で扶養することなった場合、配偶者控除や配偶者特別控除が適応されて所得税が還付されることがあります。配偶者の給与収入が103万円までであれば配偶者控除、103万円超201万円以内であれば配偶者特別控除の対象です。

④    扶養家族が増えた

16才以上の家族や配偶者以外の親族を扶養すると扶養控除が適応されます。年の途中で子どもの年齢が16才以上になったり、老親を扶養に入れたりすると扶養控除が適応されて税金が安くなります。

⑤    ひとり親になった

離婚等でひとり親となり、子どもを扶養することになった場合、ひとり親控除が適応されることがあります。ひとり親控除が適用されると所得税が安くなり、年末調整で還付されます。

まとめ

源泉徴収票
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源泉徴収されている所得税を調整するための年末調整。調整の結果、手取りが増えたらちょっとうれしいですよね。12月は普段はなかなか意識しない税金について考える機会です。12月の給与明細だけではなく、その後に配られる源泉徴収票にも所得税や各種の控除、社会保険料など生活に関わる数字が沢山記載されています。年に一度でも良いのでしっかりと確認しましょう。