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低リスクのインデックス型投資信託、アクティブ型に変えるべき?

FPにききたいお金のこと 内山 貴博

低リスクのインデックス型投資信託、アクティブ型に変えるべき?

【画像出典元】「GaudiLab/Shutterstock.com」

一度運用を始めた投資信託、そのまま維持するのか、もっと利益が出そうな商品に切り換えるべきか・・・今回はそんなお悩みを抱える20代女性のご相談です。

20代独身女性Mさんからの相談内容

現在つみたてNISAで投資信託に投資しているのですが、当初はリスクが生じることに不安を覚えてインデックス型の中でも低リスクの投資信託ばかりにしました。しかしこの頃、私が20代で独身であることから、リスクが多少生じてもアクティブ型の商品などを取り入れた方が長期的に見た場合大きな利益が得られるのかと思い始めています。今からでもアクティブ型など大きな利益が期待できそうな商品に切り替えた方がいいですか?アドバイスいただけると嬉しいです。

一度始めた投資をどう考えるか

Mさんは当初、投資のリスクへの不安があったようですね。おそらく、MさんはつみたてNISAが投資を始めるきっかけになったのではないでしょうか。このようにNISAやiDeCoをきっかけに投資を始める人は少なくありません。ただ、その後はそれほど興味関心がなく、あまり見直しなど行っていないという人もいますが、Mさんはもう一段上を目指そうという意識が感じられ、とても素晴らしいですね。

一度決めた銘柄を、相場のことを気にせず気長にのんびり積立を継続するというスタンスも良いと思います。この方法であれば、仮に相場が不安定になった際も、精神的な負担を感じることなく積立を継続できます。またそれが長期的な運用成果にもつながりやすいです。ただ、せっかく始めた資産運用、何か違う方法があるのでは?もっと良くしたい!と探求するのも良いですね。

インデックスVSアクティブ

AとBの選択
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これはとても難しく奥深いテーマです。最近は「アクティブは良くない」とする風潮もありますが、いったん客観的にそれぞれの特徴を整理しましょう。

アクティブ型は指数を上回るように企業価値の分析などを入念に行うため、通常、インデックスファンドよりも信託報酬が高くなる傾向にあります。そして、銘柄を厳選した結果は、必ずしも指数を上回るとは限りません。さらには高い信託報酬が運用の足かせになり、結果、インデックス型のパフォーマンスを下回る可能性もあります。そういうこともありアクティブ型に否定的な意見が散見されるのです。ただし、指数を大幅に上回るアクティブ型のファンドもあり、その場合、インデックス型と比較すると長期的に大きな差が生じます。

例えば、あるアクティブ型の世界株ファンドの上昇率は20年で7倍。一方参考指数は20年で2倍ほど上昇していました。単純計算で20年前に100万円を投じて世界株ファンドを購入していた場合、インデックス型が約200万円、同アクティブ型ファンドは約700万円ということで非常に大きな差となるわけです。こういうファンドの存在を知るとアクティブ型に切り替えたいというMさんの気持ちは十分理解できます。

信託報酬(運用管理費用)の違いがカギ!?

つみたてNISAの場合、買付手数料も無料、年間維持費にあたる信託報酬も一定以下とコスト面で優れたファンドが投資対象となっています。金融庁によると、2022年9月時点、信託報酬の平均は国内に投資をするインデックス投信で0.255%。海外が投資対象に加わっても0.31%です。一方、通常のアクティブ型の信託報酬は1.5%や2%近いものもあるため、やはり大きな差があります。

コストの違いを踏まえた上で、過去の運用実績やファンドマネージャーの運用方針(哲学)、専門家の評価などを参考にしてファンドを選ぶといったプロセスを経ることが大切です。「高かろう悪かろう」ではなく、「高いのには理由があります」そんなファンドを見つけてください。

なお、「つみたてNISA=インデックス型」という印象がある人が多いようですが、つみたてNISAでもアクティブ型のファンドを購入することができます。国内が投資対象の場合、信託報酬は1.0%以下、海外の場合は1.5%以下と信託報酬が一定以下のアクティブ型ファンドが選ばれていますので、取引先の証券会社等で取り扱いがあるかどうか確認してみてください。

運用の目的(ゴール)を明確にすることが大切

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Mさんが希望されているように、アクティブ型のファンドに切り替えて大きな利益を得るためには「ファンドの目利き」が重要となります。5年や10年以上といったある程度の運用実績期間があり、指数を上回っているようなファンドであれば今後も期待できる可能性は高いです。あくまで過去の運用実績ではありますが、それだけのパフォーマンスを誇っているにはそれ相応の要因があります。

是が非でもアクティブ型のファンドに切り替えるという考えではなく、楽しみながら様々なファンドの運用実績を調べ、「いいな!」と思えるものが見つかった際に資産の一部をそのファンドに切り替える。そういった見直し方法が良いと思います。アクティブ型ファンドの過去の運用実績を確認するには「月次レポート」が便利です。運用会社や販売会社のホームページから確認できますので、定期的にアクセスしてみてください。

なお、必ずしも「インデックス型はリスクが低く、アクティブ型はリスクが高い」というわけではありません。リスク=価格のぶれ幅であるため、その大きさは国内外、株や債券など投資対象によるところが大きく影響します。

筆者の経験則、見立てではありますが、年利3%程度のリターンであれば、資産運用の鉄則である長期分散投資を守り、国内外、株や債券にバランス良く長期間投資を継続することで利益は十分期待できます。そういった場合、アクティブ型を選ぶ必要性は低いと思います。

このように目的や目標を明確にし、それに向けて必要な積立を行っていくという考え方も1つです。他方、Mさんは20代とまだまだ若いため、これから長きにわたって資産運用を続けることが可能だと思います。全体の7割はスタンダードにつみたてNISAでインデックス型投信、残り3割は自分で選んだアクティブ型のファンド。こういった配分で運用を行いながら定期的に検証をしていくのも良さそうです。

時としてアクティブ型のファンドを選んだことが損失につながるかもしれません。ただ、そういった経験やそのような投資で得た知識が長い投資ライフの財産になりますよ。

先にお伝えしましたが、「インデックス型からアクティブ型へ」という見直しプランが浮かんだMさんは、資産運用知識や経験が以前よりパワーアップしていると思います。「インデックスVSアクティブ」以外にもファンドを選ぶ要素は様々です。Mさんの価値観やライフプランなども考慮しながら、より視野を広げて自分にあったファンド選びを行ってください。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。