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子供のお金の使い方、どう教える?親子で家計管理できるアプリも

ふやす 内山 貴博

子供のお金の使い方、どう教える?親子で家計管理できるアプリも

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多くのお店でキャッシュレス決済ができる現在。現金を持ち歩かずに生活ができるといっても過言ではありません。お金の本質的なところが見えにくくなっている今、家庭において子供たちにお金の使い方をどう教えていくべきでしょうか?これは社会や地域、学校単位で取り組むべき課題とも言えます。今回はこの「子供のお金の使い方」について取り上げます。

子供のお金教育の目的

「2022年4月より高校の家庭科の授業で投資教育が始まる」と話題になっていたタイミングで筆者の娘が高校に入学しました。娘にお願いしてすぐに家庭科の教科書と資料集を見せてもらいました。一番驚いたのは「iDeCo(イデコ)」(個人型確定拠出年金)について触れていたことです。現在の学生が社会人になる頃、iDeCoは多くの人にとって老後資金を準備する上で今以上に重要な位置づけとなり、学生のうちから制度を理解しておくことはとても大切だという表れでしょう。

FPの元にもiDeCoに関する相談が多く寄せられます。しかし、中には「iDeCoのリスクはどれくらいですか?」「iDeCoは元本保証ですか?」と、あたかも「iDeCo」という金融商品があるかのような質問を受けることもあります。iDeCoは私的年金制度です。その制度の枠組みの中で、加入者自身が投資方法、そして投資商品を決めることになります。

今の高校生も早ければ2~3年後、厚生年金に加入し、合わせてiDeCoに加入するというケースが想定されるわけです。社会人になるタイミングで最低限の知識があると良いスタートが切れます。その逆に「難しそう」といったマイナスイメージがあるとなかなか積極的になれず、当然、その知識も身に付きません。

「老後は年金があるから安心」そう断言したいところですが、やはり多くの人にとって年金だけでは不十分な将来が想定されます。現在年金暮らしをしている世代は、日本経済が高度成長を遂げた時代でお給料も右肩上がり、退職金もしっかりもらえ、年金も60歳から。ライフプランが描きやすく、それほどお金の知識がなくてもよかったかもしれません。

しかし、今はそうではありません。生き方や働き方が多様化し、社会も目まぐるしく変化しています。少し前向きに捉えると、いろんな選択肢が私たちの前にあるのです。より自分らしい生き方をするためには、様々な意思決定や判断が必要となります。とりわけお金のことに関してはそれが色濃く出るでしょう。だからこそ、お金のことを学ぶ必要性が高まっているのです。

子供の金銭感覚を養うために、親がやるべきこと・やってはいけないこと

OKとNG
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結論から言うと、「これをやるべき」というものはありません。一方「やってはいけないこと」はあると感じています。筆者の主観も入っておりますが、長年FP相談に従事し、多くの家庭、そして子育てを見てきた経験からこのように感じています。

子供の金銭感覚を養う「正解」はない

なぜ「これをやるべき」がないのかと言えば、子供の金銭感覚を養うための正解がないからです。子供の成長は千差万別。価値観、家庭環境もそれぞれ異なります。学校の勉強も同じではないでしょうか?例えば、定期テストの結果を受けて「よく頑張った、次も頑張れ」と褒めてあげるのと、「なぜこれだけしか点が取れないんだ」と厳しく接するのは、どちらが正しいでしょうか?

おそらくこれも正解はないと思います。褒めることで実力をより発揮する子もいれば、怒られたからこそやる気になる子もいると思います。逆もまたしかりで、褒めたことで現状に満足して伸び悩んだり、発奮することを期待した一言が裏目に出たりする可能性もあります。

よって、残念ながらこれをやれば金銭感覚を養えるという王道はありません。あえて「やるべきこと」としてあげるのであれば、子供とお金のことについて良く話をするということでしょうか。子供がお金のことをどう考えているのか、買い物や旅行など様々なシーンで会話を重ねてください。

お小遣いで買い物をした子供に「なぜこれを買ったの?」といった質問を投げかけ、子供がどのような判断でお金を使ったのか、親として純粋に探求してみてください。意外と面白い発想で買うか買わないかを決定していることもあります。そういう積み重ねが金銭感覚を養うことにつながっていくと思います。時として無駄遣いもあるでしょう。その際も、たくさん会話を交わすことで子供もいろいろな気付きに触れ、次に活かすことができると思います。

金銭感覚を養うために、親がやってはいけないこと

一方、「やってはいけないこと」は親の価値観を押し付けることです。知らず知らずに「間違った」ことを子供に伝えているケースがあるからです。先ほど「無駄遣い」という表現を使いましたが、親から見て無駄遣いでも、子供からするとそうじゃないという場合もあります。「無駄」と親が決めつけることが子供の価値観をゆがめてしまうことになりかねません。

また、「株は絶対に損をするからやめなさい」というように、株式投資をあたかもギャンブルのように子供に伝えるのも価値観を押し付けることになります。これは親自身が何か手痛い経験をしたという場合もあれば、親自身もまた自分の親に言われたことを守ってきたというケースもあるでしょう。今は世の中が「貯蓄から投資へ」という流れにある中で、株式投資をはじめ資産運用の必要性が高まってきています。親個人の主観のみで「株はダメ」と言い聞かせることが大きなミスリードとなりかねません。

学資保険も同様です。子供が生まれると、「子供のために必ず学資保険に入りなさいよ」と親や祖父母など身内からアドバイスを受け、何の迷いもなく学資保険に入る人が多くいます。もちろん学資保険に入ることが悪いわけではありません。教育費を貯める上での1つの選択肢となります。

ただし、例えば60代や70代の人が子育てをしていた頃と比べると、現在の学資保険は圧倒的に金利が低く、当時のような魅力は残念ながらありません。死亡保障がどれくらい必要か、いくら貯めたいのかなど、目的や状況によっては学資保険以外の手段も考えられます。

こういった代々受け継いだ「お金の使い方」に対する価値観や、確たる根拠もなく、自身の経験や誰かから言われたことをそのまま子供に伝えてしまっては、正しいお金の使い方は身につきません。親自身が自分自身の価値観を見直し、世の中の動向に合わせて学びなおすことも大切でしょう。

親としてやってよかったことは?

話し合う親子
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筆者は高校生と中学生、2人の娘の父親でもありますが、FPという仕事柄もあり、子供が生まれた頃から「わが家はどういうお金のルールにしようか?」ということと向き合い、実践してきました。そんな中、子供が小さい頃から行っており、今でも継続していることが「私から妻へ1カ月の生活費を手渡しする」ことです。必ず2人が見ている前で渡します。

しばらく続けていると、「父親が働いていることで生活ができている」ということに気付き始め、私がいない時に文房具や衣服などを買った際は私が帰宅後に必ず「ありがとう」とお礼を言いにくるようになりました。これは当初想定していませんでしたが嬉しい誤算です。「働いてお金を稼ぐ」、「生活のために働く」こういった大切なことを学んでくれたのです。

今でも2人に月々のお小遣いを渡すタイミングと同じくして、妻に生活費を渡しているため、2人ともすっかり1カ月の生活費の額まで把握しています。

また、お金を使う機会が増えてきた小学生の頃、2人に紙と鉛筆を渡し、「1円玉の輪郭を描いてみて」と投げかけたことがあります。2人とも「いつも見ている1円玉。余裕で書ける!」そんなことを言いながら一瞬で○を描き終えましたが、案の定、2人とも実際の1円玉よりもかなり小さい輪郭を描いていたのです。毎日のように目にしている1円玉をしっかりと描くことができない。これは心理学的に1円を軽視しているという指摘もあります。改めて1円の大切さを考える機会にもなりますので、ぜひご家庭でやってみてください。

親子で家計管理できるアプリ紹介

1円玉を見つめながらお金の使い方について考えることも大切ですが、やはりこれからの時代は様々な決済手段があることを知り、カードやキャッシュレス決済と上手に付き合っていくことも求められます。

海外の研究結果(※)などによると、つい無駄遣いしてしまう決済手段は、「キャッシュレス決済」→「クレジットカード」→「現金」の順になるそうです。これは支出にどれだけ痛みが伴うか?ということと関係しています。

現金であれば自分の財布からお金を取り出し、そこから出ていくことを確認することになるため大きな痛みが伴います。一方、キャッシュレス決済やクレジットカード決済はそれほど痛みを感じません。よって、子供がこういった便利な決済機能との付き合い方を誤ることは避けたいところです。

そこで今は、子供のためのデビットカードやプリペイドカードなど便利なサービスが登場しています。親子一緒にスマホアプリ上で支出の管理ができる他、親から子への送金も可能です。一定年齢に到達した後、こういったサービスを活用することが子供の金銭感覚を養う絶好の機会となりそうです。以下参考にしてください。

子供のためのデビットカード「manimo」
子どもが利用できるデビットカードを発行し、親子で支出の管理が可能です。利用金額の上限設定もできるため使いすぎも防ぐことができます。

子供向けプリペイドカード「シャトル」
プリペイドカード「シャトルペイ」でお金の管理ができます。親から子供へ無料で送金もできるため、お手伝いをした時に報酬を払うなど各家庭ならではのルールを作り、お金の価値について親子で共有することができそうです。

家族向けデビットカード「かぞくのおさいふ」
シャトルペイと同様に、プリペイドカードを活用したサービスです。チャージした分しか利用できないため、使いすぎの心配もありません。親からメッセージが送れたり、利用履歴からレポートが発行されたり、楽しくお金との付き合い方を身につけることができそうです。

※Boden, J.,Maier, E., & Wilken, R.(2020)
The effect of credit card versus mobile payment on convenience and consumer’s willingness to pay 

まとめ~お金の3つの役割を意識して子供と接する~

貯金する家族
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理想的なお金の使い方、そしてその教え方に正解はありません。親子でコミュニケーションを交わしながら模索していくことになります。「なぜこのお金で野菜が買えたの?」、「なぜこのお金では足りないの?」など、子供が小さい頃は純粋でストレートな質問も想定されます。こういった質問は意外と答えられないものです。

そういう時にはお金の3つの機能「交換・保存・価値尺度」という基本を拠り所にしてください。物々交換をしている頃もありましたが、モノは腐ることもあります。運ぶのも大変です。何かと交換する、将来に備えて保存する。そしてみんなが同じお金を使うことで「高い」、「安い」といったそれぞれの価値を計ることができます。

子供のお金の使い方をどう考えるかについて、今回の要点をまとめます。

初めての子育ての場合は何かと身構えてしまいますが、お金についてはシンプルにこの基本を意識した上でお子さんと接してください。親もまた子育てをしながらお金の使い方について学びなおす機会にしてくださいね。

子供のお金の使い方についてのQ&A

Q.子供のお小遣いはいくらが妥当でしょうか?

A.小学生ぐらいまでは親が金額を決めてあげる必要があると思いますが、中学生以降は、1カ月の予算を自分で立ててもらい「これくらい必要」と子供に要求してもらう、といった方法も金銭感覚を身に付ける上で良さそうです。どこまでをお小遣いで支払うのか?そういった線引きにもなります。

Q.子供はもちろん、親自身もマネー教育が必要と思っています。まずは無料のマネーセミナーに参加しようと思っていますがどうでしょうか?

A.今は無料のマネーセミナーが数多く開催されています。無料と聞くと「何らかの金融商品の販売目的では?」と警戒する人もいますが、必ずしもそうとは限りません。無料でも内容が充実したセミナーもたくさんあります。もちろん、販売目的という場合もありますので、そのあたりはしっかりと踏まえた上で、学ぶことを目的として参加することは悪くないと思います。