2022年は金融教育元年!私が娘と実践したお金の勉強法とは
監修・ライター
ここ数年、金融リテラシーに注目が集まっています。
『金融リテラシー』とは、金融・経済・お金に対する知識や教養のことを指し、健全な社会生活を営むうえで欠かせない要素のひとつです。
日本ではかねてより金融リテラシーの低さが指摘されており、2022年度からは、高校の家庭科の授業で金融教育がスタートすることが決まっています。
そこで、今回の記事では金融教育が重要視される理由や、その大切さについてまとめてみました。
年少の娘と始めた「お金の話」
つい先日、水筒を乱暴に扱っていた娘を注意する一幕がありました。
その際、娘の口から出たのが「(壊れたら)また新しい水筒を買えばいいじゃん」といった一言。
もちろんすぐに訂正して謝ってきましたが、その際、私は「お金の話」を娘にするいい機会ではないかと感じたのです。
お金は労働の対価として得るものであること、しっかり考えて使わなければならないものであること、その2点を意識して娘と話をすることにしました。
子どもが小さいうちは身近なことから
娘にお金の話をしようと決めた数日後、まずはおもちゃのお金を使ってお金の仕組みについて教えることに。
その後、実際にお年玉を見せ、いまこれだけお金を持っていること、使ったら戻ってこない(増やすためには働かなければならないこと)を数日かけてゆっくり教えていきました。
また、並行して「お小遣い」の仕組みを導入し、娘ができるお手伝い(洗濯物をハンガーから外す、配膳をする)を通じて30~50円を渡していきました。
最終的に300円ほど貯まった時点でスーパーへ行き、お菓子コーナーで好きなお菓子を買ったのですが、お金を貯めるのは時間がかかること、使うとなくなってしまうことを学べたようです。
もちろん、子どもに対してなんでもかんでも全て話す必要はありません。
しかし、あらかじめ親から話すこと・話さないことを夫婦間で決めたうえで、お金の大切さ・使い方を教えることが大切でしょう。
わが家ではまだ子どもが小さいため、お互いの収入の話や貯金額の話は子どもの前でしないように気を付けています。
お金の話=タブーではない
日本では「お金の話=恥ずかしいこと」といった認識が強く、子どもにお金の話をすることをためらっている人も少なくありません。
しかし、SNSやコミュニケーションアプリが多様化し、まだ小さいうちからスマホを持つことが珍しくない昨今、次のような弊害が起きているのもまた事実です。
- 仮想通貨や先物取引などをめぐる詐欺に引っかかってしまう
- お金を使うといった感覚が乏しくゲームに高額の課金をしてしまう
そうしたトラブルを防ぐためにも、お金の大切さやそれに関わる基本的な知識を伝える機会をなるべく早めに設けることが大切です。
諸外国と比べ遅れている日本の金融教育
金融広報中央委員会が2019年7月に公表した「金融リテラシー調査」によれば、学校等で金融教育を受けたとの認識がある人は全体の7.2%にとどまり、米国の21%という結果を大きく下回っています。
なお、約62%もの人が家庭での金融教育の経験がなかったと答えており、ここでもお金の話に対して消極的な日本人の気質が見て取れるでしょう。
また、全体的には学生・若年社会人(18~29歳)の理解度が低く、同調査で実施した正誤問題に置いても低得点者の方がより多くなっています。
そして正答率が低ければ低いほど、望ましい金融行動(※)をとる人の割合が低いことも調査によってわかりました。
こうした状況を危惧する声が高まり、昨今では積極的に金融教育を導入すべきだという意見が増えています。
(※資金運用、借入れ、生保加入時に他の金融機関や商品と比較した人の割合)
推進が進む金融教育
金融教育の遅れが広く指摘されるにつれ、金融教育を積極的に推進する動きもみられます。
2021年3月には金融庁が文響社の「うんこドリル」と連携し、ネット上でお金について学べる小学生向けコンテンツ「うんこお金ドリル」を公開しました。
うんこドリルは未就学児から小学生を中心に非常に強い支持を得ており、そうした人気コンテンツとコラボレーションをすることで、勉強に対するハードルを下げたといえるでしょう。
2022年4月からは高校家庭科で金融教育がスタート
2022年4月からは、新しい指導要領に基づいた高校家庭科の授業がスタートします。
その中には金融教育も盛り込まれており、投資信託をはじめとした、基本的な金融商品の特徴を学ぶことになります。
盛り込まれた背景として、先に述べた金融トラブルの増加はもちろん、同じく2022年4月から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることで若年期からの金融リテラシー向上の必要性が課題となったことなどが挙げられるでしょう。
高校生が授業で学ぶ内容として、次のような項目があります。
- リスク管理を踏まえた家計管理の基本
- 生涯を見通した経済計画の立て方
- 預貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴
また、実際の授業では給与明細を教材とし、可処分所得や非消費支出など家計の構造やバランスについて触れるのはもちろんこと、高校卒業後の進路を踏まえたうえで具体的な経済計画についてシミュレーションをすることも想定されています。
生活上、必要な金融リテラシーをしっかりと学んでおくことは、その先も長く続く人生のために必要といえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、昨今の日本で金融教育が推進される背景と具体的な取り組みについてお伝えしました。
金融教育を通じ、お金や金融の働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考えることはこの先の人生において欠かせません。
子供たちが正しい知識をもとに、自立した生活を送れるよう、まずは身近なものを使って家庭でもお金の話をしてみてはいかがでしょうか。