後悔する前に!乗り換え時に知りたい格安SIMのデメリット9選
大手キャリアよりも安い携帯料金が魅力の「格安SIM」。しかし良いことばかりではなく、「通信速度が遅くなりがち」、「LINEのID検索ができない」などデメリットも多数存在します。
今回は、そんな格安SIMならではのデメリットや注意点を紹介します。格安SIMへの乗り換えを考えている人は、契約後に後悔しないためにもぜひご覧ください。
格安SIMとは
一般的に「格安SIM」とは、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)に分類される通信業者を指します。
MVNOとは、自社で通信設備を持たず、大手3キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)から通信設備を借りてサービスを提供している通信業者です。設備費用が浮く分、ユーザーへの通信料金を安く設定しており、大手3キャリアよりも安い料金水準となっています。毎月の支払いを1000円以下に抑えられる格安SIMも少なくありません。
代表的な格安SIMとして、以下のような通信業者が挙げられます。
・NUROモバイル
・mineo
・IIJmio
・TONEモバイル
など
格安SIMのデメリット9つ
安さが評判の格安SIMですが、特有のデメリットも存在します。以降では、格安SIMにおける9つの代表的なデメリットを紹介します。
1.通信速度が遅くなりがち
格安SIMの通信業者は、大手キャリアから回線を借りる際、データ量の制限が設けられた契約をしているのが一般的です。このため、格安SIMは大手3キャリアに比べると回線速度が落ちやすく、不安定になりやすい面があります。
特に利用者が多くなるお昼時の12~13時頃は、回線速度が遅くなる格安SIMが目立ちます。1Mbpsを下回り動画視聴などが難しくなることもあります。
2.店舗数が少ない
大手キャリアであれば全国各地に店舗がありますが、格安SIMの場合は店舗運営費や人件費などを削減する目的もあり、店舗の数を抑えています。中には実店舗を一つも持たない格安SIMもあります。
店舗がない場合、契約変更や不明点の相談などが窓口で行えず、電話やオンライン上での手続きとなってしまうため、対面の方が安心という人にとってはデメリットといえるでしょう。
3.キャリアのメールアドレスが使えないことがある
格安SIM業者の中には、「~@docomo.ne.jp」や「~@ezweb.ne.jp」といったキャリアのメールアドレスが使えないケースや、使うことはできても有料オプションとなるケースもあります。キャリアのメールアドレスを活用しているひとは、乗り換え時に注意が必要です。
4.「口座振替」や「デビットカード」で支払えない格安SIMがある
格安SIM業者の中には、料金の支払いを口座振替やデビットカードで行えず、クレジットカード引き落としのみとしている業者もあります。
ただし、中には『UQモバイル』のように、口座振替、デビットカード両方の支払いに対応している格安SIMもあります。
5.LINEのID検索ができない格安SIMが多い
格安SIM業者の多くは、LINEの「年齢認証」に対応していないため、年齢認証が必要となるLINEのID検索機能が利用できません。このため、ID検索から友達を追加することができなくなります(「ふるふる」や「QRコードリーダー」で追加することは可能)。
ただし最近は、年齢認証に対応しID検索が可能な格安SIMも徐々に増えてきています。
6.SIMロック解除、端末の相性
2021年10月1日より前に発売されていたスマホでは、「SIMロック」が備わっていることがあります。SIMロックとは、他社のSIMカードを挿入するとロックが掛かり、通信が利用できなくなる機能です。
そのようなスマホの場合、格安SIM業者から提供されたSIMカードを差し込むとSIMロックが掛かりますので、通信を利用するには、別途「SIMロック解除」の手続きを大手キャリアのショップなどで行う必要があり手間がかかります。
また、SIMロック解除をしても、SIMカードと端末との相性の問題で、上手く通信機能が動作しないケースもあります。そのようなトラブルを回避するためにも、動作確認がされている端末であるかを事前にネットなどでよく確認しておくことが大切です。
7.APN設定(初期設定)を自分でやらなければならない
APNとは「Access Point Name」の略で、スマホ端末でデータ通信をするために必要な初期設定のことです。
大手キャリアであればAPN設定はもとからされていますが、格安SIMの場合は設定されていない業者が多く、その場合は自分でやらなければなりません。
APN設定は、すべてスマホの設定画面内で完結しますのでさほど難しくはありません。とはいえこういった設定作業に慣れていない人の場合は、少々面倒に感じるかもしれません。
8.家族割や通話プランが少ない
格安SIMの場合、データ通信面では安いプランが豊富に用意されていますが、通話面ではプランが少ない業者が目立ちます。
たとえば大手キャリアであれば当然のように用意している「家族割」、「通話料定額」のようなプランも、格安SIM業者にはないことも多いです。このため、よく通話する人は「格安SIMに乗り換えて通信料が安くなっても、かえって通話料が高くなってしまった」となる可能性もあり得ます。
9.災害時のデメリット
格安SIMの場合、大地震などの災害時に、以下のようなデメリットが生じることがあります。
・データ通信が遅くなる可能性がある(災害時は通信量も増えるため)
・大手キャリアが提供する災害用伝言版が使えない(NTTが提供する「災害用伝言板(web171)」は利用可能)
・緊急地震速報のアラートが鳴らないことがある(厳密にはSIMカードが原因ではなく、利用する端末がアラートに対応していないタイプだと鳴らないことがある)
など
それでも「安さ」という大きなメリットがある
このようにデメリットも多い格安SIMですが、やはり「料金の安さ」という点はそれをくつがえすほど大きなメリットだといえるでしょう。
たとえば『NUROモバイル』であればデータ容量3GBを792円(税込)/月で利用できます(※音声通話付きSIM)。また、使い切れずに余ったデータ容量は、翌月に繰り越して使うことができます。
このように大手キャリアに比べ、料金の安さは圧倒的であり、中には毎月の支払を総額1000円以下に抑えられる業者もあります。とくに「普段スマホをあまり使わない人」、「使ってもデータ通信のみで通話は少ない人」には格安SIMの料金体制はうってつけです。
「2年縛り」などの制限もない
大手キャリアの場合「2年契約」のような制限があり、契約更新月以外で、他社への乗り換えや解約を行った場合、違約金が発生するのが通例です。
一方、格安SIMであればそのような制限ルールを設けている業者は少なく、サービスが気に入らなくても、違約金なしで乗り換えることができますので、その手軽さもメリットといえます。
以上、格安SIMのデメリットについて解説しました。
とくに冒頭で紹介した「通信速度が遅くなりがち」は、格安SIMの代表的なデメリットであり、回線の速度や安定性を重視する人の場合は不満も大きくなりやすい部分です。また、「SIMロック解除、端末の相性」の部分も、格安SIMへの乗り換え時にトラブルとなりやすい箇所であるため、「SIMロック」についてよく理解した上で乗り換えを進めることをおすすめします。