転職で年収が下がる人は〇%も!年収アップに失敗しないためには?
いまの仕事では収入に頭打ちを感じ、「転職」により年収アップを図ろうとしている人もいるかもしれません。しかし転職で必ずしも年収がアップするとは限らず、人によっては年収が下がってしまうこともあります。しかも年収が下がってしまう人の数は意外と少なくないようです。
今回は、転職すると年収がどのように変化するかについて、また年収をアップさせるために押さえておきたいポイントを解説します。
近々転職を考えている方は、実情を知る意味でもぜひご覧ください。
転職すれば年収は上がる?それとも下がる?
厚生労働省が発表した「令和3年雇用動向調査結果の概要(転職入職者の状況) 」では、転職した人の賃金変動状況が集計されており、結果は次のようになっています。
前職の賃金に比べ「増加」・・・34.6%
前職の賃金に比べ「減少」・・・35.2%
前職の賃金と「変わらない」・・・ 29.0%
ご覧のように、「増加」と「減少」がほぼ同じ割合となっています。つまりこのデータからは、「転職をすると年収は上がるとも下がるとも均等にいえる」ことになります。また視点を変えれば、「転職で年収が増加している人は全体の約3割に過ぎない」ともいえます。
なお上記は全世代トータルでの結果となりますが、世代が若くなるほど「増加」の割合が高くなる傾向がみられます。たとえば20歳~24歳では「増加」の割合が47.1%となり、25歳~29歳では42.9%となっています。30代以降は、年齢が高くなるにつれ「増加」の割合が減っていく傾向です。
dodaの調べでは27~29歳にピーク
大手転職サービス『doda』の「転職で年収アップするのはこんな人 年収アップ成功者に見る傾向と対策」では、年収アップに成功した人のうち、年収アップ額上位6000名の傾向を分析しています。
この調査による年齢の分布を見てみると、最も多いのは27~29歳であり、30代以上は徐々に減少していく傾向が見られます。
転職で年収が上がるケース
転職して年収が上がる人は、どのようなケースが多いのでしょうか。ここでは転職で年収が上がるケースやパターンの傾向を紹介します。
若い人は上がりやすい
前述した厚生労働省のデータからも垣間見られる通り、年齢の若い人ほど転職で年収は上がりやすいです。特に20代後半ごろは、着実にスキルを磨いてきた人とそうでない人の差が大きく開き始める時期であり、スキルの高い人や伸びしろの期待できる人は、転職により一段上の年収にステップアップできることが多いようです。
また20代の若い世代は、もともとの給料水準がまだ低めであるため、転職でそれ以下に下がるリスクが上の世代よりも少ないことも関係しています。
異業界への転職
「業界」毎にだいたいの給与水準は決まっており、企業規模や収益性によって多少の違いはあれど、同じ業界の企業では年収に大きな差がでないのが一般的です。このため、同業界・同業種、同じポジションでの転職ではあまり年収は変わらないのが現実です。
見方を変えれば、異業界への転職であれば年収が一段上がる可能性があるでしょう。たとえば同じ営業職であっても所属する業界や扱う商品などが変われば、それだけで年収が上がることがあります。
また、新規事業を始めようとしている会社が、社内に有識者がいないために別の業界の優秀な人材を採用する「オンリーワン採用」というケースもあります。こうしたオンリーワン採用は年収条件も良いことが多いため、うまく活用すれば年収の底上げを図れることがあります。
同業界での年収アップケース
前述したように同業界・同業種での転職では年収が上がらないことが多いですが、例外もあります。
同業界への転職で年収アップが期待できるのは、以下のようなケースです。
・これまでより規模の大きな同業他社へ転職する
・伸び盛り、勢いのある同業他社へ転職する
・リーダー候補や役職者など、これまでより高いポジションとして採用される
など
ただし、規模が大きい企業の方が必ずしも年収が高いというわけでもありません。また、年収条件の良い同業他社への転職では、その分求められるスキルも高くなるのが一般的です。採用を勝ち取るのも簡単ではないことを覚えておく必要があります。
営業職やIT系技術職は年収が上がりやすい
「職種」によっても、転職で年収が上がりやすい職種とそうでない職種があります。
大手転職サービス『doda』の調べによると、転職で年収が上がっている人の多い職種の上位5位は以下の通りです。
1位:営業職
2位:技術系職種(IT/通信)
3位:企画・管理系職種
4位:技術系職種(機械/電気/組み込み)
5位:専門職系
参考:doda「転職で年収アップするのはこんな人 年収アップ成功者に見る傾向と対策」
営業職やIT系技術職のように、実力差やスキル差が現れやすい職種ほど、転職で年収が上がりやすいようです。同時にスキルが低い人が転職を図った場合には、その分、年収が下がりやすい職種ともいえます。
転職で年収が下がるケース
次に、転職で年収が下がるケースを紹介します。以下の内容に心当たりのある方であれば、転職は慎重に考えたいところです。
経験が乏しい、未経験
業界を変えると年収が上がることもありますが、あくまで経験を活かしたキャリアチェンジが前提になります。完全な「未経験転職」では、一般的に年収は下がることのほうが多いです。
未経験転職では、年齢やこれまでの経歴が年収に反映されず、新人と同じ水準の給料となることもあります。特に年齢の高い方は同世代の水準を大きく下回ってしまうこともあるので注意が必要です。
これまでの年収が自分の市場価値に見合っていなかった
大手企業の社員などではよくあるケースですが、会社の規模や業績の恩恵を受け、自分の持つスキル以上の年収を貰っているという人もいます。
転職では、客観的に個人のスキルや経験値が計られますので、これまで市場価値以上の年収を得ていた人は、転職時にそれがあらわになり、年収ダウンに繋がってしまうことがあります。
役職がなくなる
リーダー職や管理職の場合、「役職手当」で給料が底上げされていますが、転職を機に役職が外れてしまうことがあり、そうなれば役職手当分の収入がダウンします。
同じような仕事で転職する場合であっても、会社によっては役職が付かないこともあります。管理職の転職を考えている方は、転職時に役職としての採用になるのか、役職手当はいくら貰えるのかもよく確認したいところです。
転職で年収をアップさせるポイント
転職を成功させ年収をアップするには、どのようにして転職活動を進めればよいのでしょう。ここでは年収をアップさせるためのポイントを解説します。
市場価値を知る
転職を進める上では、まずは自分のスキルや経験にどの程度の市場価値があるかを把握することが大切です。市場価値はネット上の求人傾向などからも分析できますが、転職エージェントなどに相談し確認してもらう方法もあります。
市場価値が高い人であれば、自分の価値を安売りせず、十分に評価してくれる会社を吟味し転職を進めたいところ。市場価値が低いと感じた場合は、無理に行動に出ず、スキルが身に付くまでは転職を一旦保留にするのも手です。
年収のルールを知る
転職先の企業が年収に対してどのようなルールを設けているかも確認しておくことが大切です。転職時の年収ルールには、「前職給与保証」「年功」「成果ベース」などがあります。
前職給与保証:前職の給与額分を支払う、もしくはそれに近い額を支払う
年功:年齢別の給与テーブルで年収が決まる
成果ベース:入社後の成果や功績によって給料が決まる
また会社によって、福利厚生制度、各種手当などによって隠れた恩恵が受けられる企業もあります。転職で年収を下げないためにも、具体的にどの程度の収入が得られるかを事前によく把握しシミュレーションしておくことが大切です。
自分を採用するメリットをアピールする
企業側がこの人材は必要だと判断すれば、年収額においても柔軟に応じてくれることもあります。反対に必要でないと判断した場合は、採用自体が却下されることもあります。
企業は営利を追求していますので、面接では「自分を採用するメリット」を積極的にアピールすることが大切です。そのためにも前述したように自分の市場価値をよく知り、どこがアピールポイントになるかを把握しておきましょう。
以上、転職における年収の変動について解説しました。
厚生労働省のデータを見てもわかるとおり、転職によって年収が上がる人もいますが、下がる人も同じくらいの数がいますので、年収アップの手段として転職を行うことが正しいか否かは判断が難しいところです。年齢やスキルによっても年収アップの成功具合が変わりますので、自分の状況をよく知った上で動くことをおすすめします。