お金

免許不要となる電動キックボード、移動手段に革命を起こす!?

経済とお金のはなし 中新 大地

免許不要となる電動キックボード、移動手段に革命を起こす!?

【画像出典元】「Studio Peace/Shutterstock.com」

こんにちは、コピーライター/ランサーズ新しい働き方LABコミュニティマネージャーの中新大地です。
街を忙しく行き交う人や自転車、そして車に電車。誰もが“移動”することによって、仕事に行ったり遊びに行ったりする、なんてことない日常の風景です。

しかし最近、この風景に新しい仲間が加わろうとしています。
それが「電動キックボード」です。

今回はまだ乗ったことがない方向けに、気になるお金や法整備の最新事情、レンタルで気軽に乗れるサービスの内容をご紹介します。
移動手段に課題を感じている方、純粋に『一度乗ってみたい』という方はぜひご覧ください。

魅力は?免許は?電気代は?今注目の電動キックボードとは

現在注目を集めている電動キックボードは、その名前の通り電気で動くキックボードです。キックボード自体は、子どもの頃に遊んだことがある方もいるのではないでしょうか。
もっとも「キック」とありますが、足で地面を蹴らずとも電気の力でスイスイと進むのが特徴です。自転車のように漕ぐ必要もありませんし、車種によっては折り畳んでコンパクトに収納できるのも魅力です。

世界における電動キックボードの市場規模は2025年時点で約4~5兆円、日本国内においては後述するシェアリング市場だけで約1兆円規模になると言われています。
最大手は米Bird社で時価総額1000億円を超えるユニコーン企業への仲間入りを、約9カ月で果たすという史上最速記録も打ち立てています。

その注目度の高さは普及台数にも表れています。米国内では、2018年時点で約100の都市で8万5000台の電動キックボードがシェア可能になっています。
2019年における電動キックボードのシェアサービスの利用回数では、8600万回というデータもあります。

欧州でも多くの都市で流通しており、2019年時点のベルリンやストックホルムではシェアリング用の電動キックボードが1.1万台設置されたと言います。

こうした電動キックボードをはじめとしたマイクロモビリティは、道路が狭い上に公共交通機関が複雑な日本の交通事情との相性も良いと見られています。

この電動キックボードが、道路交通法改正により2023年7月1日から規制緩和されます。これまでは原付バイクと同じ車両区分でしたが、時速20km以下、アシスト機能のみで最高速度が20km/hに達しないものについては「特定小型原動機付自転車」に分類され、16歳以上であれば免許不要で運転可能です(ヘルメットの着用は努力義務)。

現行のルールでは速度制限が時速30km/hとなっていますが、免許やヘルメットが必須で、走行場所も車道のみに限られています。このことを考えれば、7月からの改正法案の内容は電動キックボード人口を大幅に増加させるものと言えるでしょう。

※特定小型原動機付自転車の細かな条件や交通ルールは、以下の警視庁のページをご覧ください。
参考:特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について

改正後も、自賠責保険は必須となります。1年の単年契約なら約7000円。任意保険については法改正後に新しい商品が出るのではという推測もありますが、現行の保険の一般的なプランだと年間約5万円程度です。

置き場については、折り畳みタイプであれば折り畳んで自宅に持ち込むことも可能ですが、マンションの駐車スペースなどに停める場合は、管理会社に確認した方がよいでしょう。
ただし、外出時は原動機付自転車と同じ扱いになるため、バイク用の駐車場に停める必要があります。東京などの都市部の場合、500~1000円/日となることが多いようです。

車両自体の価格も車種によってまちまちですが、株式会社FUGU INNOVATIONS JAPANが7月に販売予定の「MEISTER.F」は、7万9800円(税込)。最高速度は約19km/hで、最大走行距離は約30km。フル充電した場合の電気代は10~20円前後です。

都市部で圧倒的な人気、電動キックボードシェアサービス「LUUP」とは

電動キックボード
【画像出典元】「stock.adobe.com/tsubasa-mfg」

電動キックボードや電動アシスト自転車のシェアサービスでは、都市部で圧倒的な人気を誇るのが「LUUP」です。
東京や大阪などの都市部を中心に「ポート」と呼ばれるLUUP専用の駐車場が設置されています。アプリを使ってポートの場所確認や支払いが可能で、ライド料金(基本料金)は50円(税込)、時間料金は1分あたり15円(税込)となっています。たとえば、駅から目的地周辺への少しのちょっとした移動(5分間)に使う場合だと、125円かかる計算です。10分なら200円ですね。

仮に今後利用シーンの増加が予想される通勤・通学、お出かけの行き帰りに毎日片道5分ずつ使うケースだと、250円×30日で7500円/月かかる計算になります。
ちなみに地域によっては、ライド料金がお得になるキャンペーンを行っていることもあるので、事前の確認をおすすめします。

LUUPは日本における電動キックボードシェアサービスの先駆け的存在であり、マイクロモビリティ推進協議会へも参画しています。電動キックボードの未来だけでなく、街づくりにも影響を与える企業として注目を集めています。
LUUPのサービスを利用する人もしない人も、同社の動きに注目しておくことで「コンパクトで取り回しのきく、地域の移動の新しい形」が見えてくるはずです。

手軽で便利だけど危険性も!電動キックボードの注意点とは

注意点
【画像出典元】「Vector Stock Pro/Shutterstock.com」

とても便利な電動キックボードですが、使い方によっては危険性が伴う場合があることを忘れてはいけません。狭い通路を走行しやすいが故の接触事故の発生のほか、小さなタイヤであるが故の路面からの思わぬ衝撃や溝への落下などにも注意しましょう。

努力義務にはなっているものの、自分の身を守るためにヘルメットの着用を強くおすすめしますし、万一の場合に備えて任意保険にも入っておいたほうが安心です。また、キックボードのように立ちながら操作する乗り物は、慣れない人にとってはかなり不安定なものとなります。事前に準備運動をしてから乗る、または一部販売されている椅子付きのキックボードを購入するのも良いかもしれませんね。

スマート、エコ、電動キックボードが変える移動の形

電動キックボードの普及によって、私たちの移動の形は大きく変わるかもしれません。
スマートな印象、ガソリンではなく電気で動く環境への配慮、特に現代では「シェアリングエコノミー」という考えに基づき、モノを個人で所有するのではなく大勢で共有することによって、資源やコストを節約する考え方も広まりつつあります。

新しい移動手段として電動キックボードを利用する上での懸念点はもちろんありますが、こういった社会背景を踏まえればこの業界には追い風が吹いていると言えます。

皆さんもまずは電動キックボードに乗って、新しい風を感じてみてくださいね。