「後払い決済」ってどんな人が利用しているの?利用実態を調査
目次
変化の激しいデジタル時代において、人々の「お金」に関する意識や価値観、行動はどのように変化しているのでしょうか?
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営する「マネーインサイトラボ」では、お金に関する調査・研究を実施し、その結果をご紹介しています。
今回のテーマは「後払い決済」です。
コロナ禍を経て、オンラインショッピングが普及し、その決済手段も多岐に渡りますが、どのような人がどんな買い物をする際に後払い決済を選んでいるのでしょうか?
それではさっそく結果を見てみましょう。
そもそも「後払い決済」とは?
後払い決済とは、購入者が商品やサービスの提供を受けた後に支払う決済方法です。後払い決済事業者から送付される請求書にて、コンビニや郵便局、銀行などで代金を支払います。別名「BNPL(=Buy Now Pay Later)」とも言われます。
実際にオンラインで後払い決済を選択している人ってどのくらいいるの?
オンラインで買い物をする際に利用したことがある決済手段として最も多かったのは「クレジットカード」。ただしZ世代のクレジットカードの利用率はやや他の世代よりも低いようです。一方、今回のテーマである「後払い決済」を利用したことがある人の割合は全体で23.5%でした。
後払い決済を利用している人、そうでない人の違いは
およそ4人に1人が利用したことのある後払い決済ですが、その利用経験者と利用未経験者の傾向に違いはあるのでしょうか?
直近1年間で、オンラインで購入したものを伺ったところ、後払い決済の利用経験者(以下、後払い決済利用者)の方が、後払い決済利用未経験者(以下、後払い決済未利用者)に比べ、幅広く様々な商品をオンラインで購入しているようです。特に、「ファッション」や「コスメ・香水・美容」、「おもちゃ・ホビー・グッズ」などの購入率が、後払い決済未利用者よりも高い傾向にあります。
また後払い決済利用者は、後払い決済以外にも様々な決済方法の利用経験があるようです。一方、後払い決済未利用者はクレジットカードに偏っている傾向が伺えます。
様々な決済手段で様々な商品をオンラインで購入する後払い決済利用者。その使い分け基準として最も多かったのは「購入するサイト・アプリで使える決済手段によって」、次いで「お得さによって」でしたが、「決済金額によって」使い分けている人が多い点も特徴と言えます。一方、ポイントなどの「お得さ」は後払い決済未利用者の方が重視しているようです。
後払い決済、どんな買い物で使っている?
続いて、後払い決済利用者だけにフォーカスし、世代別に詳しく見てみましょう。
後払い決済で購入したことがあるものは、世代によって傾向が異なるようです。特にZ世代は「ファッション」に続いて、「家電・スマホ・カメラ」、「本・音楽・ゲーム」など生活必需品以外のものが多い結果になりました。
後払い決済での購入金額について伺ったところ、X・Y世代は「5千円以上1万円未満」が最も多かったのに対し、Z世代で最も多かったのは「1万円以上5万円未満」。Z世代の方が高額傾向のようです。
後払い決済を選んだ理由を伺ってみると、X・Y世代は「支払うタイミングを調整できる」点に魅力を感じているようです。一方、Z世代は「購入時にお金が足りなかったから」が最も多い回答となりました。
ここまでの結果を見ると、世代によって後払い決済の位置づけが異なることが分かります。特に、Z世代の後払い決済利用者は、欲しいものを購入する際、今すぐ支払うお金が足りない時に後払い決済を利用する傾向にあるようです。
前述したように、Z世代は他の世代よりもクレジットカードの利用率が低く、また持っていても年収が低いため限度額が低いと推測できます。このような背景から、X・Y世代がクレジットカードを使うようなシーンで、Z世代は後払い決済を利用しているのではないでしょうか。
後払い決済、未利用者の認知度は?
最後に、後払い決済未利用者の後払い決済に対するイメージを見ていきましょう。
後払い決済未利用者の後払い決済の認知度は約3割でした。「なんとなく知っている」を含めるとその割合は8割強まで増えます。
後払い決済の利用意向を伺ってみると、「機会があれば利用してみたい」と答えたのは4割強。その理由としては「支払うタイミングを調整できるから」が最も多い結果となりました。
一方で、「利用したくない」と答えた方も3割以上に。その理由は「借りている感覚が嫌だから」が最も多いようです。
以上が今回の調査結果です。
クレジットカードを持っていない層を中心に後払い決済を利用する人が増えていると言われていますが、今回の調査での後払い決済利用者は、他の複数の決済手段と使い分けている傾向が見えてきました。
また世代によって後払い決済の位置づけも異なります。X・Y世代にとっては支払いタイミングや金額を調整するためのもの。一方Z世代にとっては、お財布の補填的な位置づけが強いようです。特にクレジットカードを持っていなかったり、持っていても限度額が低いZ世代にとってはクレジットカードの代替手段としても選択されているのではないでしょうか。
オンラインでの買い物が当たり前になり、ECサイトも増えていく中で、「そのサイトにさまざまな決済手段が用意されているかどうか」は、購入の意思決定に少なからず影響を及ぼしていくと考えられます。
【調査概要】
・調査対象:Z世代(18~26歳)、Y世代(27歳~42歳)、X世代(43~58歳)
・調査集計期間:2023年5月18日(木)~5月31日(水)
・調査機関:株式会社みんなの銀行
・調査方法:インターネット調査
・有効回答数:1,500サンプル(Z世代500名、Y世代500名、X世代500名)
【マネーインサイトラボについて】
マネーインサイトラボは、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営するお金に関する調査・研究組織です。デジタル時代における、人々のお金に関する意識・価値観・行動の変化や、新しい金融サービスの可能性について新たな視点を見出すことを目的に活動しています。