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特定口座の投資信託、一度売却して新NISAで運用した方がいい?

FPにききたいお金のこと 白浜 仁子

特定口座の投資信託、一度売却して新NISAで運用した方がいい?

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つみたてNISA以外に特定口座で積立投資をしているYさん。今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、特定口座分を一度解約(売却)して新NISAに預け替えるべきか迷っているという20代女性Yさんからの相談です。

20代女性Yさんからの相談

3年前から投資信託を積立で運用しています。今20代独身ですが、投資信託で運用している資金は将来結婚して子どもができた時の教育費や自分の老後資金にしたいため、長期で運用するつもりです。

つみたてNISAは年間40万円の枠を全て使っていて、特定口座でも月に1万円ずつ積立しています。2024年からNISA制度が変わり、上限額が増えると聞きました。今現在、特定口座で積立している投資信託(元本割れはしていません)を一度売却し、2024年にNISA口座にその資金を移して運用した方が良いでしょうか?

長期的に見た時に特定口座で運用している分の利益にかかる税金がもったいないような気がしています。ちなみに、2024年以降に新たに積立する分は全てNISAで運用しようと考えています(特定口座の新規積立はストップする予定です)。 

新NISAの非課税メリットを確認

NISA
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若いうちから将来を見据えて、計画的に資産運用をされていて感心です。投資の目的は、子どもが生まれた時の教育費や、老後資金という将来資金の準備とのことですので、特定口座で運用している分を来年から始まる新NISAで買い直す選択は私も賛成です。なお、新NISAの年間投資上限額は「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円で、これらは併用可能。年間で最大360万円まで投資が可能になります。

仮に特定口座での運用資金が50万円あるとします。3%で運用できたなら、10年後に約67万円、20年後に約90万円となり、新NISAなら解約時に非課税で全額受け取れます。

現在の特定口座のままなら20%(復興所得税を除く)課税されるため、10年後の解約なら税金が約4万円差し引かれ、受取総額は約63万円。20年後なら税金が約8万円差し引かれ、受取総額は82万円となります。

5%で運用できた場合の資金は、10年後に約81万円、20年後に約134万円になりますので、非課税メリットはさらに拡がります。やはり新NISAは魅力的です。

特定口座分を売却して新NISAに預け替えるときのコスト

ここで、留意すべき点をお伝えしておきます。それは、買い直しをすることによって、解約時の信託財産留保額や購入時手数料といった手数料がかかる可能性があることです。保有している投資信託や利用している金融機関によって異なるため確認してみましょう。

このように買い替えるのにコストがかかると聞くと、戸惑ってしまう人もいると思います。しかし、実はそんなに気にすることはありません。一時的なコストは、運用期間全体で見た1年あたりの負担に引き直して考えてみましょう。

例えば、Yさんが、購入時手数料が3%の投資信託を保有しているとしましょう。1年しか保有しない場合は3%のコスト負担となりますが、10年保有するなら0.3%(3%÷10年)、20年保有するなら0.15%(3%÷20年)となり、1年あたりのコスト負担は長期保有をするほど小さくなります。もちろん手数料はかからない方が良いですが、新NISAでの非課税メリットが大きいため、やはり買い直す意味はありそうです。

貯蓄と投資のバランスが大事

貯蓄と投資のバランス
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預貯金と投資の保有比率についても考えておくと安心です。Yさんの現在の年間投資額は、つみたてNISA40万円、特定口座12万円の合計52万円ですね。

新NISAでも同様に投資を続けるとのことですので、今後の投資額は、5年後で260万円、10年後で520万円、20年後で1040万円になります。あまり先のことは想像がつかないでしょうから、5年後に預貯金と投資の保有比率はどれくらいになっていそうか、まずは目先の5年後をイメージするだけでも良いと思います。

今のペースで貯蓄を続ければいくら貯まりそうかの目安が分かったら、5年間でまとまった支出がないか考えてみましょう。例えば、結婚資金、趣味や旅行、車やマイホーム購入の頭金などです。投資は長期投資でじっくり育てていく資金ですから、そういった特別費は、基本的に預貯金から支払っていきます。それが可能かどうかを考えてみましょう。預貯金から特別費を支払った後に手持ちの資金がなくなり、残るは投資だけというのも危険です。少なくとも6カ月分の生活費は、預貯金のような安全資産で確保しておきたいものです。

もちろん、投資で利益が出ている場合に、特別費をそこから賄うことがあっても良いと思います。ただ、投資はリスクがあるため、相場の急変などで大きく元本割れをすることもあります。意に反して解約しなくて良いように、相場が回復するのを待てるくらいの資金は預貯金で持っておきたいものです。Yさんの5年後、10年後のライフイベントと予算を書き出すと、より安心できるマネープランとなります。

まとめ

Yさんは、とてもしっかり者の女性という印象です。ご質問については、お考え通りで良いと思います。その他のアドバイスも参考になるようでしたら投資ライフにお役立てください。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。