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【初心者用】NISAのつみたて投資枠、売り時は?評価額の見方も

FPにききたいお金のこと 中村 賢司

【初心者用】NISAのつみたて投資枠、売り時は?評価額の見方も

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最近の投資ブームに乗ったものの、投資信託のことを良く理解できていないままつみたてNISAを始められた方も少なくないでしょう。投資信託を積み立てている人にとって、いつ売却すれば良いのかということも悩みどころです。今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、NISAのつみたて投資枠について、評価額の見方や積立型の投資信託の売り時を知りたい50代女性からのご相談です。

「NISAのつみたて投資枠、評価額の見方がわからない」50代女性の悩み

NISAのつみたて投資枠を利用していますが、評価額の見方がよく分かりません。株であれば保有口数が分かるので、株価と保有口数によって売るか保有するか判断しやすいのですが、投資信託の場合、株でいうところの保有口数が分からず、評価額が高い時に引き出した方が得なのか、保有し続けるのが良いのか分かりません。NISAや投資信託の仕組みを初心者向けに教えてほしいです。

投資信託と株式投資の違い

投資信託とは、株式投資と違い少額から分散投資が可能です。株式投資は自分で選んだ1銘柄に投資するのに対し、投資信託は投資家に代わり専門家が複数の銘柄に分散して運用を行います。

その評価方法は投資信託の場合、「基準価額」という価格が基準となり、その基準価額と保有口数に応じて評価額が決まります。株価と保有株数で評価額が計算できる株式投資より少し分かりにくいかもしれません。

投資信託を毎月1万円といった一定額で積み立てている場合、毎月購入する時の基準価額は変動しており、購入できる口数も変わってくるため、自分が何口保有しているか分からず相談者のように評価方法が計算しづらいと感じている方もおられるでしょう。

投資信託の評価額は、基準価額と口数で計算できるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

投資信託の評価額の見方

株式チャート
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投資信託の基準価額とは、「1万口あたりの価格」のことをいいます。どの投資信託も最初は、1万口あたり1万円でスタートします。すなわち1口=1円という計算です。

その投資信託が保有する株式や債券の価格が上下に値動きすることで、日々投資信託の価格は変動します。投資信託の基準価額は毎営業日計算され、運用会社や証券会社のホームページなどで確認できます。

運用開始後の投資信託の基準価額は、下記の計算式で求められています。

運用中の投資信託は、この基準価額が変動し、その値動きが投資信託の評価額に影響するということになります。

例えば1口=1円で購入した投資信託の評価額が1口あたり2円に値上がりした場合、基準価額は2万円となります。その基準価額を元に、以下の計算式で投資信託の評価額を計算できます。

投資信託を一括購入した場合は、購入した時の基準価額と保有口数が確定するため、その後の損益が分かりやすいのですが、NISAのつみたて投資枠などで毎月積み立てをしている場合は、その都度購入した時の基準価額が異なるため、損益計算が分かりにくくなります。

そんな時は、利用している証券会社や銀行のホームページで、保有口数を確認することで現在の評価額が確認できます。

投資で得た利益は課税対象

株式投資同様、投資信託を売却して得た利益には所得税15%と住民税5%、併せて20%の税金がかかります。(※2037年12月末までは、これに加えて復興特別所得税が加わり20.315%となります)

この税金が非課税になる制度が少額投資非課税制度「NISA」です。NISAのつみたて投資枠を利用して投資信託を積み立てている場合、利益や分配金に対する税金は非課税となります。2024年からNISA制度は恒久化され、非課税投資枠を大幅に拡充、非課税期間は無期限となりました。

売却する際の注意点

投資信託の基準価額は、毎営業日、運用会社がその日の評価額を算出して当日の夕方以降に更新されます。
よって日中に解約(売却)の手続きをしても、その時に確認した基準価額で取引できるわけではありません。

一般的には毎営業日15時までが注文締切時間となり、当日夜に決まる基準価額で約定されることになります。

海外市場の場合は、対象資産の評価が翌日早朝に決定しその後為替レートを反映させるため、約定日は国内市場より遅く翌営業日の夜に算出された基準価額が約定単価となります。

売り時の判断は「目標額や目的を目安に」

資産運用
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「評価額が高い時に引き出した方が得なのか、保有し続けるのが良いのか分かりません」と相談にありました。どのタイミングで解約するかという判断は難しいところです。

少し利益が出たらすぐに解約するのか、少しでも値下がりしたら損失を拡大させないように解約するのか…。毎日の値動きにハラハラドキドキしている人は、運用の目的を決めていないか、リスクを取り過ぎているといえます。

投資を始める時は、まず投資の目的と目標とする金額、期間を決めてから始めるようにしましょう。そうすれば評価額が高くなった時、その額が目標額に達していればそれ以上は望まず、すぐに解約する気持ちになれるでしょう。

例えば目標額を100万円と決めていれば、それ以上は望まず100万円に到達した時点で解約しようと判断できます。しかし、目標額を決めていないと「もう少し値上がりするのでは」という欲が出てきてなかなか解約できません。これは、投資を始めたばかりの人であれば誰しもが最初は考えてしまう投資家心理です。

投資の目的と目標とする金額、そして運用できる期間に応じてリスクの取り方が変わります。投資を始める時は、予め解約するタイミングまで考えてから始めるようにしましょう。

まとめ

今回は、投資信託の評価額や売買のタイミングについてのご相談でした。「貯蓄から投資へ」のトレンドに乗り、NISAのつみたて投資枠などで投資信託の積み立てを始めた方で同じようなお悩みを持っている方もおられるでしょう。

投資信託の評価額について、今回は計算式を示しましたが、今はご自身で計算しなくても、証券会社や銀行のホームページで評価額を確認することができます。一度ログインしてご自身の口座を確認してみてください。投資信託の平均購入単価と現在の基準価額を確認することができて、一目で損益が分かります。

投資信託は、短期投資には向きません。余裕資金を老後へ向けて運用していく気持ちで、価格が高い時も安い時も一定額を積み立てていくと日々の値動きはあまり気にしなくて済むでしょう。

繰り返しになりますが、投資を始める前にまずはゴールを決めることが大切です。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。