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車の維持費が家計の負担に…貯金するための見直しポイントは?

うちの家計簿 世継 祐子

車の維持費が家計の負担に…貯金するための見直しポイントは?

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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は33歳独身女性、会社員Sさんの家計簿です。貯金が貯まらないとのご相談ですが、家計を見直す際は、まず毎月必ずかかる費用である「固定費」に注目してみることが大切です。

33歳独身女性Sさんの相談内容

働いて10年近く経つのに貯金ができません。少し貯まったら年に1回の支払いのお金が必要になるなど、無計画にお金を使ってきたせいだと思うのですが、家計の見直しはどこから手をつけたらいいでしょうか。車のローン返済は1年以内に終わります。

手取り約22万円のSさんの家計簿は…?

収入は手取り22万6000円、今月貯金できた金額が1万円です。収入の約4%を貯金にあてられています。現在の貯金額は15万円です。

車にかかるお金は「購入費用」と「維持費用」

車にかかるお金はまず購入費用があげられますが、その他維持費としてガソリン代、駐車場代、自動車保険料、自動車税、車検費用などがあげられます。購入費用は百万円単位の金額が必要となり、その他の費用も継続した支出が必要となります。

2022年12月の総務省家計調査報告(二人以上世帯)によると自動車関係費用(自動車本体価格、自動車保険料、自動車整備費等)の平均は月額2万3108円、年間で考えると27万7296円の支出となります。車にかかる費用は「購入」にかかる費用のみに目がいきがちですが、購入後もさまざまな維持費がかかり続け、さらに一括で購入できない場合はローンの返済も続きます。

車にかかる費用を「購入」費用だけでなく「維持」費用も加味してトータルでどのくらい必要になるか考えてみましょう。

Sさんの月々の車関連支出は、車のローンと自動車保険料、ガソリン代で計3万7120円。手取りの約16%を占めています。これらの維持にかかる年間費用は44万5440円で、毎年の自動車税を3万6000円(総排気量1500㏄超2000㏄以下)とし、2年に1回の車検費用を仮に10万円とすると、10年間でかかる費用とその合計は以下の通りになります。

・毎年の車費用:3万7120円/月×12カ月×10年=455万4400円
・自動車税:3万6000円/年×10年=36万円
・車検(2年ごとに受けた場合):10万円×5回=50万円
・合計455万4400円+36万円+50万円=541万4400円

さらに10年ごとに車の買い替えをすると考えるとさらに高額な費用が必要となります。

通勤で必要な場合など、車がないと生活が難しいような地域では、マイカーが必要かもしれませんが、車に乗る頻度が少なく、週末だけ利用するといった場合は、カーシェアリングやレンタカーなどのサービスを利用することもおすすめです。

マイカーにかわる交通手段がないか検討も

タクシー
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Sさんは基本的に公共交通機関を利用して通勤されており、週末のドライブやご両親を病院に送迎するときに車を使われていたとのことです。ご両親の病院への送迎はタクシーの利用ができないかなども含めご検討ください。タクシーの利用は贅沢に思われるかもしれませんが、車を所有するさまざまなコストを考えると、有効なお金の使い方の一つとも考えられます。

また運転免許証を返納された高齢者に対して支援サービスが広がってきており、タクシー事業者による料金割引サービスや、自治体による公共交通機関の料金割引サービスなどもあります。お住まいの地域で利用できるサービスがないかなどもあわせてご検討ください。

車関連の費用は節約が難しい固定支出

家計の見直し
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家計の見直しは毎月必ずかかる費用である「固定支出」を見直すことが大切です。家賃、住宅ローンなど住まいに関する費用も一度決めると継続した支払いが必要になりますが、車の支出も維持費も含めると、努力して節約できる金額は大きくなく、購入する際は数百万円の金額になります。

また車はマイホームの購入と違い、一生のうち複数回購入することが多いものです。車の費用は継続してかかる高額な固定支出になることも意識しておきましょう。

車を手放す検討も

Sさんが現在払っている、車関連の毎月の支出3万7120円と貯金1万円を合わせた月4万7120円を貯金に回すことができれば、年間50万円以上貯金できます。10年間継続できれば500万円以上の貯金が可能です。

お金の使い方の優先順位を検討し、マイカーの費用がどの位の順位になるのか、これからどんなことにお金を使っていきたいかも検討し、これからの車との付き合い方を長期的な視点で再度考えてみるのもよいと思います。車を売却することが可能か、売却することで生活にどのような影響があるか具体的にイメージしてご検討ください。

アドバイスを受けたSさん談

就職したら車を買おうと漠然と思っていたため、車を購入し今に至っています。購入したときは車のローンの支払い以外に、自動車保険料や自動車税、車検費用などの支払いがあることは全然わかっていませんでした。今は車に関するさまざまな費用の支払いがストレスになっていたので、思い切って手放すことも検討してみようと思います。ざっくりと車を売却したときの見積もりをとってみたところ、売却金額で残りのローンの金額も完済できそうでした。ローン返済のストレスからも解放されるので、売却する方向で検討していきます。

続けやすい貯蓄額は「手取りの15%」~家計簿診断を終えて

固定支出を減らすことができたら、その金額から強制的に貯蓄することをご検討ください。継続しやすい貯蓄額は「手取りの15%程度」と言われます。Sさんの場合は3万4000円程度となりますので、車を手放した際はまず給与から強制的に貯蓄をし、残った金額で生活するよう考えてみてください。お金と上手に付き合えるようになると、心にゆとりがでてきますよ。