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外貨預金、いま始めるならどの通貨がいい?気になるデメリットも

ふやす 権藤 知弘

外貨預金、いま始めるならどの通貨がいい?気になるデメリットも

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一時1ドル160円を記録するなど、円安が止まりません。このような状況のためか外貨預金への注目度が益々上がってきています。今回は日本の銀行で行う外貨預金のメリットとデメリットをおさらいしていきましょう。

外貨預金とは?

日本で使われている法定通貨は円です。そのため円以外の通貨は外貨であり、外貨を貯めるのが外貨預金です。

外貨預金の基本的な利用方法は以上のようになっています。

外貨預金のメリット

外貨預金が注目を集めているのはなぜでしょうか?ここでは外貨預金のメリットについて整理していきましょう。

1.一般的に日本円よりも利率が高い

金融緩和の影響で、日本円の利率は長らく低水準が続いていました。そのため銀行に預けてもお金は増えないという認識が一般的です。一方、海外の利率は日本と比較すると高めの水準で推移しており、預け入れた通貨ベースでの増え方は日本円よりも優秀なことが多いです。

2024年5月現在の平均的な金利状況

*米ドルの1年定期の利率は一部の銀行で条件を満たした場合に適用

2024年3月にマイナス金利が解除され、その影響で日本円での利率が上昇しました。2024年3月末までは日本円の普通預金の金利は0.001%でしたが、4月以降は20倍の0.020%まで上昇しています。

また預入期間1年の定期預金も0.002%から0.025%へ上昇しています。日本円も金利が上昇してお金が増えやすくなったと言えますが、定期預金などの預入期間が長い商品ではまだまだ外貨預金が有利なケースが目立ちます。

2.為替差益が期待できる

外貨預金は為替差益を期待できることが大きなメリットと言えるでしょう。為替差益は預け入れた時の為替レートよりも、受取時の為替レートが円安になっていると発生します。下記の例で見てみましょう。

上記のケースでは利息を除いても7万円の為替差益が発生しており、外貨預金のメリットが十分に働いたと言えるでしょう。

為替差益は円安のメリットの代表的な例と言えます。

外貨預金のデメリット

デメリット
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一方、外貨預金のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

1.為替差損が発生する可能性がある

さきほどは円安による為替差益を紹介しましたが、一方で円高による為替差損の可能性もあります。下記の例で見てみましょう。

上記のケースでは7万円近くの為替差損が発生しており、残念ながら外貨預金のデメリットを被ったと言えます。このような場合、事情が許せば為替レートが有利になるまで外貨のままで待つということも選択肢になります。

2.両替手数料が必要

「日本円⇒外貨」という流れで外貨預金を利用すると、両替手数料が発生します。また外貨預金を日本円で受け取る場合も同様です。両替手数料は銀行や通貨によって異なりますが、米ドルを例に取ると、「日本円→ドル」、「ドル→日本円」という両替を店頭で行うようなケースでは、両替をするごとに1ドルにつき1円の手数料を採用している金融機関が多いようです。

3.預金保険制度の対象外

預入先の銀行が破綻した場合、円預金は1000万円までの元本とその利息が預金保険制度で守られます。一方、外貨預金は預金保険制度の対象外となっているので、元本保証はありません。

両替手数料が必要、預金保険制度の対象外といった外貨預金特有のデメリットもあります。

預金外貨の選び方

金融機関によって取り扱っている通貨が異なりますが、都市銀行などで取り扱われている代表的な通貨として以下の6つが挙げられます。

  • 米ドル
  • イギリスポンド
  • スイスフラン
  • ユーロ
  • オーストラリアドル
  • ニュージーランドドル

なお銀行によっては中国元や、ブラジルレアルなども取り扱いしています。

外貨預金を始めるのにどこの通貨が良いかというのは難しいところですが、基軸通貨である米ドルで外貨預金をスタートさせている人が多いようです。また米ドル以外ではユーロや、オーストラリアドルも人気があります。

日本円にも言えることですが、「金利が低い」=「発行国への信用度が高い」ということでもあり、一方で「金利が高い」=「発行国への信用度が低い」というような側面もあります。このようなことを信用リスクやカントリーリスクと呼び、投資の際に考えなければならないリスクの一つになっています。都市銀行が取り扱っている通貨を発行している国は信用リスクが低い国や通貨ですが、ゼロではないことを忘れないようにしましょう。

外貨預金の金利比較

米ドルやユーロ・豪ドルを利用した外貨預金の金利を比較してみましょう。
※2024年5月現在

米ドル

ユーロ

豪ドル

外貨預金と一口に言っても金融機関や通貨によって金利が異なります。また預入金額や金融機関によるキャンペーンなどで金利が優遇されていることもあります。どの金融機関や通貨を選ぶかは、よく調べた方が良さそうです。

おすすめの外貨預金の活用法、ポートフォリオは?

資産運用のポートフォリオ
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為替の変動が楽しみであり心配でもある外貨預金ですが、「金融資産の組み合わせ」=「ポートフォリオ」の中でどれくらいを占めるのが適当でしょうか?

個人差もありますが、金融資産全体の「4分の1程度」を海外資産で持つというのはいかがでしょうか?海外資産には外貨預金だけではなく、海外の株式や債券に投資している投資信託なども含みます。

日本国内で生活をしていれば、金融資産は日本円が中心になっていると思います。そこに外貨の資産を組み合わせますが、為替リスクを考えるといたずらに比率を高くするのは危険でしょう。また資産価値がほぼ変動しない現金と、投資信託や外貨預金などの資産価値が上下するものの割合は「5対5」ぐらいにしておくと良いと考えます。

ざっくりとした割合ですが、仮に100万円の金融資産があれば、下記のようなイメージです。

  • 現金50万円
  • 日本株式に連動する投資信託を20万円
  • 海外の株式に連動する投資信託を20万円
  • 外貨預金が10万円

また一部の銀行では毎月1万円を海外通貨で積み立てるといったサービスを取り入れており、時間を分散して定額を積み立てることで為替変動のリスクを軽減する効果が期待できる商品もあります。

まとめ

2024年5月上旬の為替レートは、1ドル155~160円程度で推移しています。2023年4月が133円前後でしたので、1年間で1ドルが30円近く円安になりました。

今後の為替レートがどのように変動するかの予測はつきません。5年後、10年後の為替レートは1ドル200円の可能性もあれば、1ドル120円の可能性もあります。予測ができない為替変動に対するリスクヘッジとして、外貨預金を取り入れることは大いにありですが、余裕資金の大部分を外貨預金にするといったことは避けた方が良いでしょう。

また金融機関によって金利や取り扱い通貨、最低金額などが定められているので、よく比較してからスタートしましょう。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。