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円安の今、「外貨預金」を持っておくべき?メリットと注意点を解説

ふやす 中村 賢司

円安の今、「外貨預金」を持っておくべき?メリットと注意点を解説

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円安や海外の利上げを背景に、外貨預金に注目が集まっています。

外貨預金のメリットは、円預金に比べて金利が高いことや、預け入れた時よりも円安になった場合の為替益があります。いまの時代、外貨を持っておくことにどういうメリットがあるのか、その方法として外貨預金はどのような効果があるのかを解説します。

また、他の外貨建て金融商品と比較しながら外貨預金のメリットやデメリット、その活用法についても紹介していきますので、外貨預金に興味のある方はぜひ最後までお読みください。

いま外貨を持つメリット

外貨と聞くと一番に思いつく通貨はアメリカドルではないでしょうか。日々のニュースでも「本日の為替レートは1ドル○○円です」という言葉を皆さんも聞いたことがあるでしょう。

外貨にはこのアメリカドル以外にも、ユーロやオーストラリアドル、イギリスのポンドやスイスのフラン、香港ドル、中国元、南アフリカランドなど、さまざまな通貨があります。

それぞれの通貨は日々世界中で取引されています。その中でも金利の高い通貨は、その国や地域の預金や債券などの金利も高いため、世界の投資マネーは金利が高い通貨を求めて流れていきます。

つまり、金利差が生じることで、金利の低い国の通貨が売られ、金利の高い通貨が買われるのです。日本は金融緩和により、ゼロ金利を継続しています。その一方、日本以外の国の中には利上げを行っている国もあります。それにより、金利の低い円が売られ、金利の高い外貨が買われます。売られた通貨の価値は下がり、買われた通貨の価値が上がる。まさに今の円安はこのような状況といえるでしょう。

円安になると、輸入品が高くなります。食料やエネルギーの大半を輸入に頼っている日本は物価高となり、日常生活にも悪影響が出てきます。そんな時、保有している外貨を一部売却することで、この物価高に対抗することができるのです。

外貨を持つ一番のメリットは通貨分散によるリスクヘッジです。その中でも商品内容が分かりやすく、初心者でも始めやすいのが外貨預金です。

外貨預金の良さとは

円とドルの比較 ドル硬貨を選ぶ手
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外貨預金には、日本国内の銀行と同様に普通預金と定期預金があります。普通預金はいつでも引き出すことができる一方、定期預金は半年や1年、3年といった満期の期間が決まっています。一般的には、普通預金より定期預金の金利の方が高く設定されています。預け入れる金額や満期の期間にもよりますが、最近では0.5%~2%程度に設定している銀行がほとんどです。

円預金の金利は0.001~0.2%ですから、この金利の高さが魅力となり、あるネット銀行では外貨預金の預け入れ額が半年前よりも8割増えたところもあるそうです。それほど外貨預金に注目が集まっているのですね。

その他にも外貨預金のメリットは、為替益を期待できることにもあります。2022年1月時点での米ドル相場は1ドル110円台でしたが、2022年9月時点では140円台と約25%も円安となりました。最近の為替相場が円安傾向にあることから、今年の1月に外貨預金を始めていれば、その預金は円ベースで約25%も増えたことになります。

この為替益を狙うのであれば、外貨預金の他にも株式や債券、投資信託、保険などの金融商品もあります。それぞれの窓口と商品の特徴は下記のとおりです。

外貨預金以外の金融商品は、ある程度の知識が必要となる一方で、外貨預金の金利以上に増える楽しみもあります。しかしリスクがそれなりに高く、金融機関の手数料も高いので、投資初心者にはあまり向いていないといえます。そこで初めて外貨に投資する時は、外貨預金から始めると良いでしょう。外貨預金の良いところは他の金融商品よりも商品内容が分かりやすく、気軽に始めやすい点にもあります。

他にも、旅行や仕事で海外へ頻繁に行かれる方は、外貨預金をそのまま海外で使えるというメリットもあります。銀行のサービスにもよりますが、日本で使っているキャッシュカードで、海外のATMから現地通貨を引き出すことも可能です。わざわざ空港などで両替する必要がないので、円高の時に外貨預金へ預け入れておけば、よりお得かもしれません。

外貨預金のデメリット

RISK
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為替リスク

外貨預金のデメリットは、為替リスクです。預け入れた時期にもよりますが、今は円安傾向なので、外貨をお持ちの方の資産は円に換算すると増えている人の方が多いでしょう。しかし為替が逆に円高になった場合、その資産価値は減少することになります。

例えば、1ドル100円で預け入れた外貨預金が円安で1ドル110円になると、為替益は10%もあります。しかし1ドル90円と円高になった場合は為替損となり、資産が10%減少したことになります。この為替変動により資産価値が下がることが一番大きなデメリットといえるでしょう。

税務申告

また増えすぎた時のデメリットもあります。それは税務申告です。外貨預金の金利は、利子所得として取り扱われ、国内の銀行預金同様、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。しかし、為替益が発生した場合は雑所得となり、確定申告が必要となるケースも出てきます。

ただし、年収2000万円以下の会社員や公務員の方で、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。年間所得の合計が48万円以下(基礎控除の範囲内)の自営業やフリーランス、無職の方の場合も同様に申告不要となります。

為替手数料

他にも為替手数料というものがあります。為替手数料は、一般的に日本の円をドルやユーロなどの外貨に両替する場合にかかります。ネット銀行やネットバンキングの方が為替手数料は比較的低めで、1通貨単位1銭~50銭ほどに設定されています。しかし金融機関によっては、窓口で両替すると1通貨単位1~3円もかかる場合があります。この為替手数料は、円から外貨、外貨から円に両替する時にかかるので、外貨預金を始める際は手数料の低い金融機関を選ぶことも大切です。

為替手数料が1通貨1円の場合でもう少し詳しく説明します。

このような為替レートで、1万ドルの外貨預金をする場合、日本円で101万円必要となります。そのまま為替レートが変わらずに、上記レートで預け入れた1万ドルを日本円に戻す場合、99万円となるので、2万円損したことになります。これが為替手数料です。

もちろん、為替レートが円安となりTTMが140円(TTB:139円)となると、円ベースの価値が139万円と大きく上がります。外貨に預けた通貨をそのまま海外で使う場合は引き出すレート(TTB)を気にしなくても良いのですが、投資した外貨をいずれ円に両替する場合は、往復の手数料まで考えておいたほうがよいでしょう。

ペイオフの対象外となる

外貨預金は日本国内の預金と違い、預金保険制度(ペイオフ)の対象外になります。日本国内に本店がある銀行が破綻した場合は預金保険制度の対象となり、元本1000万円とその利息が保護されますが、外貨預金はこの預金保険制度の対象外となります。

外貨預金についてその他注意しておきたいことは

スマホ画面の注意マーク
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日常生活で使う資金や使用用途が明確な資金は、外貨預金に預けない方がいいでしょう。増える可能性もありますが、いざ使おうと思った時に元本割れしている危険性もあります。

また、外貨預金に預け入れる際は、複数の通貨に分けてリスクを軽減するのも良いでしょう。始めやすい通貨はアメリカドルですが、その他の通貨も持っておくことで、よりリスク分散できます。

そして外貨預金に預け入れる際は、時間を分散して預け入れると、さらにリスクを軽減することができます。毎月一定額で外貨を買い付ければ、iDeCoやつみたてNISAなどで投資信託を毎月購入するドルコスト平均法と同じ効果があります。そうすることで、外貨の購入単価を平準化することができるので、より為替益を期待することができます。

預金以外にも活用できること

預金と聞くと一時的に預けるイメージが強いですが、今までみてきた外貨預金は資産運用のひとつとして有効です。資産運用の目的のひとつにインフレ対策があります。インフレ対策とは、今所有している資産の価値を目減りさせないことです。

昨今の円安により、円の価値は外貨と比較すると下がっています。輸入品は高くなり、日々の買い物にも影響が出ています。こんなとき外貨預金を持っていれば、円の価値が下がっても保有している外貨預金の価値は円ベースで上がっているので、外貨を円に両替することで国内の物価高に対抗することが可能です。

よって、外貨預金は預金という位置づけよりは、皆さんの資産防衛という意味で有効な手段といえます。前項で紹介したように毎月一定額を複数の通貨で積み立てることで、長期的な資産防衛に繋がるでしょう。

まとめ

今回は外貨預金のメリットやデメリット、外貨預金の活用方法などについて解説しました。特に以下の点について理解を深めていただければと思います。

外貨預金は皆さんが普段使われているほとんどの銀行で取り扱われています。しかし金融機関によって、金利や為替手数料が異なりますので、始める際は金融機関選びも大切です。

少しでも金利が高くて為替手数料が低いところで始める方が有利です。私たちが国内で生活するうえでは円しか使わないため外貨は必要ないと思われている方も、将来的に円の価値が下がらないとも限りませんので、資産運用の観点からも外貨預金を始めてみてはいかがでしょうか。

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

外貨預金についてのQ&A

Q.円安で物価が高くなり、家計を預かる主婦には買い物が辛いです。何か対策はありますか?

A.物価上昇に備えるためにも外貨預金は有効です。今後さらに円安になった時、円の資産は目減りしてしまいます。将来のインフレに備えて、今からでも少しずつ外貨預金を始めてみてはいかがでしょうか。

Q.円高局面になることを考えると、外貨預金は不利ではないでしょうか?

A.いつ円高円安になるかは誰にも分かりません。円高局面が続けば外貨預金はデメリットが大きいですが、資産を分散させるという意味で、外貨預金には多くのメリットがあります。資産をアメリカドルのみでなく、ユーロやオーストラリアドル、カナダドル、ポンドなどに分散するのもリスクヘッジとして有効です。