お金

NISAと長く付き合うために初心者がやっておきたい2つの仕掛け

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

NISAと長く付き合うために初心者がやっておきたい2つの仕掛け

8月以降の相場の急変動でびっくりした投資初心者いませんか

国内の株式市場は2024年は大激変の年です。年初来おおむね一貫して上昇を続け、バブル後最高値を突き抜けたかと思えば、1日あたりで史上1位と3位の下落幅を記録するような急降下の一週間もありました。このまま昨年以前の水準に下がるかと思えば、史上1位の上昇幅で回復を見せるような勢いもみせていたりします。

2024年は初めてNISAで投資をした人もいたと思いますが、上昇の時期は「どんどん値上がりする!」と喜んでいたでしょうが、「こんなに一気に下がることもあるの?」とびっくりしたかもしれません。

たった2日で17.5%も下がればびっくりするのは当然です。このままずっと下がってしまったらどうなるかと心配した人もいるでしょう。ネットでは有名人が全財産のほとんどを無くしてしまった、なんてニュースもあったりしました(ただし、信用取引など極めて高いリスクを取っていたとみられます)。

ところが、下がる一方ではなく急落後の反発もありました。こちらも史上1位の上昇幅となって、値下がり分の半値は一週間もせずに回復するなど、さながらジェットコースターのような乱高下です。

本記事掲載時点ではどちらに値動きしているか分かりませんが、初心者ほどびっくりする1カ月だったと思います。

投資において大事な経験のひとつ「下がったあと、戻ってプラスになった!」

投資においては「儲かった経験」と「(ちょっとでもいいので)損をした経験」を積んでおくことが大切です。やっぱり儲かって終わる経験なしに投資の魅力はありません。まずは儲かった経験が大事です。

しかし、うまくいかなかった経験も必要です。どんなプロでも百戦百勝ということはありませんし、ビギナーズラックで儲けた個人は現実の厳しさとして値下がりの怖さも知る必要があります(できれば、金額としては小さい範囲で損を留めておきたいところです)。

そして、もうひとつ大切なのは「一時は値下がりしたけれど、最終的にはプラスに戻った」という経験です。リスクのある投資においては値動きは上がったり下がったりするものですが、一時的には値下がりしたものの(含み損が生じている状態という)、まだそこでは売らずに持ち続け、株価等が回復しプラスに転じるような経験をできると投資は怖いものではなくなってきます。

あなたが8月に焦って売らなかったとすれば、まさに「下がって、戻って、プラスになる」を実経験できた月になったかもしれません。

NISAは「いつでも売れる」が焦って売らなくてもよい

NISAは、制度的には「長く持つ」ことに向いている仕組みです。NISAは年単位での投資上限が設定されており、かつ累計での投資上限が設定されています。積立投資を前提とした定期購入(つみたて投資枠)は年120万円、好きなタイミングで購入できる枠(成長投資枠)は年240万円まであります。

年間投資枠は購入額だけをカウントし、同一年内に売却したとしても同一年に購入枠が復活することはありません。仮に成長投資枠で1月に240万円買った人が、8月に200万円に値下がりして怖くて売ってしまった場合、枠を使い切ってしまったとみなされ、成長投資枠で年内に買うことはもうできません。

投資全体の上限は1800万円に設定されています(購入時の価格で判断)。こちらはほとんどの人は上限を気にする必要はないでしょう(最短でも上限に達するまで5年かかる)。仮に上限に達したあとに売ったとしたら、余った枠は年に一度チェックされ、翌年にようやく買える仕組みとなっています。

年間の投資枠、投資総枠いずれの面でも、何度も売ったり買ったりするために作られている仕組みではありません。基本的に長い目でみて投資をするための仕組みというわけです。

そう考えてみれば、NISAで「今日明日の値下がりで焦って売る」というのは考えない方がいいと思います。

NISAの投資を長続きできるような「仕掛け」と「長期目線」を持とう

とはいうものの、「こんなに値下がり、値上がりが激しいとは思いませんでした…」とびっくりして、投資のあり方をきちんと考えたい若い人達に向けて、いくつかヒントを紹介したいと思います。

まずは今回、相場の急変動を自分のお金を投資した状態で実体験できたことを、貴重な経験と考えてみてください。そして、これからも投資を続けられるようにするため、例えば2つの仕掛けを考えてみてはどうでしょうか。

■仕掛け1:高額入金しすぎない
今回びっくりしすぎた人の多くは、ありうる値下がりの可能性を過小評価していたのかもしれません。株価水準が20~40%下がることは10年に一度位はありえます(その後回復しますが)。

初心者が高額入金するとそうした下落時に怖くて売りたくなってしまいます。例えば「毎月1万円程度の積立投資」のような形で一時的な値下がりで怖がらなくて済むような投資金額を意識してみましょう。

経験を積むうちに徐々に下げ相場にも慣れてきますので、「いきなり100万円入金」のようなことはせず少額で始めましょう。

■仕掛け2:少額で継続を意識(積立投資)
もうひとつの仕掛けは「継続」です。積立投資がいいところは、目の前で上がったり下がったりしても定期的かつ自動的に購入をすることで、将来的な値上がり時に大きな資金準備を実現できることです。

株価が大きく下がった時、怖くて売るだけではなく「次回の積立はストップ」としたくなりますが、ここは自動的に続けるほうが結果としてうまくいくことが多くなります。ぜひ、積立投資の設定はそのままにしておきましょう。

2つの仕掛けができれば、少々の値下がりでも焦らずに投資を続けることができるはずです。そして最後に、どんなに短くても5年以上の投資期間を意識するような目線で考えてみましょう。

ライフプラン3.0世代やZ世代の人達は、まだまだ何十年も投資をする時間があります。目の前の値動きに焦らず続けられれば、きっとNISAの資産は大きく成長し、未来のあなたの力となってくれるはずです。