慣れたら挑戦!初心者向けNISA「成長投資枠」との使い分け
NISAで投資を始めた投資初心者は、成長投資枠では積立ができないと勘違いしているケースがありますが、実はそうではありません。そもそも「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の違いは何でしょうか?ここでは、成長投資枠の活用方法やつみたて投資枠との使い分けについて見ていきましょう。
NISAの成長投資枠とは
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠があります。つみたて投資枠はその名の通り積立投資のみ年間120万円まで可能です。一方、成長投資枠は年間240万円まで投資でき、スポット投資だけでなく積立投資もできます。両方の枠を使うと年間360万円の投資ができるわけです。
では、枠の違いは何でしょうか?どちらも長期的な資産形成ができることを意識された制度設計ではあります。簡潔に違いを言うなら、つみたて投資枠は運用管理費用の水準など厳しい要件を満たした初心者が選びやすい投資信託のみが対象。成長投資枠は、つみたて投資枠より基準は緩やかですがデリバティブ取引は対象外などと一定の要件を満たした商品が対象です。国内外の株式、投資信託、ETF、REITと幅広い商品に投資ができるようになっています。
成長投資枠の活用の仕方・選ぶ時の考え方は
成長投資枠は個別株に投資ができることを魅力に感じる方が多いようです。気になる銘柄を買って、企業の成長や株の値上がり益を期待します。また、配当や株主優待を楽しむために株式を保有するケースもあるでしょう。
成長投資枠は「積立」と「スポット投資」の両方が可能なため、例えば積立をしながら投資信託の価格が大きく下がった時にスポットで購入する、というように自分のタイミングで投資をすることができます。
また成長投資枠は、つみたて投資枠に比べて対象ファンドが多く、インデックスだけでなくアクティブファンドも豊富です。成長投資枠は、2024年9月20日年現在で1971本、つみたて投資枠は同年9月17日時点で300本ですから違いは歴然です。特徴的なファンドに幅広く投資してみたい時は、成長投資枠の中から探してみましょう。
(参考)投資信託協会「NISA成長投資枠の対象商品」/金融庁「つみたて投資枠対象商品」
つみたて投資枠・成長投資枠の上手な使い分け
NISAは前述のようにつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円と年間投資枠が決められていますが、それだけではありません。さらに投資可能な総枠として1800万円の上限があることは押さえておきたいところです。
この1800万円の総枠を、つみたて投資枠だけで全て埋めることは可能です。しかし成長投資枠だけで埋めることはできず、1200万円までしか使えません。つまり、成長投資枠を使えない残り600万円分の枠はつみたて投資枠を利用することになります。
また、つみたて投資枠は購入時手数料がかからない制度設計です。そういったことから、NISAでの投資は賢く枠を使いこなす必要があります。では、どのように枠を活用したら良いでしょうか。
➀つみたて投資枠の対象商品である投資信託の積立をする場合は、つみたて投資枠を優先する
仮に、毎月20万円を積み立てたいなら、つみたて投資枠の年間投資枠120万円をフル活用して上限である月10万円の積立をし、残りの10万円を成長投資枠に振り分けます。そうすることによって、成長投資枠での株式の購入やスポット投資を楽しむ枠を残しておくことができます。
②つみたて投資枠で購入できない投資信託のスポット購入や幅広い投資信託の中から積立投資をしたい場合は成長投資枠を利用する
成長投資枠では、アクティブ運用など幅広い投資信託の中から投資信託を選ぶことができます。
➂つみたて投資枠で積立てる投資信託を、相場下落時等に追加購入したい時は、成長投資枠を利用する
相場が大きく下がった時に追加でスポット購入すると、その投資信託全体の平均購入単価が下がります。
④個別株の購入をしたい時は、成長投資枠を利用する
なお、つみたて投資枠で購入できるファンドは成長投資枠でも購入できるのが通常ですが、金融機関によってはつみたて投資枠での購入しか取り扱いをしていない場合もあるため確認が必要です。
NISAが新しくなり、老後資金や教育資金など将来資金の準備方法に選択肢が増えました。賢く楽しく投資ライフを送りましょう。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします