ストレス時代の幸せの見つけ方、秘訣はいろんな○○を見つけるコト
小さな「趣味未満」が幸せのカギ?
ちょっと古い映画ですが「アメリ」というフランス映画をご存じでしょうか。どちらかといえばコミュ障な女の子が、少しずつ心を開いて社会との接点をみつけていく映画ですが、ファッショナブルな映像と音楽、主人公の女優さんのキュートな演技が強く印象的な作品です。
その中で主人公の楽しみが紹介されていて、「クレームブリュレを食べる時、焦げた表面をスプーンでカチンと割ること」「豆を買いに行く時、さくっと指を突っ込み感触を楽しむこと」「運河の橋から石を投げて水切りを楽しむこと」というエピソードがあります。どれもたいしたことがない行動ですが、小さな喜びをみつける主人公の特徴をよく表しているエピソードです。
こういう小さな喜びについて、小説家の村上春樹さんは「小確喜(小さいけれど確かな幸せ)」と呼んでいます。こうした小さな喜び、小さな趣味のようなものは、私達の人生に意味をもたらしてくれるのかもしれません。
いきなりこんな話をするのは、Hakuhodo DY Matrix「100年生活者研究所」のレポートに面白いデータをみつけたからです。幸福度の高い人の特性を調査してみたところ、「何か趣味がはっきりとある人」もたくさんいるのですが、実は「はっきりとした趣味を持っていない人」が幸福度が高い人の半分以上、56%を占めていたというのです。
そして幸福度の高い人の86%は、「趣味とまでは言えないが、日々の生活の中で実は楽しくて続けていることや習慣がある」と回答しました。
同レポートではこれを「隠れ趣味」と呼んでいます。
小さな趣味を持っている人は幸せになれる
なんとなく、幸福度の高い人はしっかりとした趣味や生きがいを持っていて、アクティブに行動し、またお金も使っているような印象があります。
推し活でしょっちゅうライブに出かける人は楽しそうですが、「出費がきついわー」とこぼしていたりします(といいつつ表情は楽しそうだったりする)。
しかし誰でもこうしたお金がかかる趣味を持てるわけではありません。また、大きな趣味は出会いが必要で、なかなかご縁がない、という人もいます。
しかし小さな趣味、それこそ「趣味未満」というようなものが、私たちの幸せを案外支えているのかもしれません。
前述のレポートでは「ポイ活」が楽しい、「好きな歌手の歌をきく」のが小さな幸せの例として紹介されています。おもしろいところでは「書類を整理・分類して、部屋をすっきりさせる」というのもあったそうです。
ちなみにこの「隠れ趣味」、たくさん持っている人のほうが幸福度は高いそうです。前述の調査によれば、隠れ趣味ゼロの人の幸福度が5.58ポイントであったところ、隠れ趣味が1~3個ある人は6.57ポイントとアップ、4~6個ある人はなんと7.05ポイントまでアップしたそう。
小さな趣味のいいところは、お金がかからないこと
持続的な幸せ、ウェルビーイングを高めることができれば私達の日々はもっと豊かで幸福感のあるものになります。しかしマネープランについてきちんと考える時、上手にお金を使って幸せを手に入れることが重要です。
未来のためにお金を貯めることは大切ですが、ただひたすらガマンして貯金していたら、毎日が無味乾燥なものになってしまいます。これは目の前の幸福感を捨てていることになります。
かといって、趣味はたくさんあるけれど、目の前の喜びだけにお金を無制限に使い続けて、借金転落、というのも困ります。推し活で何十万円も払ってしまう人は、現在の幸福感(しかもそれは一時的かもしれない)を手に入れると同時に未来のお金の不安も得ているわけです。
そう考えると、小さな「趣味未満」、あるいは「小確幸」を持っている人は幸せかもしれません。あまりお金をかけずに幸せを手に入れている人ともいえますし、小さな幸せは日常生活に繋っていることも多いので繰り返すことができます。持続的なわけです。
あなたの生活がちょっとつまらないものとなっているのなら、「ちょっとの予算で実現できる小さな幸せ、小さな趣味」をみつけてみてはどうでしょうか。
意識的に小さな趣味を持ってみよう
「小さな趣味なんてないよ」という人が多いと思いますが、誰でも日常生活の小さなパーツとして、そういう喜びがあるはずです。例えば、
「自販機やコンビニで新作ジュースを見かけたら必ず試して、SNSに投稿する」という人も小さな趣味を持っているといえます。
「何カ月に1度くらい、天気の良い週末に徹底的に部屋掃除をしてスッキリするのが楽しみ」という人もいます。
「通勤途中にネコに挨拶する」とか「ベビーカーの赤ちゃんを見つけたら、手を振ってあげる」のようなささやかな楽しみでもいいのです。何か、ひとつくらいあるのではないでしょうか。
私は「エレベーターに乗ったらボタンの前に立って開閉ボタンを押す」のが好きで、一階についた時は最後に降りるという「小さな趣味」があります。機械をいじるシンプルな楽しみが味わえますし、先に他の人を降ろすと「ありがとうございます」なんて言ってもらえることもあって気持ちがいいものです。
お金をかけなくても幸せになれる、小さな趣味や習慣をぜひみつけてみてください。