「持株会」「財形貯蓄」とは?会社の制度で賢く資産形成しよう

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社会人になると「どれくらい貯蓄に回せばいいのか」「手取りの何割で生活するのが理想なのか」など、お金について向き合う機会が増えてきます。貯蓄ができないという人も少なくありませんが、最低限、将来に向けて一定の備えは蓄えておきたいところです。
会社員の場合は勤め先の制度を上手に活用することで、効率よくお金を貯められることもあります。今回は「従業員持株会(持株会)」や「財形貯蓄」を中心に、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。これらを把握した上で上手に活用してください。
会社の制度を使う最大のメリットは「先取り」
資産形成を上手に行うためのコツは「先取り貯蓄・先取り投資」です。「収入-支出」で余った部分を貯蓄に回そうとしても、なかなか貯めることができません。
そのため、最初から「収入-貯蓄」というように一定額は貯蓄することを決めて、残った金額で生活をするという意識が大切です。そういう点で会社の制度を活用すれば、給与から自動的に天引きで積み立てられるため、意識せずに資産が貯まっていくことになります。
持株会と奨励金の仕組みとは

持株会とは、従業員が勤め先の会社の株式を定期的に購入できる制度です。上場会社の多くが導入しており、「従業員持株会」という名称で運用されています。
この制度のメリットは、企業によっては5~10%程度、積立額に「奨励金」を上乗せしてくれるケースがあることです。例えば奨励金が5%で毎月1万円に設定すれば500円が上乗せされ、1万500円が株式の買い付けに回ります。単純に5%の利回りと考えると魅力的ですよね。
また株式は毎月一定額購入していくため、ドルコスト平均法が機能しやすくなります。株価が安い時にはたくさん株数を買い付けることができ、株価が高い時には少ししか買うことができないため、平均単価が下がりやすく利益が出やすいというのもメリットです。
デメリットとしては売りたい時に売れない可能性があるという点です。特に経営企画や経理部といった会社の内部情報を知る立場にある人は売却することが制限されます。基本的に退職まで売却せずに継続するというぐらいの気持ちで行ってください。
非上場会社でも持株会を導入しているケースもありますが、非上場株式は市場で売買できません。将来上場することが視野に入っている場合もありますが、毎月購入した株式をどのように買い取ってくれるのかなど、会社の説明をしっかりと聞いた上で行ってください。
財形貯蓄とは?目的別に選べる3つのタイプ
財形貯蓄とは会社を通して給与天引き積立を行う制度です。銀行の定期預金や保険商品などが該当しますが、元本保証タイプの商品が基本となります。従業員が金額を設定でき、月々1000円からでも始められる点が魅力です。財形貯蓄には以下の3つのタイプがあります。
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、2つ合わせて、原則元利合計550万円まで利子等にかかる税金が非課税となります。ただし、住宅の購入や将来の年金といった目的以外で払い出す場合は課税されるため注意が必要です。
企業型DCなどの資産形成制度も

最近は、会社の退職金制度として「企業型確定拠出年金(DC)」を導入している会社が増えています。確定拠出年金制度の1つ「選択制確定拠出年金(選択制DC)」は従業員が掛金を拠出するかどうか、また拠出する場合はいくら拠出するかということを決めることができます。
拠出額が大きいほど、社会保険料や税金の負担が軽減されるため魅力的な制度ですが、その分毎月の給与が減ることになります。今後の住宅、教育費といったライフプランを意識しながら制度自体を活用するかどうか、いくら拠出するかといったことをじっくり検討することが求められます。
その他、大手企業や公務員などは福利厚生の一環で一般的な金融商品よりも利回りが高い積立商品が用意されている場合もあります。今一度、このような制度に詳しい総務部の担当者等に確認してみてください。
FPが教える持株会と賢く付き合うためのポイント
持株会など会社の制度を活用することは、従業員にとって大きなメリットとなりますが、当然デメリットや注意点もあります。特に今は転職する人も多いため、早期で転職する際、各種制度がどのような扱いになるのか、事前に確認しておきましょう。
また持株会については奨励金という魅力もあり、かなりの金額を積み立てている人もいます。会社で頑張って業績が良くなり、株価が上がるという好循環も期待できますが、当然その逆も考えておく必要があります。業績が悪くなり株価が大きく低迷、そして最悪、倒産ともなれば働く場所と大事な資産、両方を失うことになります。
勤め先の会社には当然、特別な思いや愛着もあると思いますが、冷静に客観的に先を見据え、各種制度と無理のない範囲で上手に付き合うようにしてください。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。