春、住まいを新しくする人も多いでしょう。賃貸なら、できるだけ安く良い物件に住みたいですよね。
今回は、良質な住宅を安い家賃で借りられる公的賃貸住宅制度、「特定優良賃貸住宅（特優賃）」を紹介します。

特定優良賃貸住宅（特優賃）とは～福岡市の場合～

 「特優賃（とくゆうちん）」とは、「特定優良賃貸住宅」の略称。国や地方自治体の制度に基づき、主に中堅所得者層のファミリーに優良な住宅を供給する目的で作られた賃貸住宅のことです。法律で定められた建築基準をクリアした優良な物件で、場合によってはこれらをとてもお得に借りられることがあります。家を探している方はぜひチェックしてみてください。

特優賃にはいくつかの種類がありますが、現在福岡市では、福岡市住宅供給公社が民間の賃貸住宅を20年間借り上げ管理している「借上型特優賃」と、公社が建設し提供している「建設型特優賃」の二種類があります。

「借上型」の方は、所得に応じて国や福岡市から一定期間家賃の一部が補助される魅力的な制度。また「建築型」の方は、もともとの家賃が一般的な物件よりも低い金額に設定されているという、うれしい仕組みです。

ただし入居には、9つある要件をすべて満たす必要が。具体的には、「自ら居住するため住宅を必要とする人（セカンドハウスは不可）」や「同居、または同居しようとする親族がある人」など実際に住む人に関する決まりや、「入居しようとする家族全員の合計所得が所得基準の範囲内であり、入居者負担額・敷金等の支払いが出来ること」など所得に関する縛りなどがあります。（一部の「高齢者向け優良賃貸住宅」はこの限りではありません）

こんなにスゴイ！メリットいっぱいの特優賃

特優賃の物件は、家賃がお得なだけではなく、他にもさまざまなメリットがあります。

・礼金、仲介手数料、更新料が不要・・・敷金だけなので、初期費用が抑えられます。

・保証人不要・・・保証会社と家賃保証契約を締結します。

・部屋がゆったり・・・広さは50平米以上、天井の高さは2.3ｍ以上、収納スペースは専用面積の9％以上と法律で定められているので、すべてにゆったりした仕様です。福岡市の場合も、主に中心部の便利な場所にありながら、3LDKで70平米前後と余裕の広さです。

・管理が安心・・・各自治体や公社、もしくは認定基準を満たした指定業者が管理。国土交通省のガイドラインに沿ってマンションの管理を行うので、メンテナンスや精算時も安心です。

・家賃補助の上乗せシステム・・・夫婦ともに40歳以下の新婚カップルや、中学生以下の子どもがいる家庭は、借上型の家賃補助がさらに増える場合もあります。

これらのメリットからみても特優賃は、もし要件に該当する家族の場合、かなり魅力的で見逃せない物件であると言えそうです。（「高齢者向け優良賃貸住宅」は相違あり）

物件情報は、福岡市住宅供給公社のHPで検索できます。ぜひこまめにのぞいてみてください。

※物件情報
 

特優賃のデメリットは？

 もちろんデメリットもいくつかあります。

・入居時期・・・申込から2カ月以内、内覧可能日以降、1カ月以内に入居する必要があります。

・資格審査・・・県警照会→家賃保証会社→福岡市住宅供給公社と審査が厳しく、住民票や所得証明書などが必要。また、毎年申請書類の提出が必要になります。

・期間がある・・・借上型の借上げ期間は20年間。よってその後は家賃補助がなくなります。ただし、借上げ期間が満了しても、継続して入居は可能。家賃は本来の家賃額を基本とし、建物の所有者が決定します。

また、ファミリー向けのため、単身での入居はできませんし（「高齢者向け優良賃貸住宅」は除く）、ペットも飼うことができません。

資格審査の所得の要件については、同じく福岡市住宅供給公社のHPで計算ができるようになっています。世帯構成や収入を入力し、特優賃の所得基準に当てはまるかどうかの確認ができます。

※賃貸住宅(特優賃)世帯月収計算
 

その他にも、20年の借上げ期間満了に近い借上型特優賃物件では、入居要件等を外して、不動産会社が一般の賃貸住宅として募集しているところもあります。お墨付きの優良な建物ですから、ぜひ物件検討リストの上位に入れてみてはいかがでしょう。