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企業型確定拠出年金って退職金と何が違う?メリットや仕組みを解説

そなえる 内山 貴博

企業型確定拠出年金って退職金と何が違う?メリットや仕組みを解説

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2001年から確定拠出年金制度が導入され、利用する企業も増えています。確定拠出年金には企業型と個人型がありますが、企業型確定拠出年金は企業(会社)が掛金を拠出し、老後資金準備を行う制度です。今回は、この企業型確定拠出年金について、従来の企業年金や退職金との違いや仕組み、加入者にとってどのようなメリットがあるのかなどを見ていきます。

1. 企業型確定拠出年金とは

企業型確定拠出年金とは、企業が掛金を拠出し、従業員が自ら年金資産の運用をする制度です。大きな特徴としては、文字通り「拠出する金額(掛金)が確定している」ことです。つまり、「将来いくらもらえるか?」ということは確定していません。毎月、企業が拠出してくれる金額を従業員がどのように運用すべきか決めることになります。

同僚と同じように仕事を頑張って、出世をしても、運用状況によっては同僚よりも退職金が少ないということも十分に考えられます。よって、企業型確定拠出年金においては、一定の資産運用の知識が求められるのです。

iDeCo(個人型の確定拠出年金)やNISAといった制度もありますが、これらは自ら積極的に口座を開設してからはじめることになるため、資産運用の知識を有している人、または興味がある、勉強をしなければと思っている人が多いでしょう。

一方、企業型確定拠出年金は会社側が制度として導入するため、「投資や資産運用は何だか難しそう。自分は関係ない」と思っている人も、それらに向き合わなければならないのです。今、お勤めの会社が企業型確定拠出年金を導入していなくても、これから導入するということも十分に考えられます。ぜひ制度の概要はじめ、基礎的な知識は確認しておいてください。

2. 企業年金(企業型確定拠出年金)は退職金とどう違う? 

疑問に思う人々
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「退職金と企業型確定拠出年金はどう違うのですか?」基本的なことではあるのですが、意外と分かりにくい点です。簡単に捉えますと、「企業型確定拠出年金は退職金制度の1つである」と理解してください。

従来は確定給付型という企業年金制度が退職金制度の中心でした。「確定拠出」と違い「確定給付」は給付金がいくらもらえるか確定しているため、「〇年勤めると、〇万円もらえる。」ということが見込めたのです。

ただ、現在はこの確定給付制度から確定拠出年金制度へ移行するという企業が増えています。確定拠出年金は分割で受け取ることもできるため、退職金というよりも老後の年金という印象を持っている人もいるかもしれません。

さらに、企業によっては確定拠出年金以外の企業年金を併用している場合もあり、やや複雑なケースもありますが、概して、企業型確定拠出年金と退職金はほぼ同じ意味合いであると捉えてもらって構いません。

3. 確定給付と違って運用次第で受取額が増える!

企業型確定拠出年金のメリットは、掛け金は企業が拠出してくれますが、運用方法を自分で選ぶことができるという点です。「確定給付」と違い「確定拠出」は毎月の拠出額が確定しているため、その拠出額をどのように運用するか?という運用方法次第で受取額が大きく変わります。投資対象商品から1つの商品、または複数の商品を選び積み立てをしていくことで、ご自身の運用方針、リスク許容度に応じ自由に運用することができます。

もちろん、運用状況次第では損失が生じる可能性もあり、「自分で運用方法を決めないといけない…」ということで、むしろリスクに目を向けてしまい、デメリットと感じる人もいるでしょう。ただし、リスク商品に長期で少しずつ積み立てていく場合、リスクに応じたリターンが期待できます。よって、メリットと感じてもらうためには、投資の基礎を事前に学習しておいてもらいたいです。

また、ポータビリティー(移管)も企業型確定拠出年金の大きな魅力です。現在は転職する人も増えていますが、会社を辞めた場合、それまで積み立ててきた企業型確定拠出年金の残高を次の会社の企業型確定拠出年金へ移管することができます。

勤務先に企業型確定拠出年金などの受け皿がない場合は個人型の確定拠出年金へ移管し、老後への準備を継続することができます。いうなれば、今の働き方に適した老後準備ができるという点も大きなメリットとなります。

さらには、定期的に見直しをし、Aファンドを売却しBファンドに切り替えるといったことも可能です。通常の投資であればAファンドを売却する際の利益に税金がかかるのですが、企業型確定拠出年金の枠組みの中では非課税となります。受取時の課税も含め税制面でのメリットも見逃せません。

それでは、企業型確定拠出年金はどういう形で受け取るといいのでしょうか。

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