山に登った時、自然の花や風景の写真を上手に撮るコツを教えて!
監修・ライター
山に登ったときに写真を撮るのが趣味です。いつも同じ感じの写真になってしまうのが悩み。この春は、花や山の風景を美しく撮影したい! ネイチャーフォトを撮影する際に気をつけていることやコツは? のぼろ誌面でフォト講座ページを担当している中村真悟さんに聞いてきました。
Q1 花を撮るときのコツは?
A1 前提として、「自分が撮りたいものをできるだけフレームいっぱいに写す」こと。これは、写真をよく見せる最も簡単な方法であり、最も忘れがちなことです。あと一歩寄って撮っておけば…と何度後悔したことか。
次に、花をきれいに撮るコツを四つご紹介します。
まず(1)「一番美しい被写体を選ぶ」。例えば、スミレが10株くらい咲いていたとして、傷や汚れの目立たない一番きれいだな~と思う花を選びましょう。
その際、大事なのが(2)「スッキリした背景を選ぶ」こと。背景とは、被写体の後ろにある森や空などのこと。背景がごちゃごちゃしていると被写体がそれに埋もれてしまいます。大方の人が「あっ、きれい!」と思ったその位置から撮りがち。そうではなく、まず近寄り、いろいろ角度を変えて観察し、背景がスッキリするポジションを選びましょう。ちなみに、被写体と背景の距離が離れているほど、スッキリとした写真になりますよ!
次に(3)「縦と横両方撮る」こと。のぼろ編集部に届く写真の85%は横写真。ダメではないけれど、縦で撮ることでよりよい構図になったり、空に抜けて背景がスッキリしたりなんて場合がけっこうあります。
最後に(4)「向きを考える」こと。花が向いている方向にスペースを作ってみましょう。そして、1枚撮ったら終わりではなく、「背景、縦横、花の向き」を考えてもう2、3枚撮ってみましょう。ちょっとしたことで写真がコロッと変わりますよ。
Q2 風景を撮るときのコツは?
A2 大事なのは、「欲張らない」こと。花も入れて、山も入れて、歩いている人も入れてといった写真を撮ると、後で見たときに結局なにを撮りたかったのか分からない、印象の薄い写真になりがちです。風景写真で大事なのは「引き算」。なるべくシンプルに、自分が撮りたいものを主役に据えて切り取ることが大切です。
次に六つのグラフィック要素の話をしましょう。写真の多くは意図的ではないにしても、これらの要素を含んでいます。
まず(1)「ライン(線)」。すべてのものは線からできています。木も葉も山並みや稜線も川の流れも、直線や曲線などの線でできていますよね。そのラインに着目し、フレームのどこに置くか考えてみましょう。
次に(2)ラインが作る「シェイプ(形)」。不思議なもので、形が見えてくると(3)「フォルム(立体感)」も見えてきます。
砂のざらざらした感じや、木の滑らかな感じ、氷の冷たさなども写真の表現対象になります。これが(4)「テクスチャー(質感)」です。
そして同じものが連続すると(5)「パターン」になる。あとは色合い、つまり(6)「カラー」も大切な要素。この六つが多くの写真に含まれるグラフィック要素です。
併用してもいいし、一つに絞ってもいいですが、こういうグラフィカルな要素に着目すると、今までと違った世界が見えてきますよ。
Q3 ネイチャーフォトを撮るときに大事な心構えは?
A3 写真って、「気づきのドラマ」だと思うんです。ファインダーを覗いて気づくこともあるし、撮った写真を見て後で気づくこともある。そして、「あっ、なんかあそこ光がきれい!」「あの花、茎が曲がってなんか不思議~」「この木、なんか人の顔に見える!」「こんな所に道があるんだ!」といったように「気づき」が大事で、そこがなにより写真のおもしろいところ! なんというか、その気づき一つで世界が変わって見えるんです。
最後に、ネイチャーフォトを撮る際にみなさんに考えてほしいことがあります。例えば、あなたが美しい花に囲まれて写真を撮っているとしましょう。そういうとき、今その環境の中で自分が写真を撮っているという事実、そういう環境があるということに幸せを感じてほしいのです。たぶん、その心がネイチャーフォトを撮るうえで大事なんだと思います。
要は「自然に感謝する」ということになるのかな? 「ありがとう~!」という気持ちを持って撮影してくださいね!
ちょっとしたポイントで写真が変わることが分かりました! 今春、山へ行ったら、ぜひ参考に撮影したいと思います。いい写真が撮れたら、編集部に送りますね~!