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株式投資の税金は高い?初心者でもわかる節税対策・計算方法の手引き

ふやす 権藤 知弘

株式投資の税金は高い?初心者でもわかる節税対策・計算方法の手引き

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目次

監修・ライター

権藤 知弘

ライフプランニング ゆめたまご

権藤 知弘

ファイナンシャル・プランナー

こんにちは、FP(ファイナンシャルプランナー)の権藤知弘です。

経済の動きをダイナミックに感じられる株式投資。最近は、インターネットでも証券口座(※株式や投資信託等を購入するために証券会社に作る口座)の開設ができ、スマートフォンのアプリ一つで、株式の買い付けや売却が可能となり、株式投資が手軽にできるようになりました。株式投資を始めると、毎日のニュースが気になりますよね?

もう一つ、気になるのが税金です。会社員の方ですと所得税や住民税が天引きされて、税金に関する手続きは、年末調整だけという方も多いと思います。でも、株式投資にも税金がかかり確定申告が必要となるケースもあります。今回は投資と切っても切れない税金の節税方法や計算方法、年末の確定申告が必要なケースについて学んでいきましょう。

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1. 株式投資にかかる税金にはどんなものがある?計算方法は?

税金
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上場株式等の取引で生じる収益は、買ったときの価格と売ったときの価格の価格差から生まれる譲渡益(売却益・キャピタルゲイン)と、所有している企業があげた利益の配分である配当金(インカムゲイン)の2つに分けられます。それぞれどんな税金がかかるのかを見ていきましょう。

1-1. 譲渡益課税
株式を売却し、譲渡益が出ると税金を支払わなくてはいけません。利益に対する税金の区分は「申告分離課税」となります。株式の申告分離課税とは、株式の売買で得られた所得を他の所得と合算せずに株式の譲渡益だけで税金を計算する方式です。税率は、所得税と住民税を合わせて20%です。また、現在は東日本大震災からの復興財源を確保するため復興特別所得税がプラスされていますので、実際は利益に対して20.315%が課税されています。

【例1】A株式会社の株式を90万円で購入し100万円で売却すると譲渡益は10万円となります。この10万円に20.315%の税率をかけて納税額が決まります。

1-2. 配当課税
配当金とは企業が出した利益の一部を株主に還元するものです。企業が業績に応じて「1株あたり○○○円の還元をします」といった形で株主へ利益を還元します。この配当金からの所得に対しても税金がかかります。上場株式等の配当所得に対しては20.315%(所得税15.315%・住民税5%)が課税されます。

【例2】1株当たり50円の配当金がある株式を1000株所有していると、得られる配当金は5万円になります。この5万円に20.315%の税率をかけて計算すると納税額が決まります。

1-3. 税金の計算の仕方
これまで見てもらうとお気づきになられたと思います。株式投資では「儲けの2割を税金として支払うんだ」というふうに覚えておいていただければ大丈夫です。

1-4. 確定申告について
前年の1月1日~12月31日までの所得を計算し、納税手続きを行うことを確定申告といいます。会社にお勤めの方は源泉徴収の制度があり、会社からのお給料のみの所得であれば年末調整を行えば一般的には確定申告の必要はありません。ただし、株式投資を行う場合、譲渡所得も配当所得も原則的には確定申告を行う必要があります。

2. 株式投資の税務処理を簡単にしてくれる「特定口座」

株式購入のイメージ
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さて「さぁ株式投資でバッチリ稼ぐぞ!」と意気込んだものの「確定申告」と聞いて、ちょっと困ったな、面倒だなと思っている方も多いかもしれません。大丈夫です、実は確定申告をしないで済むいろいろな方法があります。その代表的なものが「特定口座」です。ここでは「特定口座」について説明します。

2-1. 一般口座と特定口座の違い
実は、証券会社に開設する証券口座(金融商品を売買するための口座)は3種類あります。

・一般口座(確定申告が必要)
・特定口座(源泉徴収あり)
・特定口座(源泉徴収なし)


この3種類の口座で最も大きな違いは、税金の払い方です。

2-2. 特定口座の3つのメリット
年間取引報告書を受け取れる
特定口座の最大のメリットは、銀行や証券会社が年間取引報告書を作成してくれるところにあります。この年間取引報告書には、1年間の投資でどれくらい配当を受け取ったのか?などが記録されています。この記録があるために、税金がいくらなのかが分かりやすくなっています。一般口座の場合はこの年間取引報告書がありませんので、自分で売買記録や受け取った配当などを集約して税金を計算しなければなりません。

さらに、特定口座には「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の2種類から選択できるので、それぞれの特徴を見てみます。

「源泉徴収あり」を選べば確定申告不要に
特定口座で「源泉徴収あり」を選んだ場合、確定申告は不要です。これは「源泉徴収あり」を選んだ時点で、自動的に利益に対して所得税が支払われる仕組みになっているためです。証券会社から年間取引報告書が送られて来ますが、確定申告をしないなら特に必要ありません。また、夫の扶養に入っている主婦の方、親の扶養にされている学生の場合はいくら利益を上げても扶養から外れません。

「源泉徴収なし」を選べば20万円未満の儲けなら申告不
特定口座で「源泉徴収なし」を選択した場合の最大のメリットは、一年の儲けが20万円未満の場合は申告不要=納税なしというところです。「源泉徴収あり」の場合は、利益の額にかかわらず20.315%が課税されますが、「源泉徴収なし」を選択していると年間20万円未満の少額の利益に対しては課税されませんので受取額が多くなります。ただし、利益が20万円をオーバーすると確定申告が必要です。

【例3】年間利益が10万円だった場合
・「源泉徴収あり」→20.315%が課税され、実際の受取額は7万9685円
・「源泉徴収なし」→課税をされないので10万円を全額受け取れる

「源泉徴収あり」では避けられなかった所得税の払い過ぎを防ぐことができるのは大きなメリットです。ただし注意しなければならないポイントとして、所得税と住民税は別物なので、20万円未満でも利益が出たら必ず確定申告が必要です。

確定申告

2-3. 特定口座のデメリット
特定口座を利用すると一番面倒な年間取引報告書を証券会社が作成してくれるメリットがありますが、デメリットとしては以下の点が挙げられます。

「源泉徴収あり」の場合→年間の利益が20万円以下の場合でも所得税を徴収される。また、「譲渡損失の繰越控除制度」を受ける際は確定申告が必要
「源泉徴収なし」の場合→確定申告が原則必要。譲渡益は、配偶者控除や扶養控除等の適用の有無を判定する際の合計所得金額に含まれるので、各種控除額の減少や、控除そのものを受けることができなくなる可能性がある

3. 最強の税金対策!非課税になる「NISA口座」を作ろう

口座
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ここまで税金のお話をしてきましたが、非課税で投資ができる「NISA口座」はご存じでしょうか?
NISAは、平成26年1月に施行された少額投資非課税制度のことです。この非課税制度を最大限活用すれば、しっかり投資・ばっちり節税対策をすることができます。これまで見てきたように通常、株式投資で得た譲渡益には所得税・住民税などを合わせ20.315%の税金が課せられますが、NISA口座を利用して取引すると利益に対して所得税・住民税がかからないといううれしい制度です。

NISAのメリットとしては
・NISA口座内で得られた利益に対して所得税・住民税が非課税
・確定申告不要で面倒くさくない

デメリットとしては
・株の取引で損失が出た場合には、ほかで出た利益と合算して税金を減らす損益通算が使えるが、NISAではこの仕組みが使えない
・特定口座や一般口座では確定申告すればその年に出た損失を3年間繰越して、税金の繰越控除を受けられるがNISA口座は対象外

デメリットもありますが、投資が初めてという方はNISA口座で投資をスタートするのがおすすめです。

4. 特定口座やNISAは「確定申告」でさらなるメリットも

確定申告をする
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特定口座(源泉徴収なし)やNISAなどは年間の取引の計算や確定申告が不要、簡単で便利!といってきましたが、確定申告をするからこそのメリットもあります。

年間で大きく売却損が出てしまったため、翌年の利益と損益通算したいとき
→2018年は売却損で赤字になったが、2019年に見込まれる売却益と合算して節税したい!というような場合は確定申告をしておくと最大3年間は繰越控除として損益通算することができます。

複数の証券会社で年間に利益と損失が出たので損益通算したい
→例えば年間で「A証券会社では50万円の利益、B証券会社では50万円損が出た」とするような場合、確定申告をすると、50万円-50万円=利益が0円と計算してもらえます。

特定口座(源泉徴収あり)の場合でも確定申告をすることはできますので、上の二つに当てはまるようであれば確定申告をおすすめします。ただしNISA口座は確定申告ができませんし、一般口座や特定口座との損益の合算はできません。

5. 株式投資の税金対策 まとめ

税金は、よくわからないと敬遠しがちです。特に、自分で年末に確定申告をすることがない会社員の方であればなおさらです。ですが前述したように株にかかる税金の計算は「儲けの2割」と覚えておけば簡単ですね。今後、株式投資をするために証券口座を作る際は、基本的には年間の取引計算書を証券会社が作成してくれて、納税の手間がないNISA口座や特定口座(源泉徴収あり)がおすすめですが、確定申告をするメリットもありますので、ご自身の運用方針に応じて検討してみてください。

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