株の税金が高い!節税対策をFPが解説。確定申告不要のケースも (2ページ目)
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「源泉徴収あり」を選べば確定申告不要に
特定口座で「源泉徴収あり」を選んだ場合、確定申告は不要です。これは「源泉徴収あり」を選んだ時点で、自動的に利益に対して所得税が支払われる仕組みになっているためです。証券会社から年間取引報告書が送られて来ますが、確定申告をしないなら特に必要ありません。また、夫の扶養に入っている主婦の方、親の扶養にされている学生の場合はいくら利益を上げても扶養から外れません。
「源泉徴収なし」を選べば20万円未満の儲けなら申告不要
特定口座で「源泉徴収なし」を選択した場合の最大のメリットは、一年の儲けが20万円未満の場合は申告不要=納税なしというところです。「源泉徴収あり」の場合は、利益の額にかかわらず20.315%が課税されますが、「源泉徴収なし」を選択していると年間20万円未満の少額の利益に対しては課税されませんので受取額が多くなります。ただし、利益が20万円をオーバーすると確定申告が必要です。
【例3】年間利益が10万円だった場合
・「源泉徴収あり」→20.315%が課税され、実際の受取額は7万9685円
・「源泉徴収なし」→課税をされないので10万円を全額受け取れる
「源泉徴収あり」では避けられなかった所得税の払い過ぎを防ぐことができるのは大きなメリットです。ただし注意しなければならないポイントとして、所得税と住民税は別物なので、20万円未満でも利益が出たら必ず確定申告が必要です。
2-3. 特定口座のデメリット
特定口座を利用すると一番面倒な年間取引報告書を証券会社が作成してくれるメリットがありますが、デメリットとしては以下の点が挙げられます。
「源泉徴収あり」の場合→年間の利益が20万円以下の場合でも所得税を徴収される。また、「譲渡損失の繰越控除制度」を受ける際は確定申告が必要
「源泉徴収なし」の場合→確定申告が原則必要。譲渡益は、配偶者控除や扶養控除等の適用の有無を判定する際の合計所得金額に含まれるので、各種控除額の減少や、控除そのものを受けることができなくなる可能性がある
3. 最強の節税対策!非課税になる「NISA口座」を作ろう
ここまで税金のお話をしてきましたが、非課税で投資ができる「NISA口座」はご存じでしょうか?
NISAは、平成26年1月に施行された少額投資非課税制度のことです。この非課税制度を最大限活用すれば、しっかり投資・ばっちり節税対策をすることができます。これまで見てきたように通常、株式投資で得た譲渡益には所得税・住民税などを合わせ20.315%の税金が課せられますが、NISA口座を利用して取引すると利益に対して所得税・住民税がかからないといううれしい制度です。
NISAのメリットとしては
・NISA口座内で得られた利益に対して所得税・住民税が非課税
・確定申告不要で面倒くさくない
デメリットとしては
・株の取引で損失が出た場合には、ほかで出た利益と合算して税金を減らす損益通算が使えるが、NISAではこの仕組みが使えない
・特定口座や一般口座では確定申告すればその年に出た損失を3年間繰越して、税金の繰越控除を受けられるがNISA口座は対象外
デメリットもありますが、投資が初めてという方はNISA口座で投資をスタートするのがおすすめです。
4. 特定口座やNISAは「確定申告」でさらなるメリットも
特定口座(源泉徴収なし)やNISAなどは年間の取引の計算や確定申告が不要、簡単で便利!といってきましたが、確定申告をするからこそのメリットもあります。
年間で大きく売却損が出てしまったため、翌年の利益と損益通算したいとき
→2018年は売却損で赤字になったが、2019年に見込まれる売却益と合算して節税したい!というような場合は確定申告をしておくと最大3年間は繰越控除として損益通算することができます。
複数の証券会社で年間に利益と損失が出たので損益通算したい
→例えば年間で「A証券会社では50万円の利益、B証券会社では50万円損が出た」とするような場合、確定申告をすると、50万円-50万円=利益が0円と計算してもらえます。
特定口座(源泉徴収あり)の場合でも確定申告をすることはできますので、上の二つに当てはまるようであれば確定申告をおすすめします。ただしNISA口座は確定申告ができませんし、一般口座や特定口座との損益の合算はできません。
5. 株式投資の税金対策 まとめ
税金は、よくわからないと敬遠しがちです。特に、自分で年末に確定申告をすることがない会社員の方であればなおさらです。ですが前述したように株にかかる税金の計算は「儲けの2割」と覚えておけば簡単ですね。今後、株式投資をするために証券口座を作る際は、基本的には年間の取引計算書を証券会社が作成してくれて、納税の手間がないNISA口座や特定口座(源泉徴収あり)がおすすめですが、確定申告をするメリットもありますので、ご自身の投資の運用方針に応じて検討してみてください。