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住宅ローン金利は「固定」と「変動」どっちが損しない?FPの見解は…

かりる 権藤 知弘

住宅ローン金利は「固定」と「変動」どっちが損しない?FPの見解は…

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こんにちは。FP(ファイナンシャルプランナー)の権藤です。
今回は、住宅ローンの金利の推移と2025年の動向を解説します。住宅ローンの金利とは家を購入するために金融機関にお金を借りたときに付く利息の割合のことで、固定金利と変動金利の2種類があります。ではどちらがおすすめなのか、具体的に計算しながら比較してみましょう。

住宅ローンの金利は今までどう推移してきたの?2025年の動向は?

住宅ローン
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2016年に導入されたマイナス金利が、2024年3月に解除されました。マイナス金利の導入後に大幅に下落した住宅ローンの金利ですが、マイナス金利が解除されたことで少しずつ上昇に転じています。長期固定金利のフラット35で比較してみると、2019年時点で1.3%~1.4%程度の金利水準でしたが、2025年1月時点では1.9%前後になっています。

今後もしばらくは現在の水準が継続すると考えられていますが、金利の動向を推測するのはかなり難しく、住宅ローン選びで「固定金利と変動金利のどちらを選ぶか?」は非常に悩ましい問題です。

住宅ローンの金利はどのようにして決まる?

さて住宅ローンの金利ですが、どんな要因をもとにして決まっているのでしょうか?
住宅ローンの金利は大きく分けると、支払の金利が途中で変わる可能性がある変動金利型と、支払開始から返済終了まで金利が固定されている固定金利型の2つに分かれます。

固定金利型は長期金利に連動しています。わかりやすくいうと日本の国債の金利が上がると住宅ローンの固定金利も上がる、国債の金利が下がれば住宅ローンの金利も下がることになります。

一方、変動金利型の住宅ローンは、銀行が短期間の企業向け融資に使う金利レート「短期プライムレート」をベースに各金融機関が独自に決めています。

変動金利と固定金利のどちらがおすすめ?計算して比較した結果…

住宅ローン
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住宅ローンの返済を変動金利と固定金利のどちらにすれば得になるかは、正直なところ支払が終わってみないと分かりません。どの金融機関も基本的には最長35年まで住宅ローンが設定できます。とすれば、35年後に金利がどのように変動しているかを予測するのはかなり難しいからです。

そうはいってもイメージしにくいので、ここで仮の計算をしてみます。
借入金額4000万円・返済期間35年・返済終了まで金利が変わらない固定金利の場合、総支払額は下記のようになります。

金利 0.5% 支払総額 4361万円  10万3834円/月
金利 1.0%      4742万円  11万2914円/月
金利 1.5%      5143万円  12万2473円/月
金利 2.0%     5565万円  13万2505円/月

固定金利は返済開始から返済終了まで全期間の支払金利が変わらず、総返済額が最初に分かります。2025年の金利水準に近い固定2.0%の場合、4000万円の借入に対して利息を1500万円以上支払う必要があります。

それでは、変動金利の場合はどうでしょうか?2025年に住宅を購入し、借入金額4000万円・返済期間35年・変動金利(ローン開始後10年経過時と20年経過時にそれぞれ前の金利から0.5%上昇と仮定)の場合で計算してみましょう。

当初~10年の金利       0.975% 11万2448円/月
10年1ヵ月目~20年の金利 1.475% 11万9316円/月
20年1ヵ月目~35年の金利 1.975%  12万3671円/月
変動金利の場合の支払総額  5006万1201円

変動金利は返済途中で支払金利が変更になる可能性がありますので、実際には総支払額は返済が終了するまで分かりません(今回は10年目と20年目で金利が変動したとして試算しています)。

一般的に金利が下落傾向にあるときは変動金利の方が有利な可能性があり、反対に金利が上昇傾向にあるときには固定金利の方が有利な可能性があります。

家計のやりくりの見通しが立ちやすいのは固定金利、ダブルインカムの場合は変動金利

固定金利を選ぶか、変動金利を選ぶかは非常に悩ましい問題です。固定金利の場合、返済スタートから返済終了までの毎月の返済額や総返済額が確定します。そのため家計のやりくりの計画が立てやすいというメリットがあります。

一方で、同時期の金利で比較すれば変動金利は固定金利よりも低金利です。そのためダブルインカムで金利の上昇があったとしても対応できるのであれば、変動金利を選ぶメリットは大きいでしょう。

固定・変動、どちらが正解という答えを出すのは難しいですが、購入前に具体的なシミュレーションをすることをおすすめします。その際は住宅ローンだけではなく、お子さんの教育資金や老後資金についても一緒に考えてみましょう。