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会社員の副業、心構えと税金や年金などお金の手続きをFPが指南

FPに聞きたいお金のコト 内山 貴博

会社員の副業、心構えと税金や年金などお金の手続きをFPが指南

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今回の相談テーマは「会社員の副業」です。実は、筆者も最初は副業からスタートしましたので、お金の専門家として、そして副業の経験者として、心構えや税金・年金の手続きなどをアドバイスいたします!

「副業は住民税でバレる」会社に秘密で副業するリスクと対応策

《相談内容》
「正社員として勤めている今の職場が今年から副業OKになりました。今後のキャリアを考えて、空き時間に副業ができたらと考えています。これまで税金や年金などはすべて会社にお任せしていたのですがどういう手続きが必要なのでしょうか」(30代・男性)

副業でも本業のつもりで。ただし、本業との線引きを明確に

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私の場合、会社で勤務している、際に平日の終業後や週末にFPとして活動していました。ホームページを作りメール相談を実施したり、勉強会を開催したりと少しずつその活動を広げていきました。上司も「本業に相乗効果があるから」と快諾してくれ、本業で得たことを副業で生かし、そしてその逆もまたあり。副業の収入は決して多くなかったものの大変充実した時間となりました。

その後、一念発起して独立。つまり副業が本業へと変わり、その会社を退職することになったのですが、その会社から「外注」というかたちで退職後の私に仕事の依頼をしてくれるなど、独立後も後押ししてくれ、本当に今でも感謝しています。

このように副業を行うことで本業とのシナジー効果が期待できれば効率的だと思います。一方で、全く違う分野のビジネスを行うからこそ副業としての魅力が高まるという面もあると思います。「今後のキャリアを考えて」ということなので、単純に収入が増えればよいというわけではないと思います。出世、転職、独立など将来プラスに働くような副業スタイルを確立してください。

ちなみに、私が最初に行ったのは屋号を決め、名刺を作ったことです。本業とのシナジー効果があるとはいえ、一定の線引きをする必要がありますし、例えばサービスや商品を提供するときに、顧客にしてみれば提供者が本業か副業かは関係ありません。今はインターネットで人と接することなくビジネスを展開することも可能ですが、顧客づくり、人脈づくりのためにも、本業とは違うビジネスの顔となるべき副業用の名刺などは早めに用意した方がよいと思います。

副業の収入は、税務上は原則「雑所得」に

副業の場合、事業を行うことになるため、「事業所得」と考えるか、その他どれにも該当しない所得として「雑所得」のどちらかと考えられており、その境界はあいまいで、過去裁判にもなっています。

「事業所得」に該当すると、例えば赤字が生じた際に給与所得と損益通算できるほか、配偶者への給与を経費にできる「青色事業専従者給与」や最大65万円が所得から控除できる「青色申告特別控除」などさまざまなメリットがありますが、「事業所得」として申告するためには、その規模や継続性といった「事業性」が問われるため、通常、会社員の副業は「雑所得」になると考えておくのが良さそうです。

「雑所得」は先に紹介したようなメリットがない分、むしろ捉え方は簡単です。実際の売上から必要経費を差し引いたものが雑所得となるため、副業を始めるときから売上や必要経費を管理するように心がけておけば、特に手続き等も必要ありません。

副業収入があっても確定申告が不要となる条件は

確定申告
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会社員は年末調整で課税関係が終了することが多く、確定申告をしたことがない人も多いと思います。ただ、会社員でも以下に該当する場合は確定申告が必要です。

①年収が2000万円超

②2ヵ所以上から給与をもらっている人

③給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える人

①と②は一般的に該当する人は少ないため、ここでは③に注目します。給与所得と退職所得、すなわち、「勤めている会社からもらう所得以外の所得が20万円を超えていれば確定申告をしてください」ということです。言い換えれば「20万円を超えなければ確定申告の必要はありません」ということになります。

副業の種類にもよりますが、当初は20万円を超える売上を上げることも難しいかもしれません。しかも、所得というのは「儲け」です。必要経費控除後で20万円を超えた場合なので、当面は申告が必要ないかもしれませんね。

もし20万円を超えても、収支を管理できていれば、会社からもらう源泉徴収票を見ながら、給与所得に加え雑所得の欄にその金額を確定申告書に書くことで、納めるべき税金は簡単に計算できます。それほど心配する必要はありませんよ。健康保険や厚生年金の保険料は勤務先を通して加入しており、給料や賞与の額に応じて設定されている「標準報酬月額」や「標準賞与額」によって決まるため、雑所得が生じても社会保険への影響も原則ありません。

ただし、副業がアルバイトなど他の会社に勤務する場合は全く異なりますので注意してください。この場合は「2ヵ所に勤務している」ということになるため、副業先の会社に本業としての勤務先がある旨を伝え、税金や社会保険の手続きをしてもらってください。

まとめ

当面は会社員の副業ということであれば、税金や社会保険はそれほど気にすることはないでしょう。ただし、許認可が必要な事業を行う場合は、事前に確認し必要な手続きを行ってください。

また、雑所得が20万円を超えるようになると確定申告を行う必要があるため、その結果、給与所得と合算した「合計所得」が増えます。それにより、児童手当や各種自治体の制度などの所得制限を超えることとなり、もらえるはずの手当をもらえないということになるかもしれません。

あくまで本業がある中での副業です。時間的な制約も大きいと思います。体調や家族との時間なども考慮しながら、最適な働き方を模索してくださいね。

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